ゼンハイザーから新型ヘッドホン「HD 660S2」が発売された。価格はオープン価格。店頭予想価格は約96,800円。
ゼンハイザーのハイエンドヘッドホンとしてオーディオファンの支持を集めるHD600シリーズ。そんな同シリーズを代表するHD660Sの豊かな低域を、より深みのあるものへと昇華させたのが、今回登場したHD 660S2だ。
最適化された自社開発の高性能42mmトランスデューサーを搭載
そんな世界トップクラスと評価される同社ヘッドホンを語る上で欠かせないのが、ヘッドホンの根幹部分であるトランスデューサーだ。
今回のHD660S2では自社開発の高性能42mmトランスデューサーを様々な試行錯誤を繰り返し、最適化を行なうことにより、潤沢な低域と繊細な高域の両立を実現してきた。
またHD660S2の振動板にはラミネート加工を行なったDuo-Folテクノロジー振動板を採用。ラミネートの厚みを調整することにより振動板における柔軟性をアップさせている。
そして振動板中心部のシェイプを少しアーチ状にして強度を上げ、その周りは波形状にすることにより、柔軟性をあげる工夫も施されている。
さて振動板の柔軟性は低域の再現を左右する重要な要素の一つ。音楽の再生において最もエネルギーが活発なエリアは低域であり、高域に行くにつれエネルギー量は穏やかになっていく。
一方、振動板が固いとコイルのエネルギーに反発して低域が控えめになり、低周波数帯域での歪みも生じてしまう。
特に開放型ヘッドホンのトランスデューサーは、減衰と低域シグナルが強いため振動板をより多く動かす必要がある。
したがってHD 660S2では振動板に柔らかさ、柔軟性をもたらすことにより可動域を広げ、共振周波数を前モデルの110HzからHD660S2は70Hzにまで下げている。
さらに、様々な試行錯誤の上に出した答えが、超軽量なアルミのボイスコイルだ。前身のHD660Sもアルミのボイスコイルを使用しているがHD660S2ではさらに細いアルミ線を使用。
そして巻き数をあげることによりマグネットパフォーマンスを上げている。
このような細いアルミ線を使用することで組み立ての難易度は上がるが、熟練のアイルランドファクトリーの高いクオリティがそれを可能にしている。
これによりHD600、HD650と同様に300Ωのインピーダンスのまま、マグネットパフォーマンスを最大限に引き出し、上質でクリアなIRと繊細な音まで再現できるようになったのだ。
さらに精巧にデザインされたステレンススチールメッシュがボーカル帯域の歪みを抑制。厳しい品質管理のもと作り上げて搭載されたステレンススチールメッシュがトランスデューサー内の空気をコントロールすることで、歪みを最適化して淀みのない音を創出する。
前述したボイスコイル素材によりコイル重量を10%ほど軽量化し、振動板素材の柔軟性により高域の振幅に対する追従性を高めることにより繊細な音の再現性もアップ。
5,000Hz以上の周波数帯域も全体的にスムーズなまとまりになっており、ピークを抑えた仕上がりになっている。
併せて明瞭さも上がり、長時間のリスニングでも聴き疲れしにくいサウンドを提供していく。
HD 660S2の主な製品仕様
型番/HD 660S2
本体重量/約260 g(ケーブル除く)
型式/ダイナミック・開放型
ケーブル長/180cm
インピーダンス/300 Ω
周波数特性/8 ~41,500 Hz
感度/104 dB ( 1 kHz , 1 Vrms)
THD/< 0.04% (1 kHz, 100 dB)
付属品/3.5mm変換アダプタ6.3mmステレオ標準プラグ(アンバランス)、4.4mmPentaconnプラグ(バランス)
関連情報
https://www.sennheiser-hearing.com/ja-JP/p/hd-660s2/
構成/清水眞希