各企業でDXが推進されているが、なかなか理想的なデータ活用というものがなされておらず、ツールを入れても形だけで実態はDXが進んでいない「なんちゃってDX」に陥っているケースが多いといわれる。各企業で直面している課題は異なるが、ある意味、日本企業の特色から、よくある課題は似通ったものであるようだ。
そこで今回は、有識者のもと、企業のDXの“あるある”課題と解決策の提案を紹介する。
「なんちゃってDX」に陥っている社内あるある
先日、データベース関連のソフトウェア製品の開発・コンサルティングを行う株式会社インサイトテクノロジー主催で行われた新製品リリース発表・説明会では、企業の中には、「なんちゃってDX」に陥っているところがあり、社内では次の「あるある課題」が存在すると紹介された。
・データ分析体制について、データ分析の専門ではない人が行っている率が大企業で44.7%(※)と約半数にも上る。分析の専門家ではない一般社員がデータ分析をする時代になってきている。
※出典:総務省(2020)「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」
・データ種別が多い中、欲しいデータがどこにあるのか探すのが大変。
・データベースに入っているテーブルや、エクセルのファイル等データの形式がバラバラ。
・各事業部がデータ分析を行えるBIツールのQlik Sense(クリックセンス)やTableau(タブロー)など、それぞれの方法で分析しており、事業部ごとに乱立して「沼」ができている。
・新入社員入社、新事業開始、パンフレット制作など日々データは蓄積されて新しくどんどん作り直さなければならないため、単発のソリューションだけではまかなえない。
・Googleで検索するかのように、社内検索をして最新の売上データやキャンペーンデータなどを突き合わせてエクセルにまとめて分析するようなことができたらいいのに。
・社内でどうやってデータ使うの?と集中的に問い合わせを受けている担当者がいる。毎回聞かれるのが大変。
どれもどんな企業にもよくある課題ではないだろうか。
「データを渡せない情シス vs データが欲しいマーケ」の関係性のリアル
同社は、特に情報システム部門(以下、情シス)とマーケティング部門(以下、マーケ)とのデータをめぐる課題は、あるある課題だという。マーケは施策のためにデータをできる限り多く活用したいが、情シスがなかなか提供してくれないという課題だ。
●データをくれない情報システム部門の言い分
・法令遵守をしてデータを提供することは必須。法令遵守せずにデータを渡してしまうとデータの漏洩が発生し企業イメージの失墜や巨額な補償金が発生してしまう。
・守らなければいけないデータを抜け漏れなく確認する必要がある。
・利用者全員が参照できる仕組みを整備する必要性がある。
・上記のシステムを作って運用していくのは非常に大変でコストもかかる。
●データが欲しいマーケティング部門の言い分
・分析をしたいデータが足りない。
・すぐ使いたいデータがあるのに使えるようになるまで法令尊守などで時間がかかり、使えるようになるまで1ヶ月かかる場合もある。