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開発中の注射薬「ペグ化インターフェロン-ラムダ」に新型コロナの重症化リスクを抑制する効果、スタンフォード大学研究報告

2023.03.16

ペグ化インターフェロン-ラムダ単回投与でCOVID-19重症化リスク抑制

ペグ化インターフェロン-ラムダという開発中の注射薬が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクを抑制することが報告された。

米スタンフォード大学のJeffrey Glenn氏らの研究によるもので、詳細は「The New England Journal of Medicine」に2023年2月9日掲載された。1回の注射で入院リスクが半減したという。

インターフェロン(IFN)は体内で産生されているサイトカイン(細胞由来の生理活性物質)の一種であり、病原体やがん細胞などを排除するように働くタンパク質。

IFNには複数のタイプがあって、その一部はウイルス性肝炎や一部のがんなどの治療に用いられている。

また、ペグ(peg)化と呼ばれるタンパク質の構造を修飾する技術により、体内で長時間作用させることも可能になっている。

Glenn氏らは当初、ラムダ(λ)というタイプのpeg化したインターフェロン(pegIFN-λ)を、ウイルス性肝炎の治療薬とすることを目的に研究を続けていた。

その研究開発中にCOVID-19パンデミックが発生したため、COVID-19への有効性を実験室内での研究で検討。有望な結果が得られたことから、ヒトを対象とする無作為化二重盲検プラセボ対象試験を実施した。

研究対象は、新型コロナウイルスの感染が確認された、ブラジルとカナダの成人患者1,949人〔年齢中央値43歳(範囲18~92)、女性57.1%、国籍はブラジルが98.5%〕。

全体の83%がワクチン接種済だった。主要評価項目として、割り付け後28日以内のCOVID-19による入院(または、より高度の医療を行うための転院)と、救急外来受診(6時間以上の経過観察を要した場合)で構成される複合エンドポイントが設定されていた。

エンドポイント発生率は、プラセボ群5.6%、pegIFN-λ群2.7%であり、pegIFN-λ群で51%のリスク低下が認められた〔相対リスク(RR)0.49(95%信頼区間0.30~0.76)〕。

ワクチン未接種/接種済で層別化したサブグループ解析でも、双方のグループでpegIFN-λ群によるリスク低下が認められた。

症状発現から早期(3日以内)に投与されていた場合、エンドポイント発生率の差はより大きく〔RR0.42(0.21~0.80)〕、特にワクチン未接種患者では9割近くリスクが抑制されていた〔RR0.11(0.01~0.83)〕。

このほか、ウイルスの変異株別の検討では、オミクロン株で83%のリスク低下が認められた〔RR0.17(0.04~0.50)〕。有害事象発生率は同等だった〔RR0.90(0.73~1.10)〕。

インターフェロン(IFN)を用いた疾患治療全般についてGlenn氏は、「IFNはサイトカインストームを引き起こすことが知られており、安全性の懸念が付きまとう。

また、C型肝炎などの治療に用いられているアルファというタイプのインターフェロン(IFN-α)は、その受容体が全身に広がっているため、多くの臓器に有害事象が発生することも分かっている」と述べている。

ただし、IFN-λについては、「その受容体は主として肺、気道、腸、肝臓に限られているため、全身に影響を及ぼすことはない。さらに、COVID-19に対しては単回投与で有効性を発揮することも大きな特徴だ」としている。

この研究報告に関連して、米国感染症財団のWilliam Schaffner氏は、「示された結果は非常にエキサイティングだ。COVID-19の治療手段はできるだけ多い方が良い。相互作用のリスクのために既存の治療薬を使用できない患者などに適用できるのではないか」と述べている。

Glenn氏は、pegIFN-λが米食品医薬品局(FDA)によって緊急使用許可を与えられるか、少なくとも迅速な承認審査が行なわれることを期待している。

同氏によると、「パンデミックの初期にこの薬を使用可能になっていれば、数百万人もの命を救うことができたはずだ」とのことだ。

また、「pegIFN-λの製造コストが高額になるとは考えにくく、加えて、通常の冷蔵庫に保管できる」と実用性の高さも強調している。(HealthDay News 2023年2月9日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2209760?query=featured_home

Press Release
https://med.stanford.edu/news/all-news/2023/02/interferon-covid.html

構成/DIME編集部

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