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高所得者の源泉徴収票に記載されている「調整控除」とは?

2023.02.23

源泉徴収票等で『調整控除後』と記入されているのを見たことはないだろうか。ある一定の要件で所得から控除される調整控除。その内容や要件について解説する。

調整控除とは?年収850万円超が対象

調整控除は、正式には所得金額調整控除といい、以下のいずれかの人が所得から一定金額を控除できる。

①給与収入が850万円超でかつ以下のどれかに該当する者

・本人が特別障害者に該当する者
・年齢23歳未満の扶養親族を有する者
・特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者

②給与所得がありかつ公的年金を受け取っている者

例えば、年収が850万円を超える人で子供が23歳未満であればこの調整控除を受けられる。この場合、年末調整の手続き時に扶養する23歳未満の子供の情報と基礎控除申告書等に付帯の「所得金額調整控除申告書」を記入すれば適用されるようになっているはずである。または、電子的な方法なら子供の情報で自動適用される。16歳未満の子はこども手当導入時に扶養控除がなくなり、16歳未満の子の情報を年末調整時に記入しても税金には関係ないが、調整控除には要件となるため記入する必要がある。

または、給与と公的年金の両方を受け取っている人もこの調整控除の対象となる。

控除金額は次のようになる。

調整控除の金額

①の場合

(給与収入-850万円)×10%=調整控除金額
※給与収入は1,000万円を限度

例えば、給与収入が900万円の場合は、(900万円-850万円)×10%=5万円

給与収入が1,000万円の場合は、(1,000万円-850万円)×10%=15万円

1,000万円限度となるため、給与収入が1,500万円の場合でも、上記と同じ15万円となる。

②の場合

給与所得控除後の金額と公的年金等に係る雑所得(公的年金等控除額控除後の金額)の合計が10万円を超える場合で、それぞれ10万円を限度としてその合計額から10万円を控除した後の金額が調整控除の金額となる。

例えば、給与所得控除後の金額が200万円、公的年金等に係る雑所得が50万円なら、それぞれ10万円が限度であるため、10万円+10万円-10万円=10万円が調整控除の金額となる。一方、給与所得控除後の金額が5万円、公的年金等に係る雑所得が5万円なら、5万円+5万円-10万円=0となり調整控除はなしとなる。

所得金額調整控除の注意点

①の場合の要件として、本人以外の要件に該当するときには、同一生計配偶者または扶養親族でなければならない。同一生計配偶者、扶養親族ともに合計所得金額が48万円以下でなければならない。パートやアルバイトなどの給与収入なら収入が103万円以下、ウーバーイーツなどの自営業等に該当する場合には48万円以下でなければならない。例えば、大学生の子どもがアルバイト等で収入が上記金額を超えてしまうと、特定扶養親族(控除額63万円)、この所得金額調整控除最大15万円の対象外となる。高所得の人は税率が高いためその影響が大きく、子供のアルバイト等についてはよく相談が必要だ。

調整控除はいつまで?

所得税の計算は、給与収入から給与所得控除を引いた給与所得控除後の給与所得から基礎控除などの各種所得控除を引いた後の金額に所得に応じた税率をかけて計算される。

そのため、収入から引かれる給与所得控除額や所得控除額が大きいほど、所得は小さくなり支払うべき所得税も少なく済む。しかしながら、最近はこの所得控除額を小さくして所得の高い人にできるだけ多くの税金を支払ってもらうという税制改正される流れが主流だ。

平成30年度の税制改正(令和2年分から適用)では、基礎控除額が10万円増額される一方で、給与所得控除額、公的年金等控除が鵜が一律10万円減額、かつ給与所得控除額の上限額がこれまで220万円から195万円になった。

この改正で給与収入850万円超の人は、15万円×税率が増税となった。ただその中でも子育て世帯、障碍者のいる世帯は増税の影響を受けないよう、所得金額調整控除が設けられた。また、公的年金等控除額も10万円一律減額された影響で、基礎控除額が10万円増額されているため、公的年金等のみであれば相殺され影響はないが、公的年金等と給与収入がある人は両方で控除額が10万円減額されている影響で基礎控除額10万円増額だけでは補えないため、所得金額調整控除で増額とならないように調整されている。

この制度は、23歳未満の子供、障碍者がいる世帯、公的年金等と給与両方を受け取る高齢者への増税の影響を軽減させる時限的な措置と考えられ、今のところこの制度がなくなるという話は出ていないが、いずれ将来なくなる可能性があるのではないかと考える。

文/大堀貴子

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