日用品を全く別のものに見立てるアート「MINIATURE LIFE」を、自身が運営するホームページ、Instagram、Twitter、Facebookで10年以上毎日発信し続けているミニチュア写真家・見立て作家の田中達也氏。
2019年に発売した、数ある作品群の中から日本の伝統的な行事、風景、食、文化をテーマにした『MINIATURE TRIP IN JAPAN』(小学館刊)がヒット! それを受け、第2弾は日本を飛び出して世界をテーマにした新作『MINIATURE TRIP AROUND THE WORLD』が発売された。
世界の風景、食、文化をテーマとした作品を90セレクト。世界を6大州で区分けし、アジア→ヨーロッパ→アフリカ→オセアニア→南米→北米、ぐるりと世界1周するように、各国の風景などを表現した作品を収録する。
作品だけでなく、表現した実際の風景、見立てに使用した日用品なども掲載。ユーモアあふれる〝見立て〟の意図を、田中氏自身が解説。その一部を紹介しよう。
【オーストラリア】シドニー・オペラハウス×タマネギ
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「美しい建築が目にしみる / Sydney Onion House」
©Tatsuya Tanaka
白い貝殻や帆船の帆を思わせる屋根の形状が特徴。1959年に着エされたものの、あまりに独創的な設計だったため、建造には14年もの歳月がかかったそうです。2007年に世界文化遺産に「20世紀を代表する建築」として登録。実物を見ると、あまりの美しさに、タマネギを切った時くらい涙が流れてしまうかもしれません。
【見立てポイント】
タマネギを切っていたら、オペラハウスのように見えてきたので作品にしてみました。まな板がそのままシドニー港に突き出た岬にもなるなど、調理をしている時のシチュエーションだけで見立てを完結させているのもポイントです。
【韓国】広安大橋×チゲ鍋
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コリャー美しい/Gwangalli Beach
©Tatsuya Tanaka
釜山中心部方面と海雲台を結ぶ全長7420mの自動車専用大橋。ライトアップされた時の美しさから“ダイヤモンドブリッジ” とも呼ばれています。この作品は、広安大橋越しに沈む夕日が見られる広安里ビーチを表現したもの。卵の黄身で夕日を、真っ赤に染まる海はチゲ鍋、そして広安大“橋” を“箸” で見立てました。
【見立てポイント】
キムチや肉、魚介などを出汁で煮込んだ韓国料理。日本では「チゲ鍋」と呼びますが、韓国語でチゲ=鍋料理という意味なので、言葉が重複しているのだとか。砂浜に見立てたのは、一緒に煮込んだ麺。〆の麺とともに 1 日を締めくくります
【エジプト】ピラミッド×ウエハース
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ピラミッド建築は甘くない/Egyptian Sugar High
©Tatsuya Tanaka
紀元前に造られたエジプトを代表する史跡。王の墓という説が有力ですが、その実態は未だ謎に包まれています。建造に携わった人は厳しい労働環境で働いていたイメージがありますが、近年の調査では、勤怠管理がされるなど、砂糖のように甘い一面もあったそうです。
【見立てポイント】
ピラミッドを三角錐上に積み重ねたウエハースで、砂漠は砂糖、その手前を流れる川は、カップからこぼれたカフェオレで見立てました。
【ミニチュア写真家 見立て作家 田中達也氏・プロフィール】
1981年熊本生まれ。2011年、ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURECALENDAR」を開始。以後毎日作品をインターネット上で発表し続けている。国内外で開催中の展覧会、「MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界」の来場者数が累計200万人を突破(2022年9月現在)。2020年ドバイ国際博覧会 日本館展示クリエーターとして参画。Instagramのフォロワーは360万人を超える(2023年1月現在)。著書に『MINIATURE LIFE』、『Small Wonders』、『MINIATURE TRIP IN JAPAN』、絵本『くみたて』『おすしが ふくを かいにきた』など。
『MINIATURE TRIP AROUND THE WORLD』
著/田中達也
定価2200 円(税込)
判型:B20取・128ページ
発行/小学館
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第1弾の『MINIATURETRIP IN JAPAN』
著/田中達也
定価2200 円(税込)
判型:B20取・128ページ
発行/小学館
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取材・文/寺田剛治
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