これからの働き方に関する予測〜不透明な経済環境を克服するために
Zoomは、同社のブログサイトにて「2023 年の働き方に関する4つの予測」を公開した。
同ブログでは高金利に伴う経済的影響、長引く世界的な不安など、ビジネス環境はきわめて不安定な状態にあると指摘。
そんな先行き不透明な経済環境をどうやって乗り越えていくのか、予算やリソースが削減される中でいかにして継続的にイノベーションを起こしていくのかが、最重要課題だと続ける。
そして「私たちは、2023 年はフォーカスとアジリティの年になると予想しています。つながり、コミュニケーション、コラボレーションを通じて、共通のゴールに向かってチームが団結することに重点が置かれるでしょう」と述べている。
というわけで「2023 年の働き方に関する4つの予測」の概要を以下にまとめてみた。
1. 真のハイブリッド エクスペリエンスを組織に浸透
「ハイブリッド」はある種バズワードにもなった。組織は近年、ハイブリッド ワーク環境やハイブリッド イベントなど、あらゆるものをハイブリッド化しようと取り組んでいるが、それはまだハイブリッドの可能性の表層に過ぎない。
ハイブリッド エクスペリエンスを実現するには、バーチャルと対面のイベント体験をより密接に連携する必要がある。そうすることで、バーチャルと対面の両方で、シームレスなコミュニケーションやコラボレーションが実現していく。
ではハイブリッドを言葉だけで終わらせるのではなく、大きく前進させ、現実のものとするためにはどうすればいいのか。
その第一歩は、真のハイブリッド エクスペリエンスの実現について経営陣の全面的な賛同を得ることが重要となる。
これは、出社の本当の理由を明確化することから始まり、どこからでも仕事ができて、どのような職種であっても仕事で成果を発揮できるようにテクノロジーやツールを提供することが含まれる。
さらに、近くにいる者、つまり出社する従業員が優遇される「近接性バイアス」を認識し、排除することにもつながる。オンサイト、リモート、ハイブリッド、どのような環境においても従業員に成長のチャンスが平等に提供されなければならない。
2.デジタル ネイティブのワークスペースが標準化
最適な人材を雇うことは今後も重要だが、企業はどのようにして適切な人材を集めているのだろうか。
現在、求めている特性は、ほんの数年前に求めていたものとは大きく異なる。問題は、デジタル ネイティブに適した職場環境の設計がいまだに進んでいないことだ。
労働者の多くは、ハイブリッド環境で仕事をするスキルをここ数年で習得した。Z 世代や若年層のミレニアル世代はそういう環境で育ってきたため、ほとんど指導しなくてもリモートやハイブリッドといった環境で仕事をこなすことができる。
とはいえ、企業が採用しようと躍起になっている Z 世代の人材が求めるテクノロジーと、企業のテクノロジーにはギャップがある。
どうすればデジタル ネイティブに適したテクノロジーを提供できるのだろうか。バッジをかざしてドアを開けたりワークステーションにアクセスしたりするのはもう時代遅れだ。
音声認識を使ったり、どこでも(文字通りどこでも)迅速にシームレスなコラボレーションを展開できること、タッチレスなワークフローなどが標準となる。
その一方で、デジタル ネイティブでない従業員のスキルアップも継続して、仕事ができるように、さらに重要なこととして、より包括的なコラボレーションが実現できるようにする必要がある。
3.ミーティング インテリジェンスでより多くの実用的なインサイトを獲得
テクノロジーはどのようにして人々を単純作業から解放するのだろうか。AI や機械学習は年々進化しており、そろそろこのようなソリューションを活用した実用的な価値が提供されてもいいころだ。優れた企業は本格的にAIを導入しており、多くの企業が追随するものと思われる。
単にカメラが自動的に話者に焦点を合わせるといった話ではなく、会話インテリジェンスを導入すれば、顧客とのやり取りにおいて有意義で実用的なインサイトを提供し、メモ取りや生産性の向上をサポートしてくれるというものだ。
普通の従業員が日常の雑務からどれだけ解放され、どれだけ生産性が向上するのかわかれば、驚かれることだろう。空いた時間やリソースを新製品の開発や顧客対応の向上など、より価値のある仕事に割り当てることができたらと考えてみてほしい。
4.理想のワークスペースを実現
これは毎年「改善項目」フォルダには入っているようではあるが、今こそ本気で取り組んでみてはいかがだろう。現代のチームには、よりふさわしい環境が必要だ。従来の会議室は時代遅れであり、次世代のミーティング スペースが求められている。
想像してみてほしい。全面ガラス張りの会議室に入っていってテーブルのまわりの席に着き、1つのスクリーンを見つめ、1 台のカメラで撮影され、どこにあるかも分からないマイクに向かって身を乗り出して話さなくていいとしたらどうだろうか。
知識を十分に持った組織は、従業員がそこに入っていけば、テクノロジーをどう使うのかなど意識せずにコラボレーションできるような新たな体験を提供することを考えられる。
ワンタッチでスタートできる最新のスマートなセットアップとデジタル ホワイトボードを導入し、自動的にリモート参加者に最適なミーティング ビューを表示するインテリジェント カメラ システムを追加して、指定席をなくせば、ほとんど完成するだろう。
その他の今年注目されそうなトレンドワード
・「井戸端会議」を再現する
私たちの日常は、バーチャル ミーティングを中心にかなりスケジュール化されている。では、セレンディビティ(思いがけない発見)の瞬間やちょっとした雑談をどうやって再現すればいいのだろうか。
スティーブ・ジョブズは「セレンディビティは重要であり、それをつくりだすことは可能だ」と考えた。多くの経営者がこの考え方を支持し、ハイブリッドの世界で新たなイノベーションの源泉を模索している。
2023 年初頭に発表を予定している Zoom Spots は一種のバーチャル コワーキング スペースで、まさしくそのような考えを実現するものだ。
Zoom Spots を導入すれば、仲間と「ともに仕事をする」空間を確保し、予定されたミーティング以外の自由なビデオ会話を行えるようになる。
・メタバース
そしてメタバースだ。仮想現実(VR)は私たちの日常に浸透しつつあるが、メタバースという概念、すなわち物理的世界と平行するデジタル世界の実現はまだ到来していない。しかし、その兆しは見えている。
先進のテクノロジー企業によるメタバース イノベーションが期待される一方で、他者や世界とのつながりを高めていくことが求められるなか、市場に新たな変革の波が押し寄せるのではないかと考えられる。
興味深いのは、専門的な職業訓練のほか、デートアプリやソーシャル メディアなど、没入感のあるデジタル空間でもユースケースは増えていることだ。
こうした体験は、デジタル プロフィールに個々の音声やパーソナリティを追加することで、拡張の機会がありそうだ。
・ハードウェア
現在使用しているハードウェアは 3 年前からオフィスにあったものとほとんど変わっていない。モニター、ノート PC、キーボードなど、いずれも 25 年前から同じようなものを使用している。
モニターは、中央にカメラを内蔵し、テレプロンプターなどの機能も標準的に装備する必要がある。
・どのような経済環境でも成功する
最高のリーダー、特に先進的な CIO は一日の計画など立てたりしない。どのような経済状況でも価値を生み出し、組織が長期的に成長できるよう、すぐに行動を起こしている。
構成/Ara