消費者との取引で信頼に足る存在は、やはりディーラー
OEMメーカーによる消費者への直接販売やアフターサービスまでの一元管理化は、一部のメーカーや市場で導入が進んでおり、今後のビジネス展開の可能性に向け多くの議論を生んでいる。
では、肝心の消費者は誰を最も信頼するのか?韓国や中国では、メーカーを最も信頼する消費者の数は他の市場より比較的に多かったものの、購入時や普段のメンテナンス時に利用するディーラーへの信頼は根強い。
他の市場ではその差がより明白で、日本でメーカーを信頼する割合は最も低く、23%。購入時のディーラーが45%と、大きな差がある。だが、日本国内における世代間の意識差も大きく、若い世代ではメーカーを信頼する層は、購入時のディーラーやメンテナンス時のディーラーとほぼ同様の割合だ。メーカーが消費者と関係性を築く上で、全ての消費者に対して同様のコミュニケーションを取るのではなく、世代に応じた手法の使い分けに一定の有効性があるだろう。
消費者との信頼性を維持するために、ディーラーが重要な役割を担うことに当面は変わらない。だが、新しい手法と伝統的な手法の組み合わせにより相乗効果を生むコミュニケーションのあり方を模索する必要がありそうだ。
コネクテッド・サービスの月額課金制導入には課題が多い
OEMメーカーによる消費者への直接販売と同様に、コネクテッド・サービスを基にしたサブスクリプションビジネスも各メーカーで検討が進む。だが、大多数の消費者が、「自動車購入時の初期費用の一部として」、もしくは「使用回数に応じた」費用設定を希望しているのが現状だ。日本や東南アジア、米国の消費者では月額サブスクリプションでの支払いを希望する人が他市場よりは多いが、それでも少数派である。
また、コネクテッド・サービス自体に利便性を感じるものの、利用時に車両の位置情報など個人情報が共有されることに懸念を感じる消費者も多い。この傾向は米国やドイツ、日本で見られる一方で、中国やインド、東南アジアなどでは個人情報流出の懸念以上に、コネクテッド・サービスに利点を感じる人が多いようだ。
だが、現在の消費者がスマートフォンを利用する際に、個人情報の共有への懸念を理由にスマートフォンの所持を断念するだろうか?当然、それはごく少数派であり、最終的にはそのような懸念に勝るほどの魅力的なコンテンツや、便利なサービスを提供できるかがポイントとなるのは間違いないだろう。
出典元:デロイトトーマツ
構成/こじへい