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ミドルレンジで10万円!?ドコモのスマホ「arrows N」の強気価格にみる端末販売の難しさ

2023.02.15

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、ドコモから新発売となる「arrows N」の価格問題について話し合っていきます。

2023年、スマートフォンの価格設定は変わるのか?

石野氏:この前、直接端末割引でついに「Google Pixel 7」を買っちゃいました。MNP割引などはついていませんが、ヤマダ電機で誰でも2万2000円割引されていたので、auのSIMカードが欲しかったのでついでではありますが。

Google Pixel 7

石野氏

房野氏:Pixelシリーズは価格の安さが目立ちますね。

房野氏

石野氏:もともとお手頃な価格ですが、販売店の値引きも多いですね。ただ、総務省が今、回線に紐づいた2万2000円の値引きと一緒に、本体の値引きを付けるのを規制しようとしています。

房野氏:菅さん(前内閣総理大臣)が、「1円での販売は良くない」と発言していましたね。

法林氏:そもそも、原因になったのは何か? その議論が無視されている。

法林氏

石野氏:転売問題があるので、キャリアとしては一括販売を避けたいはずですからね。

法林氏:マイナンバーカードに紐づければいいのに。端末購入時に提示するようにして、1人3回までしか割引できないといったルールを作ればいい。

石野氏:ソフトバンクはシステム側で、紐づける仕組みを作っていますよね。本音としては、新機種を値引きしたくないけれど、他キャリアとの競争上やらないといけないのが現状。2万2000円の割引に加えて、一括割引の上限を設定してほしいと各社が言いはじめていますね。ドコモは中古販売価格が目安、ソフトバンクは中古の買取価格を目安にすべきといっています。実際に計算すると、iPhoneは1円も割引できない可能性すらある。確かに、新機種を極端に値引きするのは疑問ですよね。

法林氏:2万2000円の割引を決める時にも話題になっていたけど、生産中止になってから割引くのではなくて、発売から1年経過したら割引できるようにするといった、現実的なルールがないと、今のような事態に陥ってしまう。総務省が作ったルールの仕立てが悪い。

石川氏:そうしたら、ソフトバンクから発売されている「バルミューダフォン」のような端末はしばらく割引ができなくなってしまいます。要は、iPhoneやPixelといったメジャーな端末だけで議論するから、こういった抜け穴が出てしまう。

バルミューダフォン

石川氏

石野氏:ただし、バルミューダフォンは中古価格がかなり下がっています。ソフトバンクはそこまで計算しているかも。中古価格をベースにするルールは結構合理的で、売れない端末を安くできますし、時間の経過とともに割引率も上がっていく。ただ、そもそも本体価格の値引きにルールを設けるのって、価格統制になりかねないと思います。

法林氏:もともとの話として、端末と回線契約は分離しましょうと言っている。分離の原則に基づいて考えたら、端末が1円だろうが10万円だろうが構わないはず。にもかかわらず、端末価格までコントロールしようとしているから話がややこしくなる。むしろ、回線と端末を紐づけてもいいけれど、回線契約がある場合は割引5万円まで、端末単体の場合は割引2万円までといった感じで、ちゃんとルールを決めればいい。

石野氏:そうすれば、公正取引委員会のチェックもクリアできそうですしね。

法林氏:今のままだと、2万2000円の割引があるなら、端末だけ欲しい人にも同じ割引をしてくれという意見が通ってしまって、それが転売の温床になる。転売を減らすためには、回線契約がない場合、マイナンバーカードを確認するとか、1人1台とか、割引の上限を決めるとか。こういった仕組みを作らないと、現実に即しているとはいえません。

石川氏:そもそも、一律にルールを作るのが間違っている。楽天モバイルには楽天モバイル、ドコモにはドコモの売り方がある。その多様性を認めるようにしないと、端末市場は活性化しないと思います。

石野氏:端末の下取り価格が販売時の価格よりも高くなるという逆転現象が起きたら、転売を生業にしていない人の中にも、転売しようと考える人は出てしまいますよね。

房野氏:2万2000円という割引きの上限ルールを決める時も、転売の可能性は織り込み済みだったはずですけどね。

石野氏:その抜け道に気づいていない人が多かったから、成り立ってしまった仕組みともいえますね。

房野氏:今後、規制は入りそうですか?

石野氏:新製品の割引き額を、中古価格を参考に設定するという決め方は、公取から違法と指摘される可能性があるのでわかりませんが、2万2000円のままだと一律すぎるという意見が大勢を占めているので、少し変わるかもという期待感は、業界全体としてありますね。

石川氏:車や時計などでは、新品よりも中古にプレミアムがつき価格が逆転することは結構ある。スマートフォンも半導体不足などの影響で、発売後に中古価格が高騰する可能性も十分あるので、この場合どうするのかといったルールも決めないといけませんね。

ミッドレンジスマートフォンarrows Nが10万円弱の強気価格で発売

房野氏:ドコモからミッドレンジスマートフォンの「arrows N」が発表されましたが、9万8780円という価格にはびっくりしましたね。

石野氏:販売台数がそこまで多くないのと、再生素材を筐体に使うとお金がかかることが、高めな価格設定の理由のようですね。

石川氏:「arrows N」はドコモのみの取り扱いなので、価格の背景がいまいち見えにくい。オープンマーケット版として販売されたり、他キャリアから販売されると競争原理が働くかもしれませんが、1社のみでの販売だと、値付けの根拠があいまいになってしまいます。

石野氏:中古価格に対応した値引きを適用できるようになると、今後は端末の販売価格設定が大きく変わりそうですよね。

法林氏:複数のキャリア、複数のマーケットから売る体制にあれば、販売台数が稼げるのでコストが下がる。FCNT(富士通)はその体制をしっかり作らなかったし、一方でスタート地点は同じだったシャープやソニーが販路を広げている。

石野氏:2021年末に発売した「arrows We」はきちんと売れています。FCNTも頑張っていますが、今回はドコモから販売されたこともあって、価格が上がってしまったのかなと思います。

arrows We

法林氏:ドコモならなおさら価格を低くしないとだめでしょう。現状3Gのみの契約者に4G以降の料金プランに契約を変更してもらう時期なのに、約10万円のミッドレンジスマートフォンを出しているようでは厳しい。

房野氏:arrowsのハイエンドモデルはもう出てこないのでしょうか。

石川氏:ほかのメーカーもハイスペックの今後の展開に悩んでいる状況なので、なかなか難しいと思います。

石野氏:ハイエンド端末は、趣味とまではいわないけど、ブランディングのアイテムになりつつあります。Galaxyのように、グローバル市場で売れていればそれなりに採算は取れますが、日本市場しかないFCNTで考えると、1台30万円といった販売価格になりかねない。悪循環ですよね。

法林氏:ミッドレンジですら売れ行きが厳しいといわれているご時世だからね。ハイエンド端末を売っていくのは相当大変だと思います。

石野氏:AQUOS senseシリーズも、5万円超えの価格設定になってきていますからね。

法林氏:もちろん、半導体不足や円安の影響もあるけどね。

石野氏:だからですかね、Pixel 7を6万円程度で一括購入したら、なんだか懐かしい感じがしました。「昔はこれくらいの価格でハイエンドスマホが手に入っていたのになぁ」といった感情です。

房野氏:2023年のスマートフォンはどうなっていきますかね。

法林氏:2022年よりも売れなくなる。

石川氏:売れる理由がないですよね。

法林氏:モバイル業界がだめという話ではなくて、新機種はよほど特徴的じゃないと売れないフェーズに入っている。あと、各社の評価が固まってきているので、それをどうやって覆すのかがメーカーの課題です。

石野氏:僕はGalaxy Foldの最新モデルが出たら買うつもりですけどね。Sペンが内蔵されるという噂なので楽しみです。

房野氏:折りたたみスマートフォンがたくさん出てくる可能性もありますよね。

法林氏:もちろん折りたたみスマートフォンの種類が増える可能性はあるけれど、日本でどれだけ売れるのかが読めない環境下では、キャリアが取り扱うかわからない。

石川氏:ただ折りたためるのではなくて、折りたたんだからこそできる何かが欲しいですよね。

石野氏:やっぱりSペンですよ。

房野氏:SペンはGalaxy S22 Ultraにも内蔵されていますからね。私はこっちでいいかなと思ってしまいます。

法林氏:タッチペンは内蔵されていれば使うかもしれないけど、使用頻度はあまり高くない気がする。

石川氏:確かに便利ですけど、本当に支持されていたら、Galaxy Noteシリーズは残っていたと思うんですよね。

法林氏:記者向きではあるけどね。立ってメモできるのは便利。

石野氏:Galaxy Noteとか、Galaxy S22 Ultraの画面サイズだと、メモ程度に落ち着きますけど、Galaxy Foldの画面サイズでSペンが使えると、紙面の校正までできるんですよ。これはやっぱり違います。

法林氏:僕もGalaxy Fold4を買ったけれど、閉じたままで使うことが多いのと、Sペンはあまり使わない。あと、車載ホルダーなど、Fold専用のアクセサリーを買わないといけないのが面倒。これで約25万円と考えると、それなりのPCが買えちゃうなと思ってしまいます。

石野氏:いやいや、PCはポケットに入りませんから(笑)

法林氏:そうだけど(笑)。でも、ユーザーが気にしているのって、こういう細かいことだと思うよ。

アップルジャパンに約130億円の追徴課税

房野氏:アップルジャパンが2022年末に約130億円の追徴課税をされたとのことですね。

石野氏:iPhoneの場合は、割引をしなくても為替の関係で儲けが出る状態。あと、円高ドル安が急速に進みすぎたので、実レートよりも安く販売していましたが、それもあって海外の人から見ると安い。

石川氏:日本で買ったiPhoneを海外で売る人が、結構いた。

房野氏:約130億円という価格にびっくりしてしまいました。やっぱりiPhoneは売れているんですね。

石川氏:何年かにまたがっての話ですし、罰則金も含まれていますからね。

……続く!

次回は、楽天モバイルの黒字化について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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