1万円以下でマルチポイント接続機能を搭載したEarFunの格安ワイヤレスイヤホン「Air Pro 3」であの名曲を聴いてみた
2023.02.05「安いことは絶対的にいいことではない」というのは筆者の口癖みたいなものだが、それでも安さを考慮しなければならない場面も多々ある。
Earfunブランドのワイヤレスイヤホンはとにかく安いことで知られているが、このブランドに限って言えば「ミドルレンジ製品に対抗できるローエンド製品」を次々と世に送り出している。
『EarFun Air Pro 3』もそのひとつで、1万円に満たない販売価格でありながらマルチポイント接続機能が搭載されているのだ。
それだけでも、この『EarFun Air Pro 3』はすごい! ……と書きたいところだが、実物を試してみないことには何とも言えない。
いつものように、製品を取り寄せてレビューしてみよう。
マルチポイント接続機能搭載
去年あたりからマルチポイント接続機能を組み込んだワイヤレスイヤホン及びヘッドセットが続々登場している。
つまり、予め2台のデバイスにBluetooth接続し、電話がかかってくればスマホからの音声、PCでサボりゲームをする時はPCからの音声……というように、その都度切り替えて使用できるイヤホンということだ。
これは「2台からの音声を同時に流せる」という意味ではないことにも注意していただきたい。
いちいちBluetooth接続をし直さなくてもいいから、その分だけ手間も省ける。
これを今では「シームレス」と言ったりするらしいが、ズボラな人でも生活しやすい世の中になっていることは間違いないだろう。
『EarFun Air Pro 3』はこのマルチポイント接続機能の他、ビットレート可変型のオーディオコーデックaptX Adaptiveに対応する。
低遅延と高音質を両立したコーデックだ。
PR TIMESで配信されているプレスリリースには「ワイヤレス/Bluetoothでありながらハイレゾ相当の高品質再生が可能になります」と書かれている。
これは本当だろうか?
時の流れに身をまかせ
というわけで、音楽を聴いてみよう。今回はテレサ・テン名曲集をセレクト。
テレサ・テンは、東アジアの住人にとってはもはや「歌手」や「歌謡スター」というものでは収まらない。
時代という名の道に立てられた道標、或いは70~80年代を明るく照らした太陽である。
テレサの両親は蒋介石の国民党軍と共に台湾へ逃れた外省人で、彼女自身も台湾軍への積極的な慰問活動と同時に、中国本土の民主運動を支援していた。
故に中国共産党は、テレサのテープの流通を禁じたことがある。が、音楽の流入は政治権力では止めることができない。
香港でダビングしたテープが、中国では毛沢東死去の直前(つまり文化大革命の末期)から広く出回った。
この時代の中国本土で堂々と聴くことができる音楽といえば、革命歌か軍歌である。
そんな環境下で恋愛をテーマにしたテレサの曲は、当時の若者の心に消毒用アルコールの如く浸透した。
筆者の物書きの師匠O博士は、80年代初頭の中国の大学へ日本語講師として招聘されている。
博士は当時の若者が、テレサ・テンのテープを聴いている場面を目撃したそうだ。
毛沢東時代よりも遥かに自由度の高い胡耀邦時代とはいえ、西側陣営の楽曲を聴くのはかなりリスキーな行為だったはずだが……。
『EarFun Air Pro 3』で聴くテレサの歌声は、驚くべきふくよかさを有している。
桂銀淑のハスキーボイスが硬い地面から強く伸びる茎だとしたら、テレサの声は上空から降り注ぐ優しい日の光である。
このイヤホンが表現するボーカルは、しっかりバックミュージックとの区分けができていると感じる。
同化して一枚絵のようにはなっておらず、テレサの声がぐっと前に出ている……と表現すればいいか。
80年代の中国の若者が彼女の虜になった理由が、よく分かる!
そして、テレサの声に魅了される学生をただただ見守ったO博士の心情も、断片的にではあるが察するようになってしまった。
職場でも大活躍必至!
ジャズと演歌と歌謡曲は、壊れかけのオンボロラジオで聴いてもどういうわけか満足してしまう。
そのジャンルにしかない魔力の成せる技、というべきか。
受信状態の悪いラジオで『時の流れに身をまかせ』を聴いている最中、「こんなポンコツラジオじゃなくてもっと本格的なスピーカーを持ってこい!」などと言い出す者はいないはずだ。
雑音だらけだろうと何だろうと、いや、むしろその要素をひっくるめて曲自体に感涙してしまうのだ。
しかし、ここで敢えてヘソ曲がりなことを言い出すとしたら「それ故に」現代のワイヤレスイヤホンでテレサの歌声を聴いたことのないテレサファンが少なくないのではないか。
筆者はそう邪推してしまう。
なお、専用アプリ『EarFun Audio』を使用すれば音質そのものをカスタマイズすることも可能。
テレサの曲はこの設定、桂銀淑の時はこの設定、金蓮子の時は……という具合に、歌い手毎の設定を見出すことだってできる。
もちろん、音楽だけでなく仕事にもこの『EarFun Air Pro 3』は大活躍必至だ。
マイクは片側3基の合計6基、アクティブノイズキャンセリング機能は最大43dBカット、そして上述のマルチポイント接続機能。
これらをフル活用しつつも、仕事の合間にスマホで音楽を聴いてサボる……ということだってシームレスに実行できる! というわけだ。
『EarFun Air Pro 3』の小売希望価格は8,990円だが、筆者が2月2日にAmazonを確認したところ、20%引きの7,190円で販売されているではないか。
これは要チェックだ!
取材・文/澤田真一
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