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今こそ考えたい「教育移住」という選択肢、見えてきたメリットと課題

2023.02.09

保育園留学がつなぐ厚沢部町との縁

移住体験住宅のリビング。希望があれば、地域の方から厚沢部町の地元料理をふるまってもらえるとのこと。

「厚沢部町での暮らし」を体験できる点も「保育園留学」の魅力の1つで、季節に応じたさまざまなアクティビティを家族で体験できる。同じ時期に保育園留学で訪れた家族同士で仲良くなり、厚沢部産の豊かな食材を使ってバーベキューを楽しんでいた家族もいたそうだ。

滞在期間が長ければ地域住民と交流する時間も増え、厚沢部町発祥のメークインなど地元の特産品を使った食育体験に参加するなど、留学参加者が体感する厚沢部町の魅力は加速度的に増えていく。一度、厚沢部町に保育園留学で訪れると再訪したくなるようで、長期的な関係人口を築きつつあるようだ。

「プログラムの最後に記入していただくアンケートを集計したところ、これまで参加した人の97%がリピートを希望していて、66%が厚沢部町への移住に興味を持っていると回答してくれています。昨年の4月、10月、そしてまた今年の2月に三回目の参加をしてくださる方もいます」

気になる費用だが、1週間ごとにパッケージとして組まれており、15〜20万円ほど。移住体験住宅の宿泊費と、子ども園の一時預かり費、また季節ごとのアクティビティにかかる費用がその内訳だ。交通費や厚沢部町に来てからの生活費、車で移動するならレンタカー代など、パッケージされた金額以外にもかかる費用はあるため、いざ保育園留学を検討するのであれば余裕を持っておきたいところだ。

関係人口の創出から短期的な移住へ

2021年10月に始めたクラウドファンディング。最終的に支援者の数は100人を超えた。

もともと子育て世代が年々減少して、過疎化が進行していたという厚沢部町。外部評価の高かった「はぜる」も、園の定員120人に対して稼働率は75%ほどで地域の子どもにとっては充分な施設でありながらも「もったいない」状況だった。

2021年7月、「はぜる」のHPの写真を見たキッチハイクの山本代表から「1歳の娘を『はぜる』に通わせたい」という連絡があり、一時預かり制度を利用して厚沢部町に山本家が訪れて生まれた縁をきっかけに、保育園留学の計画がスタート。

保育園留学をPRする目的で、2021年10月に始めた目標額30万円のクラウドファンディングは、わずか公開4日で目標額を達成。一ヶ月後に募集を終了した際には150万円を超える資金が集まった。基本的には、地元の特産品を支援に対するリターンとしていたが、高額な支援に対しては保育園留学の早期体験を提供。

多くの子育て家族の注目を集め、すべり出しからここまで保育園留学は順調に展開されているように思える。ただ、木口さんは「実際に移住を決断されたのはキッチハイクの山本代表のご家族だけです。移住につながって過疎の解消まで到達できるかは、まだまだ道半ばといったところです」と語る。

「実際に厚沢部町に住むとなると、一時的な保育園留学よりまた一段ハードルが高いことは間違いありません。保育園留学を始めてから、移住体験住宅の稼働率は1年を通して100%に近く、最大で6世帯分の子育て世帯が厚沢部町で生活していることと実質同じ状況にはなっています。次の課題は、保育園留学で訪れる人と長期的な関係を築きつつ、本気で移住を考えてくれた人に応える仕組みを整えることだと考えています」

厚沢部町には高校がないため、高校生になると町外に出て生活する人も少なくない。定住してもらうことが厚沢部町にとって一番であることは間違いないが、例えば「はぜる」に通う数年間だけ厚沢部町に賃貸を借りて短期間生活するだけでも、街の活性化につながる。

「社会に合わせて行政側が柔軟な考え方を持たないと、多分これからのまちづくりは難しいのではないかと感じています」と話す木口さん。

大自然の中で、豊かな感性を育むことができる厚沢部町。“プレ移住”として、保育園留学を検討してみるのはいかがだろうか。

文/清談社・小森重秀

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