国交樹立70周年！戦後の国際社会復帰を後押しした日本とスリランカの意外な縁

2023.02.03

2022年でスリランカと日本は国交樹立70周年

日本とスリランカの親交は終戦から深まった。スリランカは1951年のサンフランシスコ講和会議で提案された「日本分割占領案」に反対、大統領のジャヤワルダナ氏は仏陀の言葉を引用して、賠償請求権を放棄して、日本を国際社会の一員として受け入れようというスピーチをおこなった。これにより会議の雰囲気は変わり、分割は見送られ、多くの賠償請求が免除され、日本の経済的発展への足がかりが生まれた。1952年サンフランシスコ平和条約発効を機に両国は国交樹立、2022年には国交樹立70周年を迎えた。この年、スリランカは財政破綻によりデフォルトに陥る。同年7月に大統領が辞任して政権交代が果たされた。新大統領に就任した元首相のラニル・ウィクラマシンハ氏の元、新政権は国家再建の道を歩み始めた。

そんな中で主催スリランカ大使、共済UNIDO事務所による「スリランカITフォーラム2023」が浜松町スクエアビルにあるシン・オープン・ラボで1月16日に開催された。これは日本企業とスリランカのICT/BPO企業とのパートナーシップ構築の可能性を探る交流会で、スリランカの7社が参加、短いプレゼンテーションと個別面談がおこなわれた。

スリランカ大使ロドニー・ペレーラ氏による開会挨拶

スリランカと日本のビジネスでの結びつき

スリランカは苦境から安定へ向かっている、と語ったのはスリランカ大使ロドニー・ペレーラ氏だ。日本とスリランカはビジネスでも長い交流関係があり、50年以上前に高級食器ブランドのノリタケカンパニーがマータレ市に従業員1000人以上の大規模工場を作り、食器事業の約50%を供給しているという。また、国内竣工量ランキング12位の尾道造船が1993年から運営を始めたコロンボバックヤードには、10万トンの4号ドックを含む4つの乾ドックがあり、修繕と新造船がおこなわれている。KDDIの海底ケーブル敷設船を建造した実績を活かしてフランス通信大手向けの海底ケーブル敷設船1隻を受注した。2022年にはノルウェーの洋上風力発電関連船会社エッダ・ウンドから洋上風力発電のメンテナンスをおこなうCSOV船、4隻を受注している。

スリランカは識字率を含め教育水準が高く英語を使える若い人材が多く、適応能力が高く勤勉であるため海外企業からの評価も高い。日本人コミュニティーも多い。IT企業は経済的スケールが大きいためスケールメリットにより日本よりもロープライスでサービスを提供できるためコラボするメリットは大きいと大使は熱弁した。

シン・オープン・ラボ主宰、中島高英氏も駆けつけスリランカ企業にエールを送った

さまざまな規模のスリランカIT企業7社が参加

プレゼンテーションをおこなったのはIT企業7社で従業員数1300名を超える大手から、先進的なITソリューションプロバイダーなど、いずれも開発経験豊かな企業が集結した。中には日本語での説明、また日本語でのプレゼン資料を使うなど、日本語に堪能なスタッフの姿が目立った。参加企業を紹介しよう。

●hSenid Software Lanka

スリランカ初のIT企業で25年の歴史がある。ソフトウエア、モバイルアプリ、Webウエア開発、及びデジタルマーケティングを専門とすると、大手アウトソーシングサービスプロバイダー。さまざまな開発に参加したエンジニアによるオフショア開発サービスを提供する。

●Zincat Technology

2010年に設立され、US、イギリス、中東など世界中の65 以上の顧客向けにこれまでに350以上のメジャーレベルの製品を開発。200名以上のプロのITチームがフルタイムで勤務。日本のオンラインゲームにも使えるエンジンによるゲーム開発、Webとモバイルアプリケーション、ERP、POSシステム開発など。