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NTTが人とのつながりを生み出す次世代アバターUX技術を開発、デジタルツイン構想の実現に向けて加速

2023.02.03

NTTドコモが基盤提供するメタバースMetaMeに人デジタルツイン技術を試験実装

日本電信電話株式会社(以下「NTT」)は、IOWN構想(※1)の柱の1つであるデジタルツインコンピューティング(以下、DTC)において、新たな未来社会を切り拓くための4つのグランドチャレンジ(※2)に取り組んでいる。

具体的には、

(1)気持ちそのものを伝えるコミュニケーション技術(感性コミュケーション)
(2)人と共に成長・共存する分身技術(Another Me®)
(3)未来社会の姿を探索する技術
(4)地球と社会・経済システムの包摂的な平衡解を導出する技術

の実現をめざしているという。

今回、この取り組みの第一歩として、コミュニケーションを通じて相互に理解し合い、他者や社会との繋がり作りを支援するための技術を開発。ドコモが技術提供するバーチャル空間構築技術に試験実装された。

開発の背景

現代社会は社会全体のデジタル化やAI技術の発展に伴い、効率的な生活が実現されている一方で、個人や社会の多様性が損なわれる可能性も指摘され始めている。

こうしたなか、NTTが取り組むDTC構想では、誰もが他者を尊重しあえる豊かで持続可能な共生社会の実現を掲げている。

そんなDTCに関する4つのグランドチャレンジのうち、感性コミュニケーション・Another Meでは、多様な個性を持つ人が繋がり、社会の中で新たな機会を創出するための技術の研究開発に着手。これまでに、相手の感性に合わせて情報提示方法を変えたり、人のデジタルツインが自律的に行動したりするための技術開発(※4)を行なってきたと同社では説明している。

また、人のデジタルツインが実現した際に訪れる未来を描き出す取り組み(※5)も実施。今回、他者や社会との繋がり作りを支援するための技術開発をさらに進め、感性コミュニケーション技術やAnother Me技術を活用した新たなコミュニケーション基盤の社会実装を目指したという。

感性コミュニケーション(左)とAnother Me(右)

技術の概要

同社では他者や社会との繋がり作りを支援するための技術として、以下の技術開発に取り組んだという。

まず人の深い理解を可能にする技術として、個人の持つ感性や価値観まで推定する「脳内表象可知覚化技術」「個人性抽出技術」を開発。また、自分のAnother Meが自律的に社会活動を行うための技術として、本人のように話すことができる「個人性再現対話技術」を開発した。

・脳内表象可知覚化技術

心の中の捉え方や感じ方を直接的に理解するための新しいコミュニケーション手段の1つとして、心の動きを生み出す脳に着目し、脳内の反応と内面状態の関係をモデル化し図形等を用いて可知覚化するのが、脳内表象可知覚化技術だ。

同社では従来の言語・非言語コミュニケーションでは伝達しきれない感情や認知の微細な変化を含む感性状態を「脳の表情」と捉え、読み取り、知覚可能にし、提示する技術を開発。この技術により、ユーザ自身や他者の捉え方・感じ方の理解を促進し、コミュニケーションの量・質を高まるという。

・個人性抽出技術

個人の行動ログから、行動に影響を与える性格・価値観・趣味などの情報を埋め込んだベクトルを学習する技術だ。これにより、本人の価値観にあった行動をAnother Meが再現できるようになる。たとえば価値観の類似度を比較して、価値観の近い人同士を見つけたり、多様な価値観を持つグループを作ったりすることが可能になる

・個人性再現対話技術

脳内表象可知覚化技術(上)、個人性抽出技術(中)、個人性再現対話技術(下)

発言内容に一貫したキャラクタ性を持たせることを可能とする技術。指定したプロフィールや趣味などに応じた発言が可能な対話AIを実現する。本人の特性に基づき自律的に行動する人のデジタルツインを実現するための要素技術だ。

感性コミュニケーション・Another Meのプロトタイプ開発

今回、ドコモが開発したバーチャル空間構築技術にこれら技術が試験的に実装された。同技術を用いた新しいコミュニケーションサービス「MetaMe」は、2023年2月2日からオンラインで開催中のdocomo Open House’23にて展示発表されている。MetaMeでは以下2つのデモをチェックできる。

展示内容の紹介

・脳波を活用したコミュニケーション支援

MetaMeの世界で絵画や動画を複数人で視聴して、その際に生じる様々な感情の変化を表す脳波を簡易脳波計によって取得。取得した脳波を脳内表象可知覚化技術によりアバターがまとうオーラとして互いに見えるように可視化する。

見たものによって変化するオーラを通じて、相手や自分の感情の変化が表現される様子を見ることが可能。これによって、相互の関心・理解を高め、コミュニケーションの活性化を目指すという。

・ペット型Another Me

脳波の違いをアバターがまとうオーラの色や形状で表現(左)、ペット型Another Meがプレイヤー同士をマッチングしてくれる(右)

Another Meのプロトタイプとして、本人と近い個人性や価値観を持ち自律的に行動するペット型Another Meを展示。MetaMeの中で、ペットの姿をしたAnother Meを介して新しい出会いやコミュニケーションを体験できる。

ペット型Another Meには個人性抽出技術と個人性再現対話技術が搭載されており、自分と似た個性を持つ自分だけの”ペット”が、自分と価値観の合うユーザを見つけ、会話時に共通の話題を提供してくれる。

また、他の人の”ペット”との会話を楽しむことも可能。同社では、これによりペット型Another Meがリアルな本人同士の”かすがい”になることを目指すと説明している。

※1
IOWNデジタルツインコンピューティング(DTC)
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、主に、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタルツインコンピューティング(DTC)」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成される。
DTCは、心や感情等の感性によるコミュニケーション技術、人と共に成長・共存する分身技術(Another Me)、未来社会の姿を探索する技術、地球と社会・経済システムの包摂的な平衡解を導出する技術の実現をめざす。これにより、個人の多様性や機会・可能性の拡大、社会構造の複雑化、地球規模の不確実性が増す未来において、個人の生きがいや心の豊かさを増進しながら、地球・社会・個人の間で調和的な関係が築かれる社会を実現していく。
URL:https://www.rd.ntt/iown/
URL:https://www.rd.ntt/dtc/
※2
NTTニュースリリース 2020年11月13日:地球・社会・個人間の調和的な関係が築かれる未来社会の実現に向けて~デジタルツインコンピューティングの4つの挑戦~
URL:https://group.ntt/jp/newsrelease/2020/11/13/201113c.html
※3
docomo Open House’23
URL:https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/openhouse/openhouse2023/
URL:https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2023/02/01_00.html
URL:https://lp.metame.ne.jp/
※4
感性コミュニケーション技術の実現に向けた熟練度と対話満足度に関する取り組み
URL:https://journal.ntt.co.jp/article/16952
Another Meを実現する技術群
URL:https://journal.ntt.co.jp/article/16956
※5
WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所と描く人とデジタルツインの未来
URL:https://group.ntt/jp/topics/2023/01/12/wired_sci-fi_sf.html
人と社会のWell-beingを可能にする研究開発の取り組み
URL:https://journal.ntt.co.jp/article/19117

https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/02/01/230201a.html

 

構成/清水眞希

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