アプリをノーコード開発できるサービス「Click」
ノーコード開発ツールの中でも、最近、ユーザー数や成功事例を増やしているのが、ノーコードでアプリを開発できるサービス「Click(クリック)」だ。
ノーコード開発ツールといえば海外製が多く、英語の面を操作しなければならないイメージがあるが、Clickは日本語に対応しているのでわかりやすい。
またアプリ開発は無料ででき、アプリストアにリリースする際に有料プランに切り替えれば良い点もユーザーに優しく利用しやすいと評判だ。
実際、どんなユーザーが使っているのか? ノーコードジャパン株式会社 カスタマーサクセス・広報担当の田中佑芽氏は次のように回答する。
「利用者層の多くは、Clickを使って新たに事業・サービスを始めようと考える起業家や新規事業の担当の方です。
起業家の方は、創業のために使われるケースや主軸のサービスとは別事業を立ち上げる際に使われるケースがあります。
ビジネスモデルで言えば、既存のビジネスモデルに新しいアイデアや試みを加え、新たなビジネスモデルとして展開するベンチャータイプと、存在しないビジネスモデルを創生しようとしているスタートアップタイプに分かれます。
また、新規事業の担当の方とは、大企業、中小企業の社内で新たに事業を起こす部門の担当の方です。
サービスをこのようなターゲットに絞っていることもあり、Clickは特に立ち上げ・運用・拡大に強いプラットフォームとなっており、前述のようなゼロイチ(※)フェーズの方々に使っていただいております」
※ゼロイチ:「0」から「1」を創り出すこと。これまでになかった新規事業を生み出すこと。
●Clickのアプリ開発事例
Clickからは、すでに様々なアプリが誕生している。2つの事例を紹介する。
1.ライブ配信アプリ「LIVER HOUSE」
「Clickの新機能であるLIVE配信機能を搭載したライバーハウスの『LIVER HOUSE』は、リリースまでに足りなかった追加部品の開発を除けば、2ヶ月という短期間で行ったアプリです。現在、運用中でPMF(プロダクトマーケットフィット/顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態)に向けて進めており、現フェーズとしては顧客のフィードバックを反映しながらプロダクトの質を上げていっている最中です。
ノーコードの修正スピードが速い特長を上手く活用され、お客様の熱が冷める前にアップデートを素早く行い、顧客満足度の向上を測っています。βリリースから1ヶ月で2,000ダウンロード、アプリ内流通総額で早速、約1,000万円ほどを創出しており、両KPIは現在も継続して伸びています」
2.県民向けポータルアプリ「ふくいコンシェルジュ」
「大規模なダウンロードを記録した事例です。地域のスマート化を全国に展開するスタートアップ企業OZ1が、福井県で県や県内市町が提供するデジタルサービスや、県民向けサービス連携基盤上で提供される様々なサービスの入口となるポータルアプリ『ふくいコンシェルジュ』を2022年11月にリリースしました。Clickの開発環境をベースに構築された『UAX-LINK(ワックスリンク)』というサービスを用いています。リリースから2ヶ月でダウンロード数は3万6,500件まで伸び、大規模なアクセスにも耐えるアプリとして走っております」
Clickとして、今後は「個人での受託開発やDXといった他のセグメントのターゲットにもアプローチをかけていく予定」とのこと。
また海外進出の展望もある。
「国外では、起業がめぐるましい東南アジアで世界展開の基盤を作りにいき、その後は随時各国へ展開していきます。日本を入口に、『世界中の誰もがアイデアを形にできる社会の創出』を目指していきます」
今後、一般ビジネスパーソンのもとにもノーコード開発の機会は増えるだろう。ぜひいち早くノーコード開発に着手してみてはいかがだろうか。
【取材協力】
高橋 翔氏
一般社団法人NoCoders Japan協会 代表理事
株式会社プレスマン CINO(Chief Innovation Officer)。iU 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。
https://no-coders-japan.org/
取材・文/石原亜香利