DIME MAGAZINE
外食料理も家庭料理も、SNSがトレンドを作る時代
今や料理のトレンドは、SNS抜きにして語れない。外食業界では2022年、Instagramのリール（短尺動画）利用者が急激に伸びたことで、「炭の煙があがる土鍋ご飯」「雪のように降る白トリュフ」など、シズル感のある演出の料理が大流行した。またスイーツでは、「生ドーナツ」「生わらび餅」「ハイブリット系カヌレ」なども、SNSが火付け役となってヒットした。
では家庭料理はどうか。家庭料理写真が月間16万枚以上、年間100万枚以上も投稿されている料理SNS「スナップディッシュ」編集長の佐々木真理氏に聞いた。
「スナップディッシュ」スマートフォン画面のトップページ。スナップディッシュは、ヴァズ株式会社が2010年に始めた料理写真のSNSアプリ。ユーザーからの2,800万を超える料理投稿データを解析し「美味しそう」をスコア判定する「AI料理カメラ」を搭載しており、料理に特化したコミュニケーションプラットフォームを運営している。
料理SNS「スナップディッシュ」編集長、イベントディレクターの佐々木真理氏は元ソムリエール。
2022年のトレンド家庭料理は「お米リバイバル」「アルモンデ」
編集部では投稿写真の傾向を分析し、その年のトレンドを表す「今年の食卓」を年末に発表している。佐々木編集長によると、2022年は食品の値上げラッシュや輸入肉の高騰など、お財布事情が厳しかったために、食卓ではさまざまな「食の見直し」が起こったことが、投稿からうかがえたという。そうした世相を反映した「今年の食卓2022」は「お米リバイバル」と「アルモンデ」だと語る。
「スナップディッシュ 今年の食卓2022」は、2022年1月1日～2022年11月20日のスナップディッシュユーザーの食卓投稿の中から、2021年と比較して増加しているキーワードの出現投稿数、それらの投稿へのコメント数、いいね数、シェア数等のリアクションデータをもとに、スナップディッシュ編集部が選考し、決定している。
小麦粉の価格高騰で、米粉の魅力を再発見した2022年
「2022年は、小麦などの穀物を代表とする食品が高騰する中、価格が安定しており食卓への出現が上昇したお米の価値の再発見が起こりました。家庭の食卓でもお米や派生食材を使った新たなトレンドが多数生まれていることから、今後消費量も伸びていくと予測しています」（佐々木編集長）
中でも家庭料理への登場頻度が増えているのが、米粉を使った料理だ。特に米粉をメインとするパンやスイーツが増え、肉や魚料理、揚げ物などで小麦粉の代わりに使う投稿が目立った。
「カリッと仕上がる、もちっとした食感など、米粉ならではの新たな魅力の発見にも繋がったことも後押しとなり、使い始めた人からのクチコミによってトレンド化したと言えます。また、米粉は小麦アレルギーの人でもパンやケーキなどトレンドスイーツを楽しむことができ、グルテンフリーで低GI食品でもあることから、コロナ禍以降の健康志向にもマッチしており、今後さらに使う人が増えると見ています」（佐々木編集長）。
米粉料理の投稿例。左は「秋鮭の米粉ムニエル」、右は「おうちカフェ/米粉のカヌレ」。米粉は寝かす手間もいらない点も簡単だという。
またここ数年続く南インド料理のブームから派生して、22年はインドの炊き込みご飯・ビリヤニがトレンド化した。外食店でもよくメニューを見るようになったが、家庭の食卓の登場頻度も急増しているとのこと。
「ビリヤニは本来手間暇のかかる料理ですが、コロナ禍以後に定着した海外料理を家庭でも楽しむトレンドも相まって、自宅で何種類ものスパイスや高級米バスマティライスを使って本格的にチャレンジする人から火がつき、オリジナルの楽しみ方も広がってきています」（佐々木編集長）
南インド料理ブーム×お米リバイバルで人気に火がついた「ビリヤニ」の投稿例。左はパスマティライスではなく普通のお米を使った「プローン・ビリヤニ」。右は「ビリヤニの元で炊飯器で簡単ビリヤニ」
SNS映えすることからヒットしたお米料理のが、韓国の混ぜ込みおにぎり「チュモッパ」。
「味の面でも、ごま油や韓国海苔など日本人も大好きな食材が使われ、子どもから大人まで楽しめることがヒットの要因と見ています。22年は『チュモッパの素』が発売され、レシピの数も増えるなど、今後さらに多く方が楽しむ流れが生まれています」（佐々木編集長）。
チュモッパの投稿例。左は「チュモッパ」、右は「チュモッパ」。キンパ（韓国風海苔巻き）より簡単にできることも人気の要。
最新号
