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印刷インキや有機顔料で世界トップシェアの化学メーカー「DIC」がスキンケア領域に参入した理由

2023.01.31

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

DIC(旧社名:大日本インキ化学工業)は、1908年に印刷インキの製造と販売で創業、インキの基礎素材である有機顔料、合成樹脂をベースとして、自動車、家電、食品、住宅などの分野に事業を拡大してきたファインケミカルメーカー。

同社はヘルスケア領域を重点事業領域のひとつと定め、新たな事業の柱として育成していく。その中から生まれたのがスキンケアブランド「fillwith」。

藍藻類スイゼンジノリの屋内における量産化技術の確立に世界で初めて成功

「化粧品としては機能性顔料や天然系色素などカラーマテリアル製品の提供は行っていましたが、スキンケア製品としては初参入となります。BtoCにした理由は、市場におけるお客様のニーズをいち早く取り入れて新たな素材、加工材料の開発に反映させる、いわば事業のアンテナ機能としての背景があります」(DIC 新事業統括本部 ヘルスケアビジネスユニットリーダー 清原照起氏)

同社では、1970年代に世界で初めて藍藻類スピルリナの商業生産に成功して以来、スピルリナ研究のパイオニアとして安全で高品質なスピルリナ粉末や、スピルリナ由来食用色素 「リナブルー」を健康食品、食品素材、飼料分野等へグローバルに展開している。

「fillwith」はすべてのアイテムに日本固有の藍藻類「スイゼンジノリ」から得られる細胞外多糖体を使用している。DICの強みである、食用藍藻類のスピルリナ事業で培った大量培養技術と特定機能成分の抽出技術を活かし、天然のスイゼンジノリから得られる細胞多様体を製造販売している熊本県のグリーンサイエンスマテリアルの協力を得て、スピルリナと同じ藍藻類であるスイゼンジノリを安定的に大量生産できる人工培養技術を開発に成功した。

スイゼンジノリは九州阿蘇山系の伏流水の身で育つ日本固有の単性藍藻類で、食用として江戸時代は細川藩や秋月藩が幕府に献上し藩財政を支えていたともいわれている。

スイゼンジノリが唯一天然で養殖されている福岡県にある黄金川(下記画像)においても自然環境や水質の変化によりスイゼンジノリの収穫量は減ってきている。DICはスイゼンジノリの生育条件を研究する中で屋内大量培養技術を確立、本技術を活かして黄金川の環境保全とスイゼンジノリという種の保存にも貢献していく。

清らかな水環境の中で自らの細胞を守るために分泌すると考えられているのがスイゼンジノリ細胞外多糖体で、最大の特長は驚異的な保水力と皮膚に対するバリア性。化粧品の保湿剤として一般的なヒアルロン酸と比較すると、純水では約5倍、塩水では約10倍の保水性。スイゼンジノリ細胞外多糖体の分子サイズはマイクロサイズであるため、ナノの厚さの緻密な膜を形成し、スイゼンジノリ細胞外多糖体集合体が肌の上で網目バリアを作り、皮膚内部から蒸散される水分を吸着することで多量の水分を含んだ被膜層を形成。皮膚細胞を外部刺激やアレルゲンから守るバリア効果を発揮する。

第一弾の商品ラインナップは2月1日に発売される、「Dバリアモイスチャライザー」「スムース・フィックスセラム」「RFカラーコントロールクリーム」と、4月1日発売予定の「Nラップマスク」の4アイテム。スイゼンジノリ細胞外多糖体のほか、アイテムごとに自然由来にこだわった成分を配合している。

「2つ以上の役割を持つ、日々のお手入れにプラスできるケアアイテムを揃えています。男女を問わず使える商品化を行っており、スキンケアは化粧水しか使っていないという男性にもぜひ使っていただきたいと思います」(DIC 新事業統括本部 ヘルスケアビジネスユニットH-2プロジェクト 飯山美香氏)

○「Dバリアモイスチャライザー」(30mL・5500円)

2層のスプレータイプの仕上げ用ローション。細かなミストで肌の上にヴェールを作るフィックス成分がメイクを密着させて崩れを防ぐ。ローション成分が肌にうるおいを与え、ミストにより肌上にヴェールを作るフィックス成分が肌を保護。日中の乾燥が気になる時はメイクの上から使用できる。

片手でシェイクしやすい容器になっており使用前に5~6回振って、顔から15cmほど離して顔全体にムラなくスプレー。5~6プッシュが目安。スプレーの後は、肌に触れずにそのまま乾かす。

【男性には】乾燥が気になるときや日中のうるおい補給としてシュッとスプレー。

○「スムース・フィックスセラム」(30g・7920 円)

沙棘、モリンガ、ノニ、ザクロ、バオバブ由来成分などの自然由来成分を配合。美容液型保湿ジェルとして朝だけではなく就寝前のスキンケアにも使用できる。弾力感に優れた形状記憶タイプのジェルは、伸びがよく肌にしっかりとなじみベタつきを残さない。目元、口元など乾燥が特に気になる箇所には重ねつけがおすすめ。化粧下地として使えば、上に重ねるCCクリームやファンデーションをなめらかに密着させる。

【男性には】皮膚コンディションニング剤として、グリチルリチン酸2K、エクトインを配合しているので、シェービング後のケアにおすすめ。

○「RFカラーコントロールクリーム」(30g・9350円)

1本で3つの役割を果たすカラーコントロールクリーム。肌の透明感、自然な明るさを演出する種類のパール成分を配合。カプセルタイプの紫外線吸収剤と紫外線散乱剤を併用することにより、軽く伸びの良い付け心地で紫外線防止効果を発揮。上からファンデーションを使うこともでき、白浮きも皮脂浮きも抑えられ下地効果が持続。

【男性には】紫外線を防止して自然な明るい肌感に見せる。薄いベージュ色だが顔にのばすと肌になじむので「メイク感」が出る心配はなし。SPF40 PA+++の紫外線防止効果を持ちながら、クレンジング不要で洗顔剤で落とすことができるのでお手入れも楽。

○「Nラップマスク」(18g・8800円)

高い保湿力を持つスイゼンジノリ細胞外多糖体を配合した、乳化タイプの夜用バーム状美容液。保湿成分がエモリエント成分に閉じ込められた乳化タイプで、肌にうるおいを与えながら皮膚表面からの水分蒸散を抑える2つの機能でしっかりと一晩のうるおいを保つ。肌の温度でとろけて感触が変わり、なめらかなテクスチャーへと変化。肌に負担をかけずに、軽い力で伸ばすことができる。

皮膚コンディショニング機能を持つ植物(ゼニアオイ花、オタネニンジン根、ハトムギ種子、マヨラナ葉、ワイルドタイム)成分を配合。ベルガモットの香りとノバラの香りの2種類。

【男性には】化粧水、乳液のあとにスキンケアの仕上げとして使う。肌の温度でやわらかくとろけてきたら、顔の中心から外側に向かって丁寧になじませる。目元や口元など、特に乾燥が気になる部分には重ねづけして指先でマッサージするとさらに◎。

【AJの読み】インキ・顔料メーカーが作った「色と使い心地にこだわる」スキンケア

旧社名の大日本インキ化学工業のイメージが先行して、インキ会社が作る化粧品?と驚いたが、同社ではサステナブルエネルギー、スマートリビング、サステナブルパッケージなど様々な領域に取り組んでおり、今回のヘルスケア事業もそのひとつ。

とはいえ、新ブランドの「fillwith」には顔料メーカーならではの「色へのこだわり」もあり、全てのアイテムに設定したアイテムカラーは、使用シーンに呼応した空の色をイメージしている。

メイクアップではなく、日々の肌のお手入れに使うスキンケアのラインナップで、容器の質感や形、カラーはとてもスタイリッシュ。一人暮らしの男性のバスルームに置いても違和感がない。べたつかずさらりとしたつけ心地で、天然素材由来の香りは心地よく男性にもおすすめだ。公式オンラインショップのみでの販売。

文/阿部純子

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