■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議
スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、シャオミの最新スマートフォン「Xiaomi 12T Pro」を中心に、今後の注目となるスマホの最新バッテリー事情について話し合っていきます。
〝神ジューデン〟スマートフォン「Xiaomi 12T Pro」登場! ところで神ジューデンとは?
房野氏:シャオミのハイエンドスマートフォン「Xiaomi 12T Pro」が、ソフトバンクの“神ジューデン”ブランド第1弾として発売されましたね。
石川氏:日本ではまだシャオミにブランド力がないので、充電速度にフォーカスして「神ジューデン」とわかりやすく名前を付けて売り出した。シャオミの人に話を聞いたところ、「昔『写メール』のようにキャッチーな名前を付けて流行った成功体験があるので、そこから着想を得た」とのことです。
昨今、充電の速さを売りにしているのは中国メーカーのみ。中国メーカーのスマートフォンは、通信キャリアだとau、ソフトバンクからしかほぼ出ないので、「ドコモができないことをやった」という言い方はうまいなと。ただ、神ジューデンがどれだけ一般に受け入れられるかはわかりませんね。
房野氏:神ジューデンという定義についてもご説明いただけますか?
石野氏:ソフトバンクとしては、「20分以内で1%から100%まで充電できる」と定義しています。Xiaomi 12T Proの場合は、120Wに対応して、19分でフル充電といっていますね。
120W充電自体は2021年のモデルから対応していますが、そこを改めてフィーチャーして、ソフトバンクの力で広めたいというのがシャオミの狙い。ソフトバンクとしては、充電という新しい括りを作って普及させたい。
房野氏:Xiaomi 12T Proを神ジューデンとして売り出そうと仕掛けたのは、ソフトバンク、シャオミのどちらなのでしょうか。
石野氏:神ジューデン自体はソフトバンクの商標ですね。神ジューデンブランドは第2弾、第3弾製品も発売予定で、次回以降のモデルはシャオミに限らないと話していました。石川さんのお話にあった写メールみたいに、メーカーに限らず発売されると思います。
充電機能自体は中国で盛り上がっていて、120Wを超える製品も出てきてはいますけど、日本市場でどこまで充電速度が重視されているのかが、いまいち見えてこない。
法林氏:何が起きているのかを紐解くとすごく単純な話。もともと、持ち歩いたり家で使えるレベルの充電器は出力が低かった。技術が進歩して、小さいサイズのACアダプターでも出力が上がってきたので、スマートフォンに同梱しやすくなっている。
もう1つは、電圧を高く設定して充電すると、どうしても熱を発生するので、熱のセンサーをスマートフォン内部に配置して制御する必要がある。実はこの技術は、他メーカーでも数年前から実装していて、その延長線上にある。突然シャオミがすごい製品を出したというわけではありません。