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売り買いせず見守るだけ!?成長するNFT「marimo」の存在価値を考える

2023.01.29

ここ1年ほどで耳にする機会が増えたNFT(Non-Fungible Token)。暗号資産のように投機的なイメージを持たれがちだが、2022年9月にアル株式会社が販売開始した『marimo』はマリモを育てて楽しむという一風変わったコンセプトのNFTだ。発売開始からわずか7分で1万点が完売したmarimoの持つ魅力、またmarimoから読み取れるNFTがもたらす未来について、開発者に取材した。

購入して終わりではない、成長を見守るNFT

NFTとは「非代替性トークン」の略称で、ブロックチェーン技術を用いた代替不可能なデジタルデータを指す。ここ1、2年で発展してきたNFTは、デジタルアート作品や『NBA Top Shot』をはじめとしたデジタルトレーディングカードによく用いられている。

現状として、NFTはマーケットプレイスでの売買を通じた投機的な側面に注目されがち。また導入するにはイーサリアムの購入が必要など、初心者にとってはハードルの高いコンテンツといえる。そのイメージを払拭することを目指して誕生したのが『marimo』だと、開発ディレクターの川地啓太さんは語る。

「売買目的ではなく、時間とともに成長するマリモを観察して楽しむことをコンセプトとしました。マリモの水槽は徐々に汚れていき、成長速度も鈍化します。少額のガス代(手数料)を支払うことで水換えが可能で、購入して終わりではなく手入れして愛着を持ってもらうことを目的としました」

水換えは自分のマリモだけでなく、他人のマリモにおいても可能だ。水換えの履歴はブロックチェーン上に保存されるため、誰がいつ水換えをしたのかが分かるようになっている。

「水換えの履歴を辿ってお礼を伝えたり、SNSに水換え依頼を投稿し、それを見た誰かが実行したりするといった交流のきっかけにもなっています」

marimoは定期的な水換えにより最短で5年程度で最大になる。マリモの種類は色と形状合わせて1000種類。ランダムな数値で能力が割り振られるが、成長などへの影響はなく、コレクション要素となる。

2022年9月に1万点のNFTを発売したところ、およそ7分で完売した。当初は1000点程度の販売量を検討していた川地さんは驚きを隠せなかったそうだ。

「購入者の情報をたどると、およそ4割が初めてNFTを購入した人でした。また、イーサリアムは保有しているけどNFT未購入という人が多く、興味はあったものの何を買えばいいか分からなかったという層にうまくリーチできたのかなと考えています。特定の形状や色が人気といった形跡はなく、後から実装した命名機能も人気。買った人が愛着を持って保有してくれているのだと思っています」

NFTをクリエイティブ活動の起爆剤に

『marimo』開発の背景には、会社のミッションでもある「クリエイティブ活動が加速する世界を実現すること」があると代表取締役CEOの古川健介さんは語る。

「NFTはクリエイティブとの相性がとてもいい。しかし一般的にNFTに対して敷居が高いというイメージを持たれている上、現在興味を持っている層は暗号資産など投機的な側面で価値を見出している人が多い。そこで『marimo』では、NFTに親しみを持ってもらい、幅広い層に受け入れてもらうことを目指しました」

NFT最大の強みは、全てのユーザーの購入履歴や取引履歴がブロックチェーン上に保存され、誰でも閲覧可能な状態にあることだという。

「従来はGoogleなどの巨大テック企業しか持てなかったユーザーの行動履歴が誰でも取り扱いできるようになります。ユーザーが投機目的でNFTを売買しているのか、コレクション目的で購入しているのかなど、ユーザーの行動基準がデータを見ればわかります。つまり、ユーザーの信頼度が可視化された状態になるともいえます」(古川さん)

これを活用した取り組みとして、アルは2022年12月にNFTアートを無料配布できるプラットフォーム『dango』β版をリリース。応募者のステータスを確認することで応募条件をクリアしているかなどをチェックすることができる。

「転売目的の人など、配布する側が望んでいない人の手にデータが渡ることが減ることで、Giveaway(所持NFTを配布する際の条件として、SNSのアカウントフォローなどをお願いすることで影響力の獲得を目指す文化)が手軽かつ安全に行えるようになります。NFTを配布したい人は、本当に欲しいと思っている人の手に渡すことができる。一方で、NFT配布を通じてNFTプロジェクトを応援したい人はより支援しやすくなります」(古川さん)

今後もNFTを活用した、クリエイターの活動基盤となるようなサービスを提供予定だ。

「実力はあるのに、知名度が足りないクリエイターでもスポットライトが当たるチャンスが生まれやすいのがNFT。会社のミッションを実現するための仕組みづくりを今後も続けていきたいです」(古川さん)

取材・文/桑元康平(すいのこ)
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務を経て2019年5月より、eスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド(現ウェルプレイド・ライゼスト)のスポンサードを受け「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動開始。代表作に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』(小学館新書)。

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