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政府が増額を検討している「出産育児一時金」で出産費用を賄うことはできるのか?

2023.01.29

子どもを出産した方は、健康保険から「出産育児一時金」を受給できます。現在の制度では、出産育児一時金は原則42万円とされていますが、今後50万円程度に増額される見込みです。

今回は出産育児一時金について、制度概要や政府が増額を検討している背景などをまとめました。

1. 出産育児一時金とは

出産育児一時金とは、健康保険の被保険者またはその扶養者が出産した際に受給できる一時金です。原則として健康保険が適用されない出産費用につき、出産者や配偶者の経済的負担を軽減する目的で支給されています。

現在の制度では、出産育児一時金の額は42万円とされています。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は、その掛金額(1万2,000円)を控除した40万8,000円となります。

出産育児一時金の支給対象となるのは、妊娠4か月(85日)以上の出産です。早産・死産・流産・人工妊娠中絶も支給対象となります。

なお、多胎児(双子、三つ子……)を出産した場合は、胎児の人数分支給されます。

2. 出産育児一時金の受給手続き

出産育児一時金は原則として、健康保険の保険者から医療機関等に直接支払われます(直接支払制度)。

医療機関に直接支払制度の利用を申し出れば、窓口での支払い額が減額され、またはゼロになります。実際の出産費用が出産育児一時金額を下回った場合は、健康保険の保険者に差額の支給を請求可能です。

直接支払制度の利用を申し出ず、出産育児一時金の全額を直接受給することも可能です。その場合は、出産後に健康保険の保険者へ申請を行います。

なお、事務的負担や資金繰りなどの関係で、直接支払制度への対応が困難である小規模の診療所・助産所では、厚生労働省に届け出ることで「受取代理制度」の適用を受けられます。

参考:受取代理制度導入届 提出施設一覧|厚生労働省

受取代理制度が適用される診療所・助産所で出産する場合、出産をする本人が、健康保険の保険者に対して受取代理申請書を提出しなければなりません。

3. 出産育児一時金額の変遷

出産育児一時金の支給は、1994年9月に「分娩費」と「育児手当金」を統合する形で始まりました。その金額は、出産費用等の状況を踏まえて弾力的に改定することになっています。

支給開始以降、出産育児一時金の額は以下のとおり変遷しています。2009年10月以降は、原則として42万円の出産育児一時金が支給されている状況です。

1994年9月~2006年9月:30万円
2006年10月~2008年12月:35万円
2009年1月~2009年9月:38万円(うち参加医療補償制度掛金3万円)
2009年10月~2014年12月:42万円(うち参加医療補償制度掛金3万円)
2015年1月~2021年12月:42万円(うち参加医療補償制度掛金1万6,000円)
2022年1月~:42万円(うち参加医療補償制度掛金1万2,000円)

4. 直近の出産費用の状況

厚生労働省の資料によれば、2021年度の出産費用(室料差額等を除く)の平均値は46万2,092円、正常分娩に限ると47万3,315円でした。いずれも出産育児一時金の42万円を上回っています。

出典:出産育児一時金について|厚生労働省保健局 p6,7

また、上記グラフのとおり、医療機関等における出産費用は年々増額傾向にあります。

出産育児一時金の額は2009年10月以降据え置かれていますが、2012年度から2021年度にかけて、全施設の平均出産費用は5.6万円増加しています(41.7万円→47.3万円)。

増加分は本人や家族の負担となるため、出産に伴う経済的負担は、以前に比べるとかなり大きくなっている状況です。

5. 出産育児一時金の増額が社会保障審議会で了承|50万円程度になる見込み

厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会は、2022年12月15日に開催された第161回医療保険部会において、出産育児一時金を50万円程度に増額することを了承しました。

参考:第161回社会保障審議会医療保険部会 議事録|厚生労働省

50万円という金額は、2022年度の全施設の平均出産費用を約48万円と見込んだ上で、産科医療補償制度掛金の1.2万円を加算し、額を切り上げて設定したものと説明されています。

増額分の財源は、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の保険料増額などによって確保される見込みです。

出産育児一時金の増額は、2023年4月1日以降の出産に適用される予定となっています。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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