【米国起業家列伝シリーズ】今こそ米国最強集団ペイパルマフィアに学べ!
「いかなる創造活動も、はじめは破壊活動だ」これは20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソの名言ですが、現代のビジネス界で最もこの言葉にふさわしいのがペイパル・マフィアかもしれません。
現在まで世界をリードしてきた米国ハイテク産業の繁栄にも大きな影響を与えており、今回は米国最強集団ペイパルマフィアの成り立ちやカルチャーを深掘りしていきます。
ピーターティールとイーロン・マスクの関係
ペイパルマフィアを語る上で欠かせない人物が2人います。
それがピーター・ティールとイーロン・マスクです。
まず1998年12月にピーターティールが仲間とセキュリティソフトウェアの開発を目的とした「Confinity」を設立し、翌年に送金サービスのPayPalを公開します。
一方のイーロン・マスクはというと、同時期に弟のキンバル・マスクと協力して「Zip2」という地域情報サイトを運営する会社をCompaqに3億700万ドルで売却し、その資金の4分の3ほどを使って1999年11月にオンライン銀行サービスの「X.com」を起業します。
今でこそインターネットバンキングは当たり前ですが、当時は前例のない革新的なサービスであったため懐疑的な意見も多くありました。
こうしてお互いオンライン決済ビジネスの会社を経営するライバル関係となり、市場シェアもほぼ同じであったため短期的に熾烈な競争をしましたが、2000年3月に両社は統合して会社名をPayPalとしたのです。
ちなみにX.comとConfinityは同じ建物に入居していたことも有名なエピソードです。
こうしてPayPalは今日まで続く電子決済に暗号技術を使用したサービスによって、メールアドレスのみでお金のやり取りができる社会を実現させたのです。
しかし稀代の起業家の共存は難しかったのか、統合後はピーター・ティールがヴァイスプレジデント、イーロン・マスクはCEOに就任しましたが、驚くことにイーロン・マスクが新婚旅行中にペイパルの上級社員グループによるクーデターによりCEOを解任されてしまい、ティールがCEOに就任します。
その後2002年7月にペイパルはeBayに買収されますが、買収完了後にピーター・ティールも辞任します。こうした一連の出来事によって、これまでペイパルを支えていた優秀な人材が多く流出します。これが後の「ペイパル・マフィア」が生まれるキッカケとなったのです。
ペイパルマフィアの主要人物とその後誕生した企業
シリコンバレーを舞台にジェットコースターのような浮き沈みの激しいビジネスの世界を奔走するドラマが描かれる事が度々ありますが、こうした物語にも実はペイパルマフィアの活躍が多大な影響を与えています。
ではペイパルマフィアの主要人物がのちにどんな会社を立ち上げたのかをみていきましょう。
【ピーター・ティール】
ペイパルをeBayに15億ドルで売却後、ヘッジファンドのクラリウムキャピタルを創業して政府のデータ分析や照合を実行するパランティアに出資しており、犯罪ネットワークやテロリストの特定に役立てるなどデータドリブンな事業に携わっています。
旧ペイパル社員が起業をする際に多くの投資をしており、その他にも「ティール・フェローシップ」という若者向けのベンチャー育成プログラムの運営もしています。
ペイパルマフィアのリーダー的存在です。
【イーロン・マスク】
2002年にペイパルを売却後、同年に宇宙輸送ロケットの開発をするスペースXを起業し人類を火星に移住させることを目指しています。
また2003年にEV自動車のテスラに出資したのち、現在はCEOに就任しています。
その他にもトンネル採掘会社のボーリングカンパニー、直近ではTwitter買収やマイクロソフトが100億ドル規模の投資を決めたAIチャット「ChatGPT」を運営するOpenAIの設立者でもあり、最近ではスティーブ・ジョブズを超えた天才経営者とも呼ばれはじめています。
【マックス・レヴチン】
主にペイパルの詐欺防止システムに貢献したのち、2004年に「Slide.com」というMySpaceや Facebook向けにアプリを提供する会社を設立。2010年にGoogleに売却後、同社のヴァイスプレジデントに就任。また「Yelp!」の設立支援も行っています。
【リード・ホフマン】
ペイパルがeBayに買収されたときのペイパル副社長です。
その後ビジネス向けのSNS「LinkedIn(リンクトイン)」を創業。
その他にも現在まで主にファンウダーとして多数のスタートアップに出資しています。
投資先の有名な企業としてはFlickr(写真共有のコミュニティサイト)やKiva(マイクロファイナンス)などが挙げられます。
【チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリム】
ペイパルの元ウェブデザイナーのチャド・ハーリー、ペイパルの元エンジニアのスティーブ・チェン、ジョード・カリムの3人が共同設立者となり誕生したのが「YouTube」です。
起業の際の資金源はペイパルがeBayに買収されて得た資金が元手となっています。
【ジェレミー・ストップルマン】
米国では誰もが知っている地域情報サービス「Yelp!」の創業者です。
主にローカルの店舗やサービスに関してユーザーの意見を公開するSNSを展開しています。
創業したジェレミー・ストップルマンは就職先であるX.comの面接のときにイーロン・マスクと出会い、その才能に魅了されたと発言しています。その後、ペイパル技術部門のヴァイスプレジデントを任されました。ちなみに当時の上司は同じくペイパルマフィアで「Slide.com」を創業したマックス・レブチンです。
【プレマール・シャー】
インターネットを介してマイクロファイナンスを行う「KivaMicroFinance」の創業者です。このサービスを通じて発展途上国の小規模事業と融資者の仲介を行っています。
世界経済フォーラムが選ぶ「ヤング・グローバル・リーダー」にも選ばれた事があります。
【ディヴィッド・サックス】
社内版または企業版Twitterとも呼ばれるYammer(ヤマー)創業者です。
2008年9月に始まった企業・組織利用が想定されたSNSのエンタープライズ版であることも特徴のサービスです。
その後Yammer(ヤマー)は2012年にマイクロソフトが買収しています。
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