2023年、サステナブル素材70%のタイヤの量産と販売も予定
ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(以下、グッドイヤー)は、サステナブル素材90%のデモタイヤを発表。このデモタイヤはグッドイヤーの社内テストで、公道走行を可能にするために実施されているすべての規制テストに合格したという。
また、このデモタイヤは従来の素材で作られた比較用タイヤと比べても、転がり抵抗が低いことがテストにより証明されている。転がり抵抗が低いということは、つまり、このデモタイヤがより優れた燃費と二酸化炭素排出量の削減をもたらす可能性を示しているのだ。
さらに、グッドイヤーは2022年1月にサステナブル素材70%のタイヤ開発の成功を発表したが、2023年には、その素材の供給拠点との連携を強化し、量産および販売を開始する予定だ。
サステナブル素材90%のタイヤに必要となる革新的な素材と今後の課題
グッドイヤーのサステナブル素材90%のデモタイヤは、メタン、二酸化炭素、植物由来の油、使用済みタイヤの熱分解油原料から作られる4種類のカーボンブラックを特徴としている。
これらカーボンブラック技術は、炭素排出量削減、循環性の向上、およびバイオベースの炭素を使用しながらも一定の性能を発揮することを目標にしているというので、それぞれ特徴を見ていこう。
・このデモタイヤに使用されている「大豆油」は、極端な温度変化の中でもコンパウンドの柔軟性を保つのに役立つ。大豆油はバイオベースの資源であり、グッドイヤーの石油系製品の使用量を削減できるのだ。
大豆タンパク質のほぼ100%が食品や動物飼料用途に使用されているが、かなりの余剰油があるため、産業用途にも使用できる。
・「シリカ」はタイヤ製造に頻用される成分で、グリップ力の向上や燃費低減に効果がある。米の加工時に出る副産物で、廃棄され埋め立てられることが多い籾殻廃棄物残渣(RHAシリカ)から生成された高品質のシリカが含まれている。
・「ポリエステル」は、ペットボトルやその他プラスチック製品の廃棄物を基材に戻し、タイヤコードに使用可能な工業用級のポリエステルに改質することでリサイクルしている。
・「樹脂」は、タイヤのトラクション性能を改善および強化する目的で使用される。従来のタイヤでは石油ベースの樹脂が使われていますが、このデモタイヤでは、再生可能な松の木の樹脂が使用されている。
・「ビードワイヤー」と「スチールコード」は、ラジアル構造のタイヤにおいて強度を補強する素材だ。このデモタイヤには、電気アーク炉(EAF)プロセスを使用して製造された高リサイクル率の鋼のビードワイヤーとスチールコードを使用。
EAFプロセスを利用することで、エネルギー使用量を削減し、リサイクル含有量を高めて鋼を生産することができる。EAFプロセスは、高炉を使用して生産された鋼と比べて、温室効果ガス排出量が少ない可能性がある。
・このデモタイヤにはその他にも、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)を受けたバイオおよびバイオ循環原料からのマスバランスポリマーも含まれている。
今回発表したサステナブル素材90%のタイヤを市場投入するためには、素材の供給拠点との連携をさらに強化し、量産体制を安定させるために必要となる革新的な素材を確保することが必要になるという。
*サステナブル素材とは、バイオベース/再生可能なリサイクル素材、または、資源保護または排出削減を可能にする製造工程で作られるマスバランス素材を含む素材と定義される。
関連情報:https://www.goodyear.co.jp/
構成/Ara