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積極的な脳腫瘍手術により生存期間を延長できる可能性、カリフォルニア大学研究報告

2023.01.24

積極的な脳腫瘍手術により生存期間が向上

進行の遅い脳腫瘍の一つである低悪性度のグリオーマ(神経膠腫)に関する研究で、より積極的な手術により生存期間を延長できる可能性のあることが明らかにされた。

治療成功の鍵は、診断後できるだけ速やかに、できるだけ多くの腫瘍を除去することだという。論文の筆頭著者である、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)神経外科准教授のShawn Hervey-Jumper氏は、「この知見は、治療に関する議論に終止符を打つものだ」と述べている。詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に2023年1月4日掲載された。

米国では年間2万人が低悪性度のグリオーマと診断される。その大半は、若年期と中年期の成人である。グリオーマに対する治療は、手術による腫瘍の摘出が基本だが、多くの場合、取りきれなかった腫瘍細胞が徐々に増殖して再発し、それが悪性化して2年以内に死に至る。

今回の研究では、WHOの2021年の診断基準でグレード2に分類されたUCSFのグリオーマ患者392人を対象に、摘出される腫瘍体積と全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、および無悪性転化生存期間(malignant transformation-free survival;MTFS)との関連を検討した。

対象患者のグリオーマのサブタイプは、IDH遺伝子に変異のある星細胞腫(202人)と、IDH変異と染色体に1p19q共欠失のある乏突起神経膠腫(190人)であった。

MTFSは、最初の腫瘍摘出から残存腫瘍がグレード3以上に悪性転化(または死亡)するまでの時間と定義された。対象患者は、腫瘍体積のカットオフ値(術前:43.1mL、術後:4.6mL。以下、それぞれのカットオフ値以下の場合を「小さい」、カットオフ値を超える場合を「大きい」と表現)を基に、星細胞腫では術後の化学療法の有無も加味して3群に分類された。

その結果、OSが最も短かったのは、術後の残存腫瘍が大きいか、残存腫瘍が小さく術前の腫瘍が大きい群(星細胞腫患者100%)であった(OS中央値9.0年)。

2番目に短かったのは、術前の腫瘍および術後の残存腫瘍が小さく、かつ化学療法を受けた星細胞腫患者(27%)と、残存腫瘍が大きいか、残存腫瘍が小さく術前の細胞が大きい乏突起神経膠腫患者(73%)から成る群であった(OS中央値19.9年)。

OSが最も長かったのは、術後の残存腫瘍と術前の腫瘍の双方が小さい患者(星細胞腫患者36%、乏突起神経膠腫患者64%)であった(OS中央値は到達せず)。これらの結果は、2つの外部コホート(計365人)を用いた検証でも確認された。

次に、MRIで視認できる腫瘍を残らず切除する肉眼的全摘出(GTR)と、辺縁部の正常な組織まで切除する「GTRプラス」を施行した患者でのOSを比較した。

その結果、星細胞腫患者ではGTRプラスにより生存期間が有意に延びたが(OS中央値はGTRで11.4年、GTRプラスで16.2年)、乏突起神経膠腫患者では生存期間の有意な延長は認められなかった。

さらに、上記3コホートを対象に、PFSとMTFSについても追跡した。PFSは術後の残存腫瘍が大きい(>32.7mL)星細胞腫患者で最も短く(中央値1.8年)、残存腫瘍の小さい(≦1.2mL)乏突起神経膠腫患者で最も長かった(中央値8.1年)。

MTFSは術前の腫瘍(>31.2mL)と残存腫瘍(>0.14mL)が大きい、診断時の年齢が43歳未満の星細胞腫患者で最も短く(中央値4.5年)、残存腫瘍が小さい(≦9.75mL)乏突起神経膠腫患者と残存腫瘍が小さい(≦0.14mL)星細胞腫患者で最も長かった(中央値は到達せず)。

このことからHervey-Jumper氏は、「乏突起神経膠腫であっても、最大限の切除が有効であることは間違いない」と推察している。

論文の上席著者で同大学神経外科教授のAnnette Molinaro氏は「特に乏突起神経膠腫については、最大限の切除の必要性が疑問視されていたが、10年後の病状経過を調査した本研究から、診断後の早い時期に最大限の切除を行なうことで生存期間を延ばせることが分かった」と述べている。研究グループは、長期的な転帰を改善するためには、4分の3以上の腫瘍の摘出が必要だろうとの見方を示している。

一方、共著者の1人で同大学神経外科教授のMitchel Berger氏は、「小さな偶発腫瘍を見つけた場合には、様子を見ることなく手術する方が腫瘍をより確実に摘出でき、転帰も改善する。ただし、脳に障害を与える可能性を無視してのGTRやGTRプラスの施行は避けるべきだ」と述べている。(HealthDay News 2023年1月5日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.21.02929

Press Release
https://www.ucsf.edu/news/2023/01/424586/aggressive-surgery-increases-survival-low-grade-brain-tumors

構成/DIME編集部


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