■才能ではなく努力を褒める
自分の子どもが自信を持つことを、願わない親はいないだろう。ローランド博士も、「自信の有無は子どもの幸福と目標の達成を左右します」とし、これも会話を通じて培うことが可能だと説く。
いくつかポイントがあるが、一つを挙げるとすれば「才能ではなく、努力を褒めましょう」というのがある。テストで良い点数を取ったら、「生まれつき数学が得意なんだね」(才能)ではなく、「きっと一生懸命勉強したんだね」(努力)と、その頑張りにフォーカスする。
こうすることで、子どもは頑張れば困難を克服できると理解し、それが自信につながっていく。
また、褒める内容は具体的なものにする。「95点か、よくわかってるってことだね」ではなく、「分数の問題をきちんと解けたね」というふうに。
そこからつなげて、うまくいった学習戦略を強調する。例えば、「分数の割り算では分数を反転させるって知っていたんだね」という感じに。これは、努力のどの面が具体的に成功につながったのかを、子どもに理解させる効果がある。
ただし、褒めて自信を育てるやり方には注意も必要だ。1つめは「むやみに褒める」。これは、子どもの自信を逆に失わせる。自己肯定感が低い子どもほど、その傾向があるという。
もう1つが、「なんてすばらしい子なの」といった、「人格そのものに対する賞賛」。この場合、失敗したときは自分のせいにするリスクがある。
ともあれ、子供はウソの称賛を、ちゃんとかぎ分けている。子供ながらに、自分のスキルについて、「真実を思いやりのある方法で伝えて欲しい」と思っているものだ。
「リッチトーク」とか「上質な会話」と聞くと、なにかハードルの高い世界を考えてしまうが、実はそうではない。ローランド博士は、「効率性や正確さ、結果にこだわらず」、親子が必要とするものを会話によって与え合えばよいと言うとおり、窮屈に捉えないのが大事。
まずポイントをおさえ、会話の機会を増やしてみよう。始めてみれば、「その先はほとんど子どもが引き受けてくれる」のだから。
文/鈴木拓也(フリーライター)