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スタンフォード大学の教授が指南!重要な局面や難題をユーモアで切り抜ける方法

2023.01.23

ユーモアのある人は部下も上司も望まれている

仕事とユーモアなんて、水と油のような関係だと思われるかもしれない。が、意外にもそうでないことが、いくつかの調査からわかっている。

教授によれば、数百名のエグゼクティブ・リーダーを対象に行なったある調査では、回答者の98%は「ユーモアのセンスのある従業員を好む」と答えるとともに、その大半はそうした従業員のほうが「仕事ができる」と考えているという。

逆に、従業員の側でもユーモアセンスのあるリーダーを求めているようだ。「自虐的なユーモアを使うリーダーたちは、信頼性においても、リーダーシップ能力においても、部下たちに高く評価されている」と、教授は記している。

また、こんな実験も紹介されている。実験の内容は、「ヴィジット・スイス」という架空の旅行会社の「お客様の声」として、スイス旅行の短い感想コメントを書いて発表するというもの。

最初の発表者2人は、実験参加者に扮した研究助手で、彼らは真面目なコメントとユーモアのあるコメントを半々ずつ読み上げた。

発表が終わって参加者たちに感想の中身を評価してもらったところ、ユーモアのある感想を述べた人たちは、「有能である」「自信がある」「地位が高い」のだろうと考えた人が多かった。さらに、ユーモアのある感想を出した人を自分のリーダーにしたいと回答した人も、はるかに多かった。

ほかにも、知的に見える、交渉を有利に導くなど、さまざまなエビデンスが論証されている。もしあなたが上司の立場であれば、ユーモアは活用しないほうが、もったいないと言えそうだ(単なるおやじギャグでは周囲を白けさせるかもしれないが……)。

■重要な局面もユーモアで切り抜ける

アーカー教授によれば、日常的なコミュニケーションだけでなく、キャリアの重要な局面においてもユーモアは効果的だという。

つまり、昇格か降格か、あるいはクライアントに切られるかといったきわどい場面でも、ユーモアは力を発揮するようなのだ。本書から、多くの企業の取締役を歴任してきたハイディ・ロイゼン氏の例をあげよう。

“ある公共技術系企業の役員になったばかりのころ、ロイゼンは会議中に微妙な問題が立ちはだかっていることに気づいた。休憩時間が終わって、彼女が会議室に戻ってくると、どうやらほかの人たちはずっと議論を続けていたらしく、さらには決定まで下したようなのだ―男性用トイレで。

本人が当時のジレンマを振り返って語っているとおり、ロイゼンはジェンダーの力関係が働いていることを暴き出し、男性たちに(あろうことか)トイレで話し合いをするのをやめさせようと決心した。そこである日、休憩時間に会議室から出ていこうとする役員たちに向かって、彼女はこう言った。「みなさん、男性用トイレで話の続きをするつもりなら……私も入りますよ」”(本書191pより)

幸いにも、このユーモア作戦はうまくいった。男性役員たちは、トイレで物事を決するやり方を改めたのである。しかも、余計な反感を買わずに。ユーモアは、相手に言いにくいことを伝えるとか、(少々頼みにくい)頼みごとをする時にも有効だ。

また、クリエイティブなアイデア出しにも、ユーモアは効き目がある。企業家でコンピューターサイエンティストでもあるアストロ・テラー氏は、メンバーたちから何か革新的なアイデアを募るとき、「みんなにしょうもないアイデアを出させる」そうだ。

「優れたアイデアを出して」と指示するよりも、「ぶっ飛んだ、時には優れた解決策を思いつくことが多い」というのがその理由。アーカー教授は、「ふざけたアイデアがどんどん飛び出して爆笑が起こると同時に、素晴らしい成果を生む」と、こうしたブレインストーミングの手法をすすめる。ユーモアに満ちた和やかな場では、「脳の創造を司る領域が活性化」し「心理的安全性も高まる」という。

■ユーモアデビューは仕事のメールから

職場ではユーモアの「ユ」の字も見せてこなかったあなたが、ユーモアの効用を知っても、いきなり実行に移すにはためらいがあるだろう。

そこでおすすめしたいのは、まずはメールから始めるやり方だ。それも文面のほんの一部でいい。アーカー教授のアドバイスに、「締めくくりに工夫をこらす」というのがある。

例えば、くたびれて元気がないとき「それでは。カフェイン漬けの〇〇より」というノリでOK。爆笑ウケを狙って、何を書こうかと悩む必要はない。

まず一歩を踏み出すことが肝心。また、「PS(追伸)」も、きわめて有効。それも、「こちらは雨が降っています」のような、時候の常套句レベルでもかまわない(もちろん、くすっと笑える表現であればベター)。

これぐらいなら相手が、「いつも真面目な〇〇さんが、どうかしちゃったんだろうか」と考え込んでしまうリスクはない。やったもの勝ちである。

また、初対面の人とのやり取りで、ユーモアを見せるのもいいだろう。何年も付き合いがある同僚と違って、向こうからの印象は白紙。なので、要らぬ違和感を与える心配がない。

ただし、その目的はあくまでも相手に好印象を与えることであって、芸人のオーディションのように爆笑させようと必死になることではない。

そして、自虐ネタが好印象を与えるのは、あなたが組織のトップの位置にいる時くらいだ。キャリアが浅いほど、自虐ネタはマイナスに働く危険性があるので注意。

アーカー教授は、ユーモアを口にするからには「面白くなくちゃいけない」と考えるのは、一番厄介な思い込みだという。重要なのは、自分にユーモアのセンスがあることを伝えること。それだけで、あなたの人生と仕事は、今日からちょっぴり変わるかもしれない。

・ジェニファー・アーカー
スタンフォード大学ビジネススクールのゼネラル・アトランティック・プロフェッサー。行動心理学者。目的と意義が個人の選択に及ぼす影響や、テクノロジーが人間の幸福や企業の成長にプラスの影響をもたらす可能性に関する研究の第一人者。博士の研究は主要な学術誌に幅広く掲載されているほか、『エコノミスト』『ニューヨーク・タイムズ』『ウォールストリート・ジャーナル』『アトランティック』『サイエンス』などの主要紙誌でも紹介されている。Distinguished Scientific Achievement Award(科学部門顕著業績賞)、MBA年間最優秀教授賞などを受賞。個人的には、1980年代初めのダンスコンテストで優勝を飾ったのが最大の偉業。

・ナオミ・バグドナス
スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ。組織のリーダーやフォーチュン100社、非営利組織などに向けたインタラクティブなセッションを促進し、エグゼクティブやセレブリティが『サタデー・ナイト・ライブ』や『トゥデイ』等の番組に出演する際の指導も行っている。〈アップライト・シチズンズ・ブリゲード・シアター〉で正式なトレーニングを受けたバグドナスは、劇場の舞台に立ってコメディーを実演し、サンフランシスコ郡刑務所では、レジリエンスを高めるための即興コメディーを教えている。バグドナス家に次々にやってくる保護犬たちは、彼女のことを「お人よしで、おやつをいっぱいくれる人」と評している。

文/鈴木拓也(フリーライター)

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