ユーモアの不足は全世界共通
本田技研工業の創業者・本田宗一郎氏は、かつて「日本人にはユーモアがない」と一喝した。本田氏の言うユーモアとは、「相手と付き合うときの余裕であり、相手を惹きつける言葉」。
そんな、機知に富むユーモアの才があるかと言われて、自信をもって「はい」と答えられる日本人は、現在も少ないかもしれない。
では、ほかの国の人々にユーモアがあるかといえば、そうでもなさそうだ。166か国140万人を対象にしたギャラップの調査では、笑ったり微笑んだりする回数は23歳ごろから急激に減り始めることが判明している。
ちょうど社会人になるタイミングで、ユーモアのセンスは脱ぎ捨て、代わりにスーツとネクタイに身に包んで、プロ意識とやらを持ってしまうわけだ。
でも、その過剰とも言える生真面目さは、本当に必要なものだろうか?
「私たちの職場には、もうこれ以上“プロ意識”など必要ない」―そう訴えるのは、スタンフォード大学ビジネススクールのジェニファー・アーカー教授。
同ビジネススクールのナオミ・バグドナス講師との共著『ユーモアは最強の武器である: スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』(神崎朗子訳、東洋経済新報社)で、アーカー教授は、「それより必要なのは、もっと自分らしく振る舞うことや、もっと人間らしいつながりだ」と説いている。そのための最強の武器が、ユーモアというわけだ。