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財産の差押えも!?国民年金保険料滞納による強制徴収のリスク

2023.01.22

会社員などの場合、厚生年金保険料は勤務先が代わりに納めます。これに対して、自営業者など厚生年金保険に加入していない方は、自分で国民年金保険料を納めなければなりません。

国民年金保険は強制加入であり、保険料を納付しなければ滞納処分(差押え)の対象となります。今回は、国民年金保険料を滞納した場合のリスクや手続きについてまとめました。

1. 国民年金保険料を滞納することのリスク

国民年金保険料を滞納すると、以下のリスクを負うことになります。

・延滞金の発生
・年金受給額の減少
・滞納処分|財産の差押え

1-1. 延滞金の発生

滞納した国民年金保険料については、納付期限の翌日から納付日の前日までの期間、以下の割合による延滞金が発生します(国民年金法97条1項)。

納付期限の翌日~3か月を経過する日:年2.4%
3か月経過日の翌日~:年8.7%
※納付期限が2022年・2023年の場合

1-2. 年金受給額の減少

国民年金の受給額は、保険料の納付実績によって変動します。

※2022年4月分~
出典:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構

国民年金保険料の未納期間があると、その分将来受け取れる年金額が減ります。なお、以下の期間に限り、国民年金保険料の追納が認められています。

<追納が可能な期間>

(1)原則
納付期限から2年以内

(2)保険料免除・納付の猶予などの適用を受けた場合
納付期限から10年以内

1-3. 滞納処分|財産の差押え

滞納された国民年金保険料については、厚生労働大臣による滞納処分が認められています(国民年金法96条4項)。

滞納処分は、未払いとなった税金を回収する場合と同様の手続きで、財産の差押え・処分が行われます。滞納処分が行われると、預貯金などの財産が強制的に差し押さえられ、生活に支障が生じるおそれがあるのでご注意ください。

2. 国民年金保険料の滞納から財産差押えまでの手続き

国民年金保険料を滞納した後、財産が差し押さえられるまでの手続きは、おおむね以下の流れで進行します。

・納付督励
・督促状の送付
・差押え予告
・差押えの執行

2-1. 納付督励

法律に則った滞納処分の手続きを行う前に、日本年金機構は「納付督励」を行うことが多いです。

納付督励とは、行政指導として自主納付を促すことをいいます。一例として、納付を求める架電や文書の郵送などが行われます。

2-2. 督促状の送付

納付督励に応じない被保険者に対しては、日本年金機構が督促状を発送します(国民年金法96条1項、2項)。

督促状には納付の期限が記載されており、期限までに滞納中の国民年金保険料全額を納付しなければ、滞納処分(差押え)の手続きに移行します。納付の期限は、督促状の発送日から起算して10日後以降の日付に設定されます(同条3項)。

2-3. 差押え予告

督促状の期限を経過すれば、日本年金機構はいつでも差押えを執行することができますが、実務上はその前に差押え予告が行われるのが一般的です。

差押え予告は、被保険者に対して「差押予告通知書」を送付する方法によって行われます。差押予告通知書に記載されている期日までに滞納金を完納しないと、差押えの執行は避けられません。

2-4. 差押えの執行

差押予告通知書に記載された期限が到来すると、差押えが執行されます。

預貯金や給与(の一部)などをはじめとして、幅広い財産が差押えの対象です。不動産も差押えの対象となり、競売を経て滞納分の支払いに充当されます。

3. 国民年金保険料の連帯納付義務について

国民年金保険料は、被保険者の世帯主と配偶者にも連帯納付義務があります(国民年金法88条2項、3項)。

国民年金保険料の督促を無視していると、世帯主や配偶者に対して請求・滞納処分が行われる可能性がある点にご注意ください。

4. 国民年金保険料が払えない場合の猶予・免除制度

国民年金保険料を支払えない場合は、以下の猶予・免除制度をご利用ください。

(1)納付の猶予

20歳以上50歳未満で、本人・配偶者の前年所得※が以下の金額以下の方は、申請によって国民年金保険料の納付が猶予されます。
※1月から6月に申請する場合は前々年所得

納付猶予の承認基準額
=(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

(2)保険料免除

本人・世帯主・配偶者の前年所得※が以下の金額以下の方は、申請によって国民年金保険料が免除されます。免除割合は、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4種類があります。
※1月から6月に申請する場合は前々年所得

全額免除の承認基準額
=(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

4分の3免除の承認基準額
=88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

半額免除の承認基準額
=128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

4分の1免除の承認基準額
=168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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