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識者が選んだ2022年のベストスマートフォンと通信キャリア採点簿

2023.01.19

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、2022年のスマホ業界を振り返っていきます。

識者が選ぶ2022年のベストスマートフォンは何?

房野氏:2023年も始まりました。そこで、2022年のスマートフォン業界を振り返っていただきたいと思います。まずは印象的だった端末からお伺いできますか?

房野氏

法林氏:予想外かもしれないけど、印象に残ったという意味では「Nothing Phone (1)」。世間の評価がどうだったかはわからないけど、メーカーの想いに理解はできました。

Nothing Phone (1)

法林氏

石野氏:そうですね。スマートフォンメーカーとしての第1号機と考えれば、よくまとまっていますし、ボディが光るのも楽しいですよね。

石野氏

法林氏:でも、プロモーションのやり方がいまいちというか、日本市場をもう少し勉強する必要性は感じました。

房野氏:スマートフォン市場初参入ということで、バルミューダと比較されることも多かった印象ですが、この辺りはいかがですか?

「BALMUDA Phone」

石野氏:逆にバルミューダのプロモーションはしっかりしていましたよ。発表会もやりましたからね。Nothingはこの辺りがまだまだです。

房野氏:なるほど。では、2022年のiPhoneシリーズはいかがでしたか?

石野氏:「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」は面白かったと思います。一方で「iPhone 14」は、全然変わりがないという衝撃を受けました。部材の調達など、いろいろな要因はあると思うけど、ちょっと停滞感がありますよね。新作なのにチップセットを新しくしない、その手法はちょっと期待外れです。

左)iPhone 14 Pro Max、右)iPhone 14 Pro

左)iPhone 14、右)iPhone 14 Plus

法林氏:下手したら、今年は〝iPhone 15 Plus〟のリリースはないかもね。iPhone 14 Plusが全然話題になっていない。

石川氏:まあ2年間は継続すると想像されるので、〝iPhone 15 Plus〟は登場するかと思いますが、2024年に〝iPhone 16 Plus〟は登場しないかなと思います。

 業界的にいうと、かなり円安に翻弄された1年でしたね。発表するタイミングと発売のタイミングで為替価格に違いがありすぎて、価格設定が難しかった。もう少し円高に戻ってくれると、海外からの端末を買いやすくなると思います。

石川氏

石野氏:そんな円安環境下で際立つのがグーグルですよね。

石川氏:そうだよね。グーグルはスマートフォンの下取り価格の設定を上げて実質の割引きを図るという、〝場外乱闘〟をスマートフォン市場に仕掛けてきた。これにはどのメーカーもついていけなかったですね。

法林氏:グーグルのリリースする最近のスマートフォンは、「何のために使う端末か」という、彼らの考え方が見えてくる。アップルは端末を売ることがビジネスの根幹になっているのに対して、グーグルはサービスを売って儲けていて、Pixelシリーズは、グーグルのサービスを使うためのデバイスとして捉えている。だから、端末の価格自体を安くして販売してもいいよね……と考えている節がある。にもかかわらず、Pixelシリーズには、「消しゴムマジック」をはじめとした、あまりスマートフォンに慣れ親しんでいない人でもわかりやすい機能が搭載されているのはすごい。端末としては、Pixelシリーズが2022年で一番良かったんじゃないかな。

Google Pixel 7

Google Pixel 7 Pro

石野氏:Pixelのすごいところは、スマートフォンユーザーにAIのサービスを買わせているところ。グーグルがAIのサービスを有料でリリースしても、「なんで無料じゃないのか」といわれかねないけど、Pixelという箱に乗せることで、ユーザーにお金を払ってもらうアイテムに変えられている。やっぱりAIはハードウエアがあってこそなんだなと思いますね。

房野氏:Pixelでいうと、去年に引き続き自社開発プロセッサの「Google Tensor」が搭載されていますよね。ここ最近のスマートフォンは〝自社開発チップ搭載〟が1つのトレンドになっている印象もありますが、このあたりはいかがですか?

石川氏:グーグルとしては、アップルといかに戦うかというところで、もうソフトウエアとハードウエアの両方を自社で開発するしかない。一方、クアルコムはといえば、カメラセンサーをソニーと一緒に作るといった感じになってきている。そんな垂直統合の流れが来ているので、パーツをかき集めて組み立てているだけのスマートフォンメーカーの立場は、より一層厳しくなっていくはずです。

石野氏:オッポのように、カメラ用のチップを作るなど、攻めのスタンスを示しているメーカーもありますね。意外だったのは、2022年にオッポが発表した「MariSilicon Y」というチップはオーディオ向けだったこと。正直、「こんなチップが必要なのかな?」と思ってしまいましたね。カメラ用のチップと比較すると、どうもパンチ力不足かなと。

石川氏:2022年のオッポはあまり元気がなかった気がしますね。

石野氏:そうですね。先日ついに縦折りのフォルダブルスマートフォンを発表したかと思えば、ほぼほぼ「Galaxy Z Flip4」のサブディスプレイだけを大きくしたようなものでした。日本市場においても、「OPPO Reno7 A」に集中しすぎていた印象。オッポにとって日本市場はパイが小さいので、売れているモデルに集中したいのもわかるけど……。

Galaxy Z Flip4

OPPO Reno7 A

法林氏:ハイエンドモデルの「OPPO Find X5」も日本では発売されなかった。市場全体として、日本は2022年にスマートフォンがあまり売れていない。端末の売れ筋価格が値下がり傾向を継続していることもあって、スマートフォンメーカー、キャリア共になかなか厳しい1年だった。加えて、端末の新機軸があまり出なかった1年でもあった。1インチセンサーは去年からやっていて、2022年は完成版となった……そんなうたわれ方でハイエンドモデルが脚光を浴びたけれど、それ以外に目新しいことがほとんどなかったのが、少し残念です。

石野氏:改善が多かったですね。〝マイナーチェンジの1年〟でした。

石川氏:だから、「Xiaomi 12T Pro」の〝神ジューデン〟が注目されたんじゃないですか。

Xiaomi 12T Pro

通信キャリアの2022年はどうだった? 話題の中心は「楽天モバイル」

法林氏:通信サービスという意味では、MVNOが苦戦しているよね。

石川氏:IIJは結構、業績が良いみたいです。

法林氏:KDDIの通信障害があって、かなりの数のユーザーがIIJに流れたみたいだしね。

石野氏:あと、楽天モバイルが0円プランをやめたことも大きいみたいです。2022年は、楽天モバイルがいろんなMVNOに施しを与えたというか(笑)

法林氏:MVNOだけじゃなくて、既存3キャリアも迎撃しているよね。LINEMOは半年間基本料無料みたいなキャンペーンを放ったり、〝仁義なき戦い〟じゃないけど、激しい競争になっている。

石野氏:楽天モバイルとしては、どこまでユーザー離れを想定していたのかが気になりますよね。

石川氏:0円プランの見直しは想定以上の離脱を生んだはずです。自分も、妻名義で契約していた楽天モバイルの存在を忘れていて、突然請求が来てびっくりしましたし(笑)

法林氏:楽天モバイルの回線を持っていると、楽天市場での買い物でポイントが+2倍(ダイヤモンド会員は3倍)とはいうけど、ポイント付与が増える楽天スーパーセールがあったり、「今日は東北楽天ゴールデンイーグルスが勝ったから○○倍」みたいなことが頻繁にあるので、そのタイミングで買い物をすればいい。楽天モバイルを契約しているうまみがあまりない。

石野氏:一応、楽天モバイルの契約をしていると〝さらに〟2倍、3倍と加算されるので、お得にはなりますよ。ただ、ポイントで通信料の元を取ろうとすると、10万円分くらいはショッピングで使わないといけなくなるので、生活を楽天に依存しないといけなくなります。

法林氏:まさに「経済圏」だよね。ポイントの2倍、3倍獲得に熱心になるくらいなら、ほかでもう少し通信が繋がる回線を契約した方がいいんじゃないかと思ってしまう。

石野氏:しかも、ソフトバンクだったら、Yahoo!ショッピングで常に5倍くらいポイントがつきますしね。

房野氏:そうなんですよね。割引率として考えると、極端にすごいわけではないですよね。

石野氏:3倍だと、消費税分にもならないですからね。結構ペイするのは大変です。

法林氏:楽天モバイルで気になるのは、端末のビジネスにコミットし切れていないというか、戦略的に調達できていない印象がある。ラインアップが少ないですよね。ソフトバンクのような独占端末を持のはハードルが高いだろうけど、もう少しバリエーションが欲しいです。

石川氏:タイミングが悪かったのは、回線と端末を分離するのと、楽天モバイルの市場参入がほぼ同時期だったこと。「楽天モバイルじゃないと欲しい端末がお得に買えない」といった魅力を実践できなかったことの影響は、大きかったかなと思います。一方、ソフトバンクは「分離なんて関係ないよ」といわんばかりに独占端末をいっぱい仕掛けています。ドコモが出した資料を見ると、端末のみを購入しているのは全体の3%程度で、残りの97%は回線とセットで買っているとのこと。やっぱり端末と通信回線はセットで売るのが一番いい。ただ、IIJによると、端末単体でも結構な数が売れているらしい。

法林氏:IIJは、あそこでしか買えない端末がそれなりの数あるからね。

石野氏:以前IIJに取材して聞いた話だと、「端末が売れているけれど、その割には儲かってはいない」らしいです。売上は立つけど、損益分岐のギリギリのところで販売している。でも、ユーザー獲得へのインセンティブには繋がるので、楽天モバイルからユーザーが流れているのは、こういった要因もあるかなと思います。

房野氏:2022年に通信キャリアで起きたトピックとして大きいのは、やっぱり通信障害になりますかね。

石川氏:そうですね。通信障害が起きたことをきっかけに、ローミングの議論が始まったり、デュアルSIMを推奨する動きもあります。通信とどう向き合うのかが見直された1年でもありますね。 

房野氏:あとは、プラチナバンドの割当も議論の最中ですね。

石川氏:ここでも話題の中心は楽天モバイルです。0円プランの維持が厳しくて、プラチナバンドを3キャリアから分けてもらえると思ったら、ドコモから待ったがかかっている。

石野氏:直接は言ってませんが、行間を読むと楽天モバイルに分けるのは3MHz幅で十分というのがドコモの主張になります。

法林氏:ユーザー数から考えると、それくらいが妥当だよね。

石野氏:楽天モバイルの分が悪いのは、エリア対策と容量対策をごちゃ混ぜにしているところ。一方で、ドコモは3MHz幅で十分と主張しつつ、自社で使いこなせていない帯域をきちんと把握している。さすがだなと思います。

盛り上がりを見せるタブレットとスマートウォッチ

房野氏:各メーカーから、スマートフォン以外にも、ウエアラブル製品やオーディオ製品も発売されました。

石川氏:「Google Pixel Watch」が出たのは大きい。Androidユーザーの選択肢が出てきたのはいいですが、とはいえまだ初代なので、これが数年間続いていくと面白い存在になるかなと思います。

Google Pixel Watch

法林氏:スマートウォッチ全体でみると、Apple Watchはあまり電池持ちが良くない。Pixel Watchは、Apple Watchよりは少し持つけど、シャオミやファーウェイ、ガーミンから発売されているような、1週間以上バッテリーが持続する製品を実際に使うと、毎日充電するのがわずらわしい。〝神ジューデン〟のスマートフォンが話題になっているけど、電池持ちの話はスマートウォッチのほうに重要性が高いと思う。

石川氏:一応、人体の熱で充電できるような製品もありますけど、そこまで充電速度は出ないので、結局は電力消費を抑える必要が重要だったりします。

法林氏:スマートウォッチの電池持ちの話でいうと、山に登る人にとってApple Watchは物足りないそうです。日帰りはともかく、泊りのある行程だと、下山時には電池切れなんて起きてしまう。最近のスマートウォッチは、GPS搭載でルートバック機能が付いているものが多いけれど、電池が切れたら当然、記録も残らない。

 あと、スマートバンドが注目かな。コロナ禍で自主的に運動する人が増えていることもあって、ジムがどんどん増えているので、スマートバンド、スマートウォッチは、今後も販売数が伸びていくと思います。

石野氏:端末でいうと、aiwaの新規参入や、HTCの復活もありましたね。あと、トーンモバイルが「ドコモのエコノミーMVNO」として、ドコモショップで取次販売を開始するといったニュースもありました。端末そのものの新しい機能というわけではありませんが、2022年は販売手法なども注目された一年でしたね。

法林氏:結局、去年は端末が不作だったという話に落ち着いちゃうね。

石野氏:スマートフォンよりも、タブレットが盛り上がりましたね。コロナ禍を受けてタブレット需要が上がっているので、Androidタブレットに復活の兆しというか、サムスンやオッポ、シャオミから発売されています。iPadも、標準モデルのデザインが刷新されて、iPad Airが第5世代になりました。

法林氏:ドコモも「dTab」の新製品を発表したしね。

dtab Compact(d-52C)

石野氏:そうですね。auではレノボのタブレットを取り扱って、新しいタブレットプランの発表もしています。でも、タブレットプランは変更が多すぎて、正直、覚えられません(笑)

……続く!

次回は、dスマートバンクについて会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦


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