高い処理能力と通信速度を両立、充電機能も便利だが……
ハイエンドモデルとしての高い処理能力を備えているのも、Xiaomi 12T Proの魅力だ。先に紹介したディスプレイの高リフレッシュレートと相まって、操作感は非常に軽快。重ためのアプリを動かしても、滑らかに動く。こうした点は、Snapdragon 8 Gen 1を搭載する、ほかの端末とほとんど変わらない。ベンチマークアプリ「Geekbench 5」で計測したスコアは、シングルコアが1260、マルチコアが3981。一般的なハイエンドモデルと比べても、そん色ない数値だ。
「Geekbench 5」でのスコア。シングルコアのスコアが4ケタを超えており、処理能力は高い
当然、5Gにも対応している。n77、n78といった高い周波数に加え、n3やn28といった4Gから転用した周波数も利用できる。ソフトバンクはn3やn28で比較的他社と比べて広いエリアを構築しているため、5Gで接続できることが非常に多い。時間や場所にもよるが、混雑しがちな渋谷のセンター街付近でも200Mbpsと十分な速度が出る。ただし、ドコモが運用するn79には非対応。ミリ波であるn257も利用できない。
売りである、神ジューデンの機能もXiaomi 12T Proの魅力だ。充電器やケーブルは本体に同梱されており、これを使うことで、急速充電を行える。実際に試してみたが、ケーブルを挿すと、小数点第2位までバッテリー残量が表示され、その数字が勢いよく上がっていく。あくまで演出ではあるが、急速充電のスピードを表す方法として秀逸。ただし、充電を開始すると、すぐに消えてしまうのは残念だ。バッテリーを消費する要因になるため、致し方ないところだが、画面をタップするなどして表示できるようにしてほしかった。
充電を始めた際に現れるアニメーション。残量が小数点第2位まで表示され、数字がみるみるうちに上がっていく
充電時間が非常に短く便利な急速充電機能だが、この機能がXiaomiの独自技術というところが少々気になる。充電器やケーブルを同梱しているため、すぐに使い始められるのはうれしい一方で、この組み合わせ以外だと120Wの急速充電にならない。外出先で休憩時間にちょっとだけ充電しておきたい場合、同梱の充電器を一緒に持ち運ばなければならないというわけだ。
では、予備の充電器を追加で購入すればいいかというと、入手がなかなか難しい。Xiaomiのオンラインストアはもちろん、ソフトバンクのアクセサリーを扱う「SoftBank SELECTION」でも、同じ充電器は販売されていない。海外から輸入する手はあるものの、なかなかハードルは高い。充電機能を売りにするのであれば、対応する充電器を手軽に買い足せるような環境もきちんと整備してほしかった。充電に関しては、ワイヤレス充電に非対応な点も少々気になった。
充電器やケーブルを、ソフトバンクやXiaomiのオンラインストアで購入することができないのは残念
コストパフォーマンスの高さを売りにしたシリーズだけに、ハイエンドモデルとしてはやや気になる点もあったが、これだけの処理能力やカメラを備えた端末としては、比較的リーズナブルだ。それだけに、ソフトバンク版が約14万円と高額になっている点は残念だが、2年経過後に端末を返却すると半額が免除される「新トクするサポート」を利用すれば、実質価格は7万円台。ハイエンドモデルとしては、比較的リーズナブルだ。手軽にハイエンドモデルを持ちたいユーザーには、いい選択肢が登場したと言えるだろう。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★
持ちやすさ ★★★★
ディスプレイ性能 ★★★★
UI ★★★★
撮影性能 ★★★★
音楽性能 ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
生体認証 ★★★★★
決済機能 ★★★★★
バッテリーもち ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。