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ちょっと待って!オンライン取引で個人情報を入力することのリスクを考える

2023.01.23

現実世界でも、オンラインでも「本人確認」は取引をする上で最も重要な要素であるといっても過言ではない。

デジタル化が進む現代社会で「デジタルアイデンティティ」という言葉が広がりつつある。これは、デジタルサービスやそれを使う現実世界のサービスで、利用者一人一人を識別したり認証したりすることで、便利で安心・安全なデジタル社会に必要不可欠な仕組みである。

今回、@DIMEでは、デジタルアイデンティティの領域で最先端の取り組みを行なっている株式会社ジェーシービー(以下、JCB)イノベーション統括部市場調査室長の間下さんに、デジタルアイデンティティとはそもそも何か。どのような課題を解決してくれるのか。初心者目線で、詳しく聞いた。

株式会社ジェーシービー イノベーション統括部市場調査室長
間下 公照さん
決済ビジネスの仕組みの在り方やデジタルアイデンティティの活用方法などを追及し、JCBの決済ビジネスと関わりを持たせるのか。ひいては社会にどのような貢献ができるのかを模索し、考える日々を送る。

「デジタルアイデンティティ」とは何か? 今、注目される理由

まずはなぜ「デジタルアイデンティティ」が必要なのか。

「そもそも、『アイデンティティ』と言えば、高校の社会科目で出てくるようなキーワードですが、デジタルの世界では、ヒトやモノを識別することを指します。」(間下さん)

国際規格であるISO/IEC 24760-1では、アイデンティティを「実体に関する属性情報の集合」、情報処理推進機構ではデジタルアイデンティティを「デジタル情報として統一的に管理された、人・デバイス・サービス等についての属性情報の集合」と定義している。

誤解を恐れずに言えば、「本人確認に必要な要素」のことをデジタルアイデンティティと理解して差し支えないだろう。

また、ここでいうデジタルの世界は、メタバースのようなオンライン上のみで実現している仮想空間だけではなく、現実の世界でデジタルサービスを使うシーンも含まれる。

「これらのシーンで物やサービスの利用履歴や、それに対する支払い、決済の情報などのデジタル化された記録は、ネットショッピングや銀行などあらゆるシーンですでに使われています。いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みとして、ペーパーレスでの合理化や、スマホからいつでもどこでも利用できる利便性の所以です」(同)

ここまでは読者の皆さんもイメージが湧きやすいはずだ。ネットショップで物を購入した時に、その購入履歴はショップ内からデータとして参照できるし、どのクレジットカードでいくら決済したかという支払いの情報もカード会社やショップ内のサイトで確認できる。データがデジタル化されて保管されているためだ。

では、取引相手を確認する機能はどうでしょうか。現実の世界での対面取引だと、本人確認が必要なシーンでは免許証等をお店の店員さんに見せて確認してもらえますが、デジタル上、オンライン上ではどうでしょうか。銀行口座開設でもネットショッピングでも、自分の名前や住所を事細かに入力させられますが、それを入力させた人(会社)が本当に信用できるのか、そもそもなりすましでないかを確認できますか?

郵便や宅配便が自宅に届けば、本人確認できたと言えそうだが、そもそもオンラインでは、本人確認するときに、必要以上に情報入力を求められてしまう可能性もあるし、この先社会のデジタル化が進むにつれて、この方法では限界が来ると間下さんは指摘している。

なぜ限界が来るのだろう。さらに詳しく解説を進めよう。

現実世界とオンラインの融合が進むにつれ、避けては通れなくなる課題とは?

メタバース(仮想現実)空間でのコンテンツを楽しみつつ、そこと紐づいた現実の世界で買い物をしようとするシーンを思い浮かべてほしい。

もし想像するのが難しければ、『ポケモンGO』のような、現実世界の中で楽しめるコンテンツで遊んでいるときに、そこで使えるアイテムを現実世界のコンビニで実際に購入するようなシーンでも構わない。

仮想現実空間でコンテンツを楽しむときは『アバター』という自分の分身のキャラクターを作るのが一般的です。その名前は実名でも仮名でも自分の好きな名前を付けますよね。そのアバターが何か物を買ったり契約をしたりといった行為に対して、経済的、法的な責任をだれがどのように保証してくれるのかという課題があります

具体的には、「VRゴーグルをつけてメタバースのコンテンツに没入しながら、現実世界の店舗を訪れて物を購入するとき、これは現実世界のショッピングなのか。オンラインショッピングなのか。見分けがつきません。現実世界で、私はメタバース空間の『アカレンジャー』という者ですが、この商品をください。アカレンジャーに紐づいたクレジットカードで決済したいです。と言われたとき、お店の人は素直に決済してくれるかというと、その人がどんな人かわからないので十中八九対応してくれないでしょう。アバターの『アカレンジャー』が信頼できないからに他なりません。まとめると、現実世界とオンラインを行き来するときに、例えそこに本名が表示されていたとしても、その人であるという保証を誰もしてくれないし、まして仮名を使ったアバター名であればなおさら“怪しい”ということになりかねません

これが、間下さんが指摘する課題である。

■リアルとオンラインでの本人確認情報の提供の仕方の違い

リアルの世界では自分の意思で免許証などを提示しているのに対して、オンラインでは、意に反して情報を提供してしまっている、せざるをえないという課題もある。と間下さんは指摘する。デジタルアイデンティティのインフラを使えば、提供したい先にだけ、自分の本人確認情報を渡すということも可能になる。

「情報銀行という、自分の情報を必要な先に必要なだけ提供して対価を得るサービスがありますが、デジタルアイデンティティのインフラは、情報銀行とは異なり、本人情報の確認とその確認情報の提供が主機能になります。」(間下さん)

(参考)
分散型アイデンティティを DID(Decentralized Identity)、自己主権型アイデンティティをSSI(Self Sovereign Identity)と表現する。

■シェアリングエコノミーでもアイデンティティの重要性がある

個人対事業者ではなく個人同士でも本人確認が重要になっている。

「シェアリングエコノミーで車をシェアするとき、図のように車のオーナーが利用者の品質を確認する、カーシェア事業者に対して顧客管理がしっかりできているかが重要になります。カーシェア事業者は顧客の様々な要素の確認をする必要があります」

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