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2050年までの「ネットゼロ達成」は多くの産業で困難、最新の調査で明らかに

2023.01.19

アクセンチュアはこのほど、最新調査の結果を発表。これによると、現在グローバル企業の34%がネットゼロに取り組んでいるものの、2030年までに二酸化炭素の排出削減量を少なくとも現在の倍にできなければ、ほぼ全ての企業(93%)でネットゼロ目標の達成は困難であることがわかった。

ネットゼロ実現に向けて企業は何をすべきか?

ネットゼロとは、大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状況のことだ。

世界の公共および民間の有力企業2,000社の排出削減目標とデータの分析結果に基づき作成されたアクセンチュアの最新調査レポート「Accelerating global companies toward net zero by 2050(邦題:2050年のネットゼロ達成に向けて加速するグローバル企業)」によれば、あらゆる地域で多くの企業が脱炭素目標を設定しており、科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi:Science Based Targets initiative)の認定を受けた目標数は、2022年、記録的に増加したことが判明した。

その一方で、エネルギー価格の高騰と供給不安が拡大している影響もあり、ネットゼロ目標の達成が困難であることが明らかになった。なお、別の調査では、84%の企業が「2022年末までにサステナビリティ関連の投資を増やす予定がある」と回答している。

価値創造や推進を可能にする「カーボン・インテリジェンス」を取り入れるべき

今回の調査では、ネットゼロに向けた活動を加速するためには、脱炭素および広範なESG(環境・社会・ガバナンス)に関する知見を中核事業とバリューチェーン全体に組み込み、価値創造や推進を可能にする「カーボン・インテリジェンス」を企業は取り入れる必要があることを示している。

カーボン・インテリジェンスには、炭素、エネルギーおよびその他のサステナビリティに関するデータとインサイトを財務、非財務を問わず、あらゆる企業活動に組み込むことで、日々の意思決定を促進する取り組みも含まれる。

アクセンチュアの欧州地域の最高経営責任者(CEO)を務めるジャン=マルク・オラニエ(Jean-Marc Ollagnier)氏は、次のように述べている。

「世界規模で政治、経済、環境が混乱している中、これまで以上に多くの企業が2050年頃までの大幅な脱炭素化を目指しています。前向きな意欲の高まりを心強く感じる一方、目標の達成には排出削減ペースを加速する必要があります。

デジタル技術や特定の再生可能エネルギーなどの成熟した技術の価値を最大化しつつ、水素のような新しいソリューション展開を同時に推進することが極めて重要です。企業がネットゼロ目標を達成するためには、あらゆる企業活動にサステナビリティを組み込み、企業の目的、文化、ビジネスモデルを再定義すること、つまり、緊急かつ抜本的な変革が不可欠です」

多くの企業がネットゼロに取り組んでいるものの、現状では、スコープ1、2におけるネットゼロ目標を達成する可能性のある企業はわずか7%に過ぎず、仮に目標年度を2050年にした場合でも8%と微増にとどまる。

削減ペースを2030年までに現在の2倍、それ以降では3倍に加速するシナリオでも、壊滅的かつ不可逆的な気候変動の影響を回避するために必要な期限とされる2050年までに、59%の企業が目標を達成できないという結果が示された。

脱炭素化の実現にはデジタルと物理的な技術の組み合わせが不可欠

アクセンチュアのカーボンストラテジー&インテリジェンスのグローバル・リードであるマウリシオ ベルムデス=ノイバウア(Mauricio Bermudez-Neubauer)氏は次のように述べている。

「科学と経済が求めるスピードと規模で企業が事業を推進するためには、複数のカーボン・インテリジェンスを同時に開発する必要があります。意思決定に必要な炭素関連のデータとインサイトをシステムやプロセス全体に組み込むことで、財務、非財務にかかわらず、企業のあらゆる資源の効率的な活用と、ネットゼロの達成に必要なデジタル、生物学、産業技術を展開する際の健全なリスクマネジメントを可能にします」

ネットゼロへの移行は、あらゆる企業活動に組み込むことが重要となる。脱炭素化の実現には、炭素関連のデータを理解し行動するためのデジタルと物理的な技術の組み合わせが不可欠だ。

アクセンチュアのチーフ・レスポンシビリティ・オフィサー兼グローバル・サステナビリティ・サービス・リードであるピーター・レイシー(Peter Lacy)氏は次のように述べている。

「今日の企業には、サステナビリティへのコミットメント、インフレや景気後退による圧力、株主とステークホルダー双方にとっての価値実現など、困難かつ複雑な期待と成果が求められており、最高経営責任者(CEO)はかつてないほど厳しい状況に直面しています。

アクセンチュアの最新調査では、現在のネットゼロの取り組み状況に関する、非常に憂慮すべき結果が浮き彫りになりました。資本市場、政府、その他の組織が、透明性や比較可能性、一貫性に基づき設定された目標の達成に対するプレッシャーを強める中、本レポートでは、企業がさらなる価値とインパクトを創出するための明確な進路も示しています」

またアクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 サステナビリティ プラクティス日本統括 マネジング・ディレクターの海老原 城一氏は、次のように話す。

「2022年4月以降、東京証券取引所がプライム市場に上場している企業に対し、TCFD提言に沿った気候変動リスクの開示を実質義務化することとしました。先進的な企業側ではこれを義務化と捉えるのではなく、好機と捉え、収益向上や企業成長に繋げていく動きが増えてきています。

気候温暖化リスクに前向きに取り組み先行者利益(First-mover advantage)を目指すのか、あるいは後期追従(Followers)に甘んじるのか、まずは企業の取り組み方針を定めることが肝要です。アクセンチュアでは温室効果ガス(GHG)排出量の可視化や分析のみならず、実際のGHG削減というアウトプット実現まで支援しています」

<調査方法>
本調査は、グローバル企業のネットゼロ目標の現状と未来を把握することを目的として実施した。レポートでは、ネットゼロ目標を公表している企業数、各企業が目標として設定している達成年度、そして、過去10年間の温室効果ガス(二酸化炭素など)排出量の削減実績を考慮した、目標達成にむけた現在地について示している。調査サンプルとして、アクセンチュアが収益に基づき独自に抽出した世界の公共および民間の有力企業2,000社のリスト「Accenture Global 2000」(「G2000」)を使用している。

出典元:アクセンチュア

構成/こじへい

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