愛知県名古屋市の北部に位置する住宅都市・春日井市。昨年、春日井市役所に「サボテン担当」の部署が誕生したらしい。
…なぜ?
東北出身で東京在住で愛知に何の縁もない筆者にとっては意表をつくような、まさかまさかの急展開。春日井市に一体何があったというのか?
早速、春日井市産業部経済振興課「観光・サボテン担当」の加茂さんに連絡をした。するとすぐに回答がきた。
サボテン LOVEの職員がおすすめするサボテンとの暮らし方
ーー「サボテン担当」ってナンですか?
「春日井市は街の特性として『住みやすさ』『暮らしやすさ』といった点が評価される一方、象徴的な地場産品がなく、個性が乏しいとも評されています」
「そんな中、街の個性になり得るものとして注目したのが『サボテン』。全国随一のサボテン栽培の歴史とノウハウ、そして先駆的な食利用の文化は街の強みだと思ったんです!」
ーーな、なるほど(熱意が凄い…)
「全国でサボテンを売りにしている街がほとんど存在せず、またコロナ禍において過酷な環境でも力強く育つというサボテンのイメージは春日井市のシンボルとして掲げるに足る素材であると考えています」
「そこで、サボテンを街のシンボルとして確立させ、市民文化として発展させることを目的に経済振興課観光・サボテン担当が設置されました」
そんな春日井市のシンボルを目指す「サボテン」だが、一般的には砂漠や荒野で育つイメージを抱いている人が多いかもしれない。なのにナゼ愛知県の春日井市で?
「確かに春日井市はサボテン栽培に適した場所であるとは言えません。しかし約70年前、サボテンに魅了された果樹農家が保温性を高める半地下式のガラス温室を作るなど、工夫を重ねた結果、市内での栽培が定着しました」
「特に栽培が盛んとなったのは桃山地区。果樹栽培が盛んな土地でしたが、昭和34年の伊勢湾台風の影響により果樹が壊滅。それを機にサボテン栽培に切り替える農家が増加し広まったんです」
そうだったのか。ここまで聞くとサボテンに熱狂し、担当部署を作ってしまう理由も納得だ。
ーーサボテン担当の活動内容とは?
「一つは庁内サボテンプロジェクトですね。市役所の若手職員を中心に組織横断的にチームを結成。寄せ植え体験、食用サボテンの試食会、クイズラリーを実施する職員手作りのサボテンイベントや、春日井サボテンのロゴマークを活用したグッズ製作などを実施しています」
さらに、若手女性職員が「さぼがーる」として「観る」「食べる」「潤う」などサボテンの魅力を市HP、広報紙やyoutubeで発信している。また、市内では春日井サボテンのPR役を担うサボテンキャラクターが子どもたちの間で人気だ。
若手女性職員による「さぼがーる」
サボテンキャラクターも人気!