エキマトペ
駅のアナウンスや電車の音といった環境音を視覚化することで、聴覚にハンディキャップを持つ人を始め、多くの駅利用者に効果的に伝えたい……そんな思いから開発されたのが「エキマトペ」。駅にあふれる音声情報を無指向性マイクで集音、AI分析により、文字や手話、アニメーションなどでモニター表示する装置だ。電車のブレーキ音、電車発着時のメロディーなどは、オノマトペ(擬音・擬態語)で表示することで、その場の雰囲気込みで状況を認知できる工夫をしている。
「エキマトペは、川崎市立聾学校の生徒による『こういったものがあるとうれしい』というアイデアをもとに、富士通、JR東日本、DNP(大日本印刷)、JR東日本クロスステーションが、聴覚障がいの有無に関係なく、誰もが楽しめる共通体験を目指して開発したもの。今後もテクノロジーの力で、より多くの人々の様々な思いに寄り添い、多様性を受け入れ合う社会の実現につなげていきたいと思っています」(富士通 未来社会&テクノロジー本部・本多達也さん)
上野駅で行なわれた実証実験では、Twitter投稿動画が66.4万回も再生され、評価は上々。今後、早期の実用化に期待が集まっている。
鉄道利用者の中には、周囲に気づかれにくいハンディキャップを持つ人も多い。こうした装置で「見える化」することで、サポートの必要性の認知が広まりそうだ。
駅に流れるアナウンスや「プルルルル」といった環境音をAIが分析し、リアルタイムで文字変換。感情豊かなフォントで表現することで、誰もが楽しめる仕様に。
川崎市立聾学校の生徒からは「手話で表示されていることで、とてもわかりやすかった」「全国の駅にあったら良いなと思った」などの感想も。
取材・文/桑原恵美子