外付け水冷BOXの実力やメリット、デメリットは?
冒頭でも触れた通り、G-Tune H5-LCは外付けの水冷BOXと接続できる製品。そもそもPCにおける「水冷」とは、冷却液と呼ばれる液体を循環させることで、PC内部の発熱部分から熱を吸収し、放熱する仕組みを指します。一般的なノートPCのほとんどのモデルが「空冷」と呼ばれる、空気の力で本体の熱を逃がす仕組みを採用していますが、基本的には水冷のほうが放熱性能は高いとされています。
G-Tune H5-LCの場合、本体には空冷ファンが搭載されており、別途外付けの水冷BOXを接続することで、両方から排熱ができる仕様となっています。
本体と水冷BOXの接続は、水冷チューブと電源ケーブルを接続したのち、Bluetoothにて行います。初期セットアップには、細かな作業があるものの、G-Tune H5-LCに設定マニュアルがダウンロードされているため、迷うことなく設定が行えました。Bluetooth接続は、「Mouse Control Center」というアプリより、ファンの回転スピードやLEDライトの制御を行うためのものです。
G-Tune H5-LCはもともとかなり高いスペックを搭載しているため、単体でもある程度負荷の大きいゲームや、動画編集といった作業をこなすことができますが、作業中に空冷ファンが回転する音が気になります。PCが高いパフォーマンスを発揮する際には発熱が付き物なので、排熱のためにファンの回転数が上がるのは当然ですが、空冷ファンの回転音はかなり大きく、集中して作業やゲームをしたい場合には、煩わしく感じることもあります。
水冷BOXを接続した場合、冷却性能が大幅に向上するため、ファンの回転数が下げられるため、回転音がほとんど気にならなくなります。もちろん、水冷BOX内でもファンは回転しているため、無音というわけではありませんが、空冷ファンのみの動作とは、比べ物にならないレベルまで抑えされるのが魅力。本体の熱が上がらないことで、高いパフォーマンスを長時間維持できるという意味でも、外付けの水冷BOXはかなり有用に感じています。
実際に水冷BOXを使っていて気になるのが、配線回りのデザイン。G-Tune H5-LC本体の背面と水冷BOXの前面にあるポートを水冷チューブで接続する関係から、水冷チューブはS字に曲がってしまうのがやや残念な印象。また、水冷BOXの前面には、どれくらい水を入れているのかがわかるメモリが表示されているのですが、筆者の目にはメモリがわかりにくく感じています。
水冷BOXなしでも文句なしの高スペックを搭載! 実はコスパ優秀?
G-Tune H5-LC本体は、CPUに第12世代インテル Core i9、GPUにGeForce RTX 3070 Tiを搭載。メモリは32GB、ストレージは1TBとなっており、メモリとストレージの容量はカスタマイズ可能となっています。
水冷BOXの存在に目を引かれがちですが、G-Tune H5-LC単体で見てもパフォーマンス能力は抜群。筆者は普段、動画を再生しながらWeb検索や原稿の執筆といった、マルチタスクでの作業が多いのですが、動作が鈍くなるシーンも見られず、快適に使用できています。もちろん、PCゲームもなめらかに動作します。
バッテリーの動作時間は最大約7.5時間。主に屋内で使用する機会が多いゲーミングノートPCとしては標準的なバッテリー性能といえるでしょう。自宅内で位置を変えて使用する程度であれば、問題なく使用できます。
公式ストアでの販売価格は、34万9800円からとなります。もちろん、ノートPCとして決して安価とはいえませんが、スペック構成に加えて、デスクトップPCのように、別途ディスプレイやキーボードを用意する必要がないことを鑑みると、コスパは優秀といえるでしょう。
コスパでもおすすめのG-Tune H5-LCはゲーミングノートPCの新しいスタンダードになり得る1台
外付けの水冷BOXと接続することで、ゲーミングノートPCが持つ本来の高パフォーマンスを引き出しながら、静音性を保つことができるG-Tune H5-LC。実際に試していると、珍しい仕様ではあるものの、理にかなった製品であることがわかります。
ノートPCに外付けの水冷BOXを接続するという特殊な製品であるだけに、コード周りのデザインなどはまだまだ発展途上の印象もありますが、コスパを考えても十分おすすめできる1台です。テレワークを快適にこなしながら、仕事終わりや休みの日にはPCゲームを楽しみたい人や、動画編集といったクリエイティブな作業をする人は、ぜひ試してみてください。
取材・文/佐藤文彦