スマホで音楽をたしなむのが当たり前の今日この頃ではありますが、そんな中、イヤホンで聴くだけではなく、スマホ本体で素晴らしいミュージックを聴きたい、そんなことも珍しくはありません。しかし残念ながら、これまでスマホ本体だけではあまり大音量を鳴らすことができませんでした。
そんな弱点を克服したのが、下町工場の技術の結晶で作られた、育てるスピーカーとも言える「無電源スピーカー」です。
そこで今回レポートするのは、電源不要で音作りを楽しめるシックでレトロなスマホ用スピーカー「otom」です。
「otom」は、マニホールドバルプ(油圧のオイルの向きを変える部品)を参考に、航空機素材でもあるジュラルミン(銅やマグネシウム、亜鉛を含むアルミニウム合金)をぜい沢に削り出して作られ、水ぬれにも強く、どこでも音を楽しめるというビジョンのもとに、精密金属加工専門会社のシマワが作り出した、日本ならではの職人技を堪能できる逸品です。
レトロな電源不要なスマホ用スピーカー「otom」を使ってみました!
まずは本体開梱の儀です。箱を空けると説明書とアルミニウム削り出しの、しっかりとして、かつズッシリとした本体が現れます。シックなブラックがイイ感じ。このスピーカーにスマホを差し込んで音を鳴らせば、美しい音色を奏でられるのはもはや必然。本機に対するメーカーの力の入れようがわかろうというものです
本体には大きな穴が空いております。ここから音が拡大して出るのですね。
さっそくパーツを取りつけてみましょう。
このラッパ状のパーツは「+Bloom」というそうです。その名の通り、まるで野山の花びらがパッと咲いたかのようなデザインをしております。クラッシックを聴くのに最適なパーツなんだそうです。見た目で想像できるように、メガホンの効果を利用する仕組みになっております。
ねじ込むだけで取りつけが可能です。何だか見た目も、モロに拡声器っぽくなってきました。
音の違いを楽しめるように、換えのパーツも用意されています。こちらは向かって左から、側面に取りつける「Lid」というパーツと、前面に取りつけるパーツの「+Jet」です。「+Jet」はジェット機のエンジンを思わせるような風体と設計で、音と気持ちと真心を、まっすぐに届けてくれます。
そして特筆すべきはそのサイズ感。
電源無しで音量をアップさせる機器という触れ込みですから、どれだけ巨大なサイズなんだろう、家に入るかしらんと想像していたのですが、実際には手の平に乗るほどのコンパクトさでした。
重量はサイズの割りにズッシリとした感触を受けましたが、しかし実際に測定するとたったの500g以下。結構軽い! これなら色々な意味で「アリ」です。これならどこへでも気軽に持ち運びできますね!
後ろ姿はスッキリとしていてシャープな印象。下の写真ではスマホがやや斜めに傾いて設置されていますが、バランス感は良く、スピーカーごと後ろにひっくり返るようなことはありません。
ちなみに筆者がこれまで愛用していたBluetoothスピーカー「Bose SoundLink Mini II」のサイズと重量は、幅18×高さ5.1×奥行5.8cmで、重さは680g。「otom」の方がコンパクトかつ軽量でした。
先述のように、側面の穴を「Lid」というパーツで塞ぐことにより、音をかき集めてさらに音量をアップできます。
底面にも穴が空いているので、そこから電源ケーブルを通して、スマホで音楽を再生しながら充電も可能。至れり尽くせりですね!
底面に「足」として取りつけるスクリューネジが見当たらない……と一瞬、焦りましたが、前面パネルの中に格納してねじ込んでありますので、付属の六角レンチで必要に応じて取り出して、底面に好きなだけつけてください。
さあ、すべてのセッティングが完了しました。スマホを設置しても抜群の安定性を誇ります。まあスマホ自体が全然軽い(筆者のiPhone12 Proは146.7×71.5×7.4mm で重量187g)わけで、ちょっとやそっとでグラつくことはありません。まるで机面に吸い付くがごとくです。ちょっと言い過ぎました。そこまでではないです。
実際にスマホの音を鳴らしてみました。
読者のみなさまもお感じになるかと思いますが、スピーカーが有り無しで音量の差は歴然です。明らかに無電源スピーカーに設置した方が音量が大きいです。
しかもスマホ本体だけでは、軽い音調の印象を受けますが、スピーカーを使って再生すると、温かみのある、アナログチックでプリミティヴな柔らかい音色が楽しめます。
これはまるで昔懐かしい、あたかも胎内回帰をしたような穏やかで安心するレトロな音域なので、本当に心が奪われます。まあ実際に胎内回帰を経験した訳ではないので、あくまでも想像ではありますが。
また、皆さまなら誰もがすでにお持ちの「スペクトルアナライザー」で音域を調べてみても、その音質の差は歴然です。
前面に接続する部品を「+Jet」に交換してみた所、「+Bloom」と比べて、筆者には、音がまっすぐ刺さるように聞こえた気がします。感じ方には個人差があります。
低音のパワフルな再生で定評のある「Bose SoundLink Mini II」に比べると、さすがにBoseのスピーカーほどのドンシャリ(高音と低音が強調されて、低音がドンドン、高音がシャリシャリ響く)感はありませんが、「otom」のハートフルでナイスな音色は、これはこれで「アリ」なのかもしれません。
「otom」の操作性に関しては、本体に音量を操作する機能はないので、スマホを操作し調整してください。
さすがに大ホールの隅から隅まで大音量で音楽を再生するほどのパワーはありませんが、なんと言ってもバッテリー不要のSDGsな今どきのエコロジー仕様ですし、自宅の部屋の、晴れた朝日の木漏れ日の中の夕暮れに、遵法ハーブティーをたしなみながらグラムロックを心穏やかに聴くのには、まさに最適なガジェットかもしれません。
「otom」は、電源不要! 自分で音作りが楽しめるシックでレトロなスマホ用スピーカーです。これまで中途半端なスピーカーを入手しては、ムダを増やし続けていた人たちは、ここで心機一転、本機の購入を選択肢の一つとして考えてみてもよろしいのではないでしょうか。
本体サイズ:幅115.2×高さ36×奥行57.6mm
携帯電話ドッグ コネクタのサイズ:幅90×高さ12.5mm
材質:アルミ
対応機種:すべてのiPhoneモデルに対応
カラー:ブラック・スペースシルバー・チャコールブラウン・レッド
紹介動画
【FURUの本音ジャッジ】
デザイン ★★★★★
操作性 ★★★★★
サイズ ★★★★★
重量 ★★★
価格 ★★★★
取材・文/FURU