指紋センサーは要改善だが、バランスのいい仕上がり
使っていて少々気になったのは、指紋認証だ。同モデルは右側面、電源キーの下に指紋センサーが搭載されている。ミドルレンジモデルでも、電源キーと統合した指紋センサーが一般的になりつつあるが、残念ながらAQUOS sense7では、この2つが分かれている。そのため、指紋センサーをタッチしようとした際に、間違って電源キーを押してしまうことがたびたびあった。指紋センサーをタップすると画面がオンになるが、電源キーのように押下できないのは違和感がある。
指紋センサーが独立しており、ボタン式でもないためやや使い勝手が悪い
そのため、AQUOS sense7では、どちらかと言えば顔認証に頼ることの方が多くなる。顔認証は、読み取り速度も速く、画面が点灯するとすぐにロックが解除される。また、AQUOS sense7は、マスク着用時の顔認証にも対応している。屋外では原則不要の方針が打ち出されているマスクだが、カフェや会議室、電車内など、着用を求められるシーンはまだまだ多い。このような時でも、マスクを外さず顔認証できるのは安心だ。
とは言え、使い勝手で引っかかりを感じたのは、リフレッシュレートと指紋センサーぐらい。そのほかの機能は、バランスよくまとめられている。例えば処理能力も、ミドルレンジモデルとしては平均的で、過不足なくアプリを動かすことが可能。グラフィックスに凝った一部のハイエンドゲームには不向きだが、SNSをしたり、ブラウジングをするには十分なスペックだ。ベンチマークアプリのスコアも、それを裏づけている。
処理能力は十分高い。高機能なゲーム以外のアプリはスムーズに動く
スペック的には、ミドルレジンモデルながらきちんと各社の5Gに対応している点は評価できる。試用したのは楽天モバイル版だが、ドコモのみが運用している5Gの「n79」に対応しているほか、KDDIやソフトバンクが4Gから転用した周波数帯も利用可能。物理SIMとeSIMのデュアルSIMをサポートしており、複数キャリアで利用しやすいだけに、対応周波数が多いのはうれしい仕様と言えるだろう。
また、あらかじめ登録した指でロックを解除すると、自動的に指定した決済アプリが起動する「Payトリガー」も便利だ。レジに並んで順番が来たあと、すぐに「○○Pay」のアプリを呼び出すことができる。AQUOS sense7は、おサイフケータイにも対応しており、決済サービスを利用するための端末として優秀だ。
カメラは一点突破的に高スペックだが、それ以外の機能も過不足なく搭載されている。さすが、“国民機”を目指すAQUOS senseだけに、バランスはいい。一方で、価格はキャリア最安の楽天モバイルで4万9980円。昨今の物価動向もあり、3万円台後半から4万円台前半ぐらいだった過去のモデルと比べると、やや高額化している。ただ、カメラの性能のよさは、その価格に見合う価値はある。ハイエンドモデルのような撮影体験をしたいユーザーには、強くお勧めできる1台と言えるだろう。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★
持ちやすさ ★★★★
ディスプレイ性能 ★★★★
UI ★★★★
撮影性能 ★★★★★
音楽性能 ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証 ★★★★
決済機能 ★★★★★
バッテリーもち ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。