■連載/石野純也のガチレビュー
シャープのAQUOS senseシリーズは、日本市場におけるミドルレンジモデルの“標準機”になりつつある。キャリアはもちろんのこと、MVNOも幅広く採用しているのが、その証拠だ。優れたコストパフォーマンスと、必要十分な機能、性能をしっかり満たしているのが、販売好調の理由だ。一方で、どこかパンチに欠けている印象も否めなかった。標準機が抱える永遠の課題だが、突出した機能がなく、面白味がなかったのも事実だ。
そんなAQUOS senseシリーズの最新モデルが、「AQUOS sense7」だ。同機は、AQUOS senseとしての“普通”を受け継ぎつつ、カメラ機能を大幅に強化している。中でも、メインカメラはセンサーサイズが1/1.55インチとハイエンドモデルに迫る大きさで、暗所での描写力が大きく向上しているという。デザインも、シャープのフラッグシップモデルである「AQUOS R7」からテイストを受け継いでいる。
一方で、チップセットは「AQUOS sense6」のスペックアップ版として発売された「AQUOS sense6s」と同じ「Snapdragon 695 5G」。処理能力はあまり向上していないようにも見える。センサーを刷新したと言っても、ミッドレンジモデル。本当にハイエンドモデル並みの写真が撮れるかを疑問視する向きもあるだろう。ここでは、そんなAQUOS sense7の実力をテストした。その結果をお届けしていこう。
カメラを大幅に強化したAQUOS sense7をチェックした
フラッグシップモデルの面影が残るデザインで、質感も上々
AQUOS senseと聞くと、万人受けを目指すデザインを思い出す人は多いだろう。よく言えばクセがないスタンダードな形状だが、悪く言えば無難という言葉が当てはまる。そんなデザインを、シャープは一新した。形状は、どちらかと言えばフラッグシップモデルであるAQUOS R7に近く、背面中央に配置されたカメラの主張が強い。硬質感のあるメタルボディを採用している点は、ガラスを用いたAQUOS R7との違いだ。
本体には金属を採用。背面デザインは、AQUOS R7をほうふつとさせる
ただし、金属素材は電波と干渉してしまう欠点がある。これを補うため、背面をぐるりと取り囲むように樹脂のアンテナが配置されている。アンテナ部分の樹脂は同系色でまとめられており、目立ちにくいものの、ガラスをはめ込んだハイエンドモデルに比べると、やや高級感が落ちてしまうことは否めない。とはいえ、デザインテイストがAQUOS R7に近くなったことで、スタイリッシュさが強まった。より個性的になったと言い換えることもできる。
同系色でまとめられているため、主張は少ないが、アンテナが目立つのはややチープな印象
ディスプレイサイズは6.1インチ。横幅は70mmで、より大型のディスプレイを搭載したハイエンドモデルと比較すると、手になじみやすい。フラットディスプレイが搭載されているため、操作性も良好だ。また、ハイスペックなモデルに慣れていると、その軽さに驚くはずだ。同機の重量は158g。突出して軽いというわけではないものの、重量バランスがいいこともあってか、非常に持ちやすい。
ディスプレイサイズは6.1インチ。大きすぎず、かと言って小さすぎない最適なサイズ感だ
ディスプレイのリフレッシュレートは、最大60Hz。IGZO OLEDを採用しており、発色のよさや黒の締まりはいいものの、スクロールを高速にしていると、ややガタツキを感じる。90Hzや120Hzといった高リフレッシュレートに対応したモデルに比べると、この点は改善の余地があると言えそうだ。ただし、パフォーマンスが低いというわけではない。アプリの起動はスムーズで、操作に不満を感じることは少ない。
デザイン面では、ベゼルがやや太いことも気になった。特に上下のそれが目立つ印象。映像への没入感を高めるうえでは、やはりベゼルが目に飛び込んでこない方がいい。ハイエンドモデルではより狭額縁なディスプレイを搭載した端末もあるため、こうした点はミッドレンジモデルならではのトレードオフと言える。あくまでディテールではあるが、細かな点まで気になる人はやはりハイエンドモデルを手にした方がいい。
致命的な欠点というわけではないが、ベゼルがやや太いのは気になった