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安易な解雇はNG!試用期間の満了時に従業員を解雇できるケースとできないケース

2023.01.02

労働者が会社に雇用される際には、3か月から6か月程度の「試用期間」が設定されることがあります。

試用期間は会社にとっての「お試し期間」というイメージがありますが、決して労働者を安易に解雇してよいわけではありません。試用期間中に不当解雇された場合には、解雇無効などの主張を検討しましょう。

今回は試用期間中の解雇について、労働契約法・判例に照らした有効性の基準や、不当解雇された場合の対処法などをまとめました。

1. 試用期間とは

「試用期間」とは、雇い入れた労働者の能力や適性などを観察したうえで正式な採否を決めるため、使用者側が労働契約の解約権を留保している期間のことです。

採用面接の段階では、使用者が労働者の能力・適性などを十分に知ることは難しい面が否めません。そのため、実際の仕事ぶりを見てから正式な採否を決めたいという使用者側の思惑により、試用期間が設定されることがあります。

日本では、試用期間は平均的に3か月程度、長くても6か月程度までに設定されることが多いです。

2. 試用期間中でも安易な解雇はNG

日本では、試用期間中の労働者であっても、使用者が安易に解雇することは違法となります。

2-1. 試用期間中の労働者にも解雇制限が適用される

試用期間中の労働者に対しては、解雇規制を適用しないことになっている国も多いですが、日本はそうではありません。試用期間中の労働者についても、解雇権濫用の法理(労働契約法16条)をはじめとする解雇規制が適用されます。

リーディングケースである「三菱樹脂事件」の判決(最高裁昭和48年12月12日判決)では、試用期間中の労働者を解雇することは、使用者による解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる場合にのみ許されると判示されています。

上記最高裁判決の判示は、解雇権濫用の法理に沿った内容です。試用期間中の労働者に対しても解雇規制を適用するという考え方が、この判示からも読み取れます。

2-2. 試用期間の途中または延長後の解雇は、特に厳しく審査される

試用期間満了時に解雇するケースに比べて、試用期間の途中または試用期間の延長後に行われる解雇は、その有効性がさらに厳しく審査されます。

試用期間途中の解雇が厳しく審査されるのは、労働者に対して改善指導などを行う努力を怠ったと評価されやすいためです。これ以上指導をしても改善が見込めないことが明らかな場合を除き、試用期間途中の解雇は無効と判断される可能性が高いでしょう。

試用期間の延長は、労働者の同意があれば認められます。ただし、延長時までに判明した事情だけでは労働者を解雇しないという暫定的な意思表示がなされたものとみなされるため(大阪高裁昭和45年7月10日判決)、延長後の解雇には新たな解雇理由が必要であると解されています。

3. 試用期間満了時に労働者を解雇できるケース・できないケースの例

試用期間満了時に労働者を解雇できるのは、主に採用当時には把握できなかった事情が採用後に判明し、労働者の能力・適性などに重大な欠如が生じた場合です。

<試用期間満了時に解雇できる事情の例>
・著しい勤務態度不良
・高頻度による遅刻、欠席、中抜け
・重大な経歴詐称
・再三の改善指導にもかかわらず、簡単なミスを繰り返す

これに対して、採用当時に調査を尽くせば把握できた事情や、労働者の能力・適性とは関係がない事情については、試用期間満了時に労働者を解雇する理由にはなりません。

<試用期間満了時に解雇できない事情の例>
・労働者の性格が思っていたのと違った
・経営不振
・単発の無断遅刻

4. 会社に不当解雇された場合の対処法

試用期間の途中・満了時を含めて、会社に不当解雇された場合は、解雇の無効・復職を主張するか、または退職金の積み増しなどを求めることが考えられます。

4-1. 解雇無効・復職を主張する

解雇要件を満たさず、または解雇権濫用の法理(労働契約法16条)に抵触する解雇は違法・無効です。

解雇が無効である場合、労働契約は終了せず、労働者としての地位は保全されます。したがってこの場合、労働者は会社に対して復職を求めることができます。

会社が復職を拒否する場合は、労働審判や訴訟を通じて解雇無効・復職を求めましょう。

4-2. 退職金の積み増しなどを求める

不当解雇された会社にこだわらず、次の活躍の場へ移ることも考えられます。その場合は、できるだけ有利な条件で退職することを目指すべきでしょう。

本来であれば解雇が違法・無効の場合、会社としては穏便に解決するため、ある程度までは退職金の積み増しなどに応じることが多いです。

労働者側としては、不当解雇の無効と復職を主張しつつ、会社側の交渉姿勢を観察しながら柔軟に方針を決めるのがよいでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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