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強まる保育士への風当たりと求められる処遇改善、保育業界の課題と展望

2022.12.29

保育研究プロジェクト『子ねくとラボ』を運営する明日香は、保育業界に関する「2022年の総括と2023年の展望」について発表した。

コロナ禍をきっかけに一般企業がリモートワークを推奨した流れの中で、保育施設の監査に関してもリモートや書類のみの監査に置き換わる方向に進んでいるが、有識者の間では安全管理の面で懸念の声が上がっていた。

そのような状況の中で相次いで発生したバスでの児童置き去り死亡事故により、保育施設の利用者は一層不安を募らせているという。

一方、政府は子どものヒヤリ・ハット事例の実態調査に初めて乗り出すという方針を11月27日に発表。

事故に至らなかった事象の履歴を残し、安全管理に繋げる目的はあるが、この実態調査を実施するということはチェック体制がより強まることも意味している。

子どもの命が脅かされることに対しては早急に対応が必要で最優先事項であるのはもちろんだが、保育士の処遇が十分に改善されない中で動きだけが強まると、人材不足という大きな課題解消が遠のいて保育の質の低下にも直結してしまうおそれもある。

強まる保育士への風当たりと求められる処遇改善

少子化の加速で空きのある保育施設が増加し、保育施設の経営は利用者獲得に焦点が当てられている。しかし、保育対象の子どもがひとりでも10人でも、現場の保育士は自身がコロナ感染になるリスクを背負いながら保育に臨んでいる人が圧倒的多数だろう。

利用者の数が減ったからと言って少ない労力で足りるということではなく、段階的にではなく急進的に処遇改善をしない限り、状況は打開できないという。処遇改善に関して、政府には包括的な対策を期待しつつ、併せて運営事業者側も賃金を設定する上での対策が必要になるだろう。

保育士の賃金は、国から支払われる「公定価格」がベースとなっており、公定価格で換算される人件費は国が定める保育士の配置基準によって決定する。配置基準は、実際の保育現場との乖離について昨今議論が強まっているが、公定価格や配置基準が上昇もしくは改善されない限り、事業者側が処遇改善に踏み切れないというのも課題のひとつだ。

保育士に対する分配の仕方に関しては、事業者がモラルを問われる部分もあるが、その部分を差し引いたとしても原資となっている公定価格や補助金の仕組みを改善していくことが処遇改善の第一歩になる。

物価高や円安の波が保育士・利用者・質の偏在に繋がる懸念

2022年の物価高と円安の波は、保育業界にも影響を及ぼしているという。さまざまな自治体が補助金などで対応しているが、保育士の賃金引き上げが不十分な状態である限り、給与の高い保育施設に保育士が偏る可能性もあり、それによって保育の質にも園を選ぶ利用者にも偏在が生まれる。

実際に保育士107名を対象に実施したアンケートでは、55.1パーセントの保育士が「円安や物価高騰による保育の質への影響」を実感し、「教材や制作物素材の買い控え」などに影響を感じているようだ。

『物高騰・円安に伴う保育への影響に関する実態調査』概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年12月5日~2022年12月9日
有効回答:保育士107名
調査機関:子ねくとラボ(明日香)

歯止めが効かない少子化はポジティブな競争で乗り越える

11月28日の会見では、松野博一官房長官が過去最少ペースの出生数に対して「危機的状況」とコメントしたが、少子化は長らくの問題になっており、改善の兆しは見えない。2022年の動きとして重要なのは、2022年4月1日時点の保育所利用児童数が、初めて前年比を下回ったというニュース。保育施設の定員と利用者数の差が広がっており、定員充足率は80パーセント台に突入した。

保育業界にとって、これは「自施設が選ばれなければ運営ができない」状況であり、競争が激しくなったといえる。「この状況によって保育業界で競争が生まれるかもしれない」とポジティブに捉えることが大切で、保育施設は社会の基盤になるもので政府のサポートは不可欠ではあるが、ポジティブな競争の中から新たな価値やアイデアが生まれて、業界全体で乗り越えていくことを期待しているという。

事業者間の統廃合も活発化することが予想されており、交渉は不成立だったようだが、2022年の初めには上場企業同士の統合に関する話題で保育業界に注目が集まった。賛否両論はあるものの、こういった活動によってアイデアを生み、新しい価値を創造できれば、多様性の実現にも繋がるはずだという。

だが、ポジティブな競争を良い起爆剤にするためには、政府の適切なサポートが基盤にあることが前提。政府と事業者が連携して、この状況を乗り越えていかないといけないという。

2023年は事業者同士の情報共有と自治体との共創がカギ

2023年は、今後のコロナ感染がどう動くか注目すると同時に、引き続き少子化と利用者減少にどう向き合うかということが焦点になるという。2022年は、児童置き去り死亡事故という痛ましい事故が起きて、これからの運営の在り方に変化が求められている。

事故は、人材確保や業務効率化を目的としてデジタル化が図られたものの人的エラーが発生したことが要因だった。保育業界もデジタル化の推進は重要な意味を持っており、デジタル化を進める上で人的エラーが発生しないための改善策を政府には期待したい。

文科省は、「幼保小架け橋プログラム」の開発と推進に向けて、官民問わずさまざまな機関との連携強化が進められており、各自治体でも官民共創をテーマに民間事業者の事業ノウハウを活用する動きも活発化している。

課題解決に向けては、事業者間のみでの取り組みではなく、行政・自治体と民間事業者との”実質的な共創”が大切だと考えられる。

https://konnect-labo.jp/

構成/KUMU

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