ある程度の資産を築いて会社から早期退職をするFIREという生き方は、2020年頃の投資ブームとともに広く認知され始めました。TwitterやYouTube上でも、「FIREしました」という発信者も見受けられます。
そして「投資家ぽんちよ」としてYouTube活動をする私自身も、2022年3月に7000万円ほどの資産を貯め、会社を早期退職しています。ただ、会社を辞めてFIRE後は豪遊生活をしているかと聞かれるとそうではありません。むしろ、会社員時代の方がタクシーなどを使う頻度も高く、FIRE後の方がケチになったように思えます。では、FIRE前後での、お金の使い方の変化は何に起因するものなのでしょうか?
お金に不安だからFIRE後はケチになる?
まず、FIRE後にお金にケチになった理由として、早期退職後は会社員としての給料という安定収入を失うことになり、これにより経済的に不安感に襲われているからというわけではありません。そもそも私自身はサイドFIRE(退職後も個人ビジネスを続けるFIRE)という形であり、会社員時代からのYouTuberとしての収入もありますし、むしろ退職前に比べ年収は上昇しています。もちろん、YouTuberの収入というのは不安定であり、この収入がいつまで続くかはわかりませんが、少なくとも会社員時代よりも経済的に豊かになっている実感はあります。
退職をしたおかげで時間の豊かさも
FIRE後は収入も増えたため経済的に豊かになりましたが、それ以上に手にしたのが「時間的な豊かさ」です。そしてこの時間の豊かさが、外見的な「お金にケチになった」理由となります。そもそも会社員時代は本業に加えてYouTube活動をしており、本業以外に毎月100時間ほどを動画制作に費やしていました。それに加え、休日に遠隔地での講演会などをする機会もあり、移動で動画制作の時間が確保できなくなります。このため、移動などの時間を少しでも減らすために、タクシーや特急電車などを積極的に利用していました。また、友達と遊ぶにしても、一人だけタクシーで待ち合わせ場所に登場というときも…。
このようにタクシ―を日常使いするなどのお金の使い方は、外見的には贅沢に見えるかもしれません。ただし、実はタクシーを使うことにより作業時間を確保し、タクシー代以上にお金を稼ぐことにつながっているため、経済的に合理的な判断です。このため、当時も「タクシーを使って贅沢をしている」という感覚はありませんでした。
一方でFIRE後に関しては、もちろん動画制作などの作業時間はありますが、会社員時代ほど時間に追われているわけでもありません。このため、最寄り駅に行くにしても「時間もあるし運動がてら歩いていくか」という新たな選択肢が生まれました。また、会社員時代にはタクシーで移動時間を短縮し、その分作業時間を確保していましたが、現在は仮にタクシーを使い目的地に早く着いたとしても、仕事をするわけもありません。このため、タクシー代を払って生み出される収益は0ということになり、経済的に合理性のある支出ともいえません。会社員時代にタクシーを贅沢と感じませんでしたが、FIRE後の今のライフスタイルにタクシーは贅沢と感じるかもしれません。
FIRE後に贅沢はしていないのか?
もちろん、FIRE前に比べてタクシーなどを使わなくなるなど、外見的に贅沢ではなくなりましたが、FIRE後に「時間的豊かさ」を手にしたからできるお金の使い方もしています。その最たる例が、家族旅行です。もちろん会社員時代も親孝行として、「家族旅行の代金を支払う」ということは経済的に可能でした。ただ、会社員時代に家族旅行に行く機会がつくれなかったのは、お金でなく時間の制約があったからです。そして、FIRE後に家族旅行などに行って思うのは、「FIREできる経済的豊かさを手に入れた」という喜びよりも、「時間的豊かさを感じられる瞬間」に喜びを感じますし、そのような喜びを感じられることにお金を使うようになりました。
文/ぽんちよ
投資系YouTuber。2019年10月からYouTubeチャンネル『投資家ぽんちよ』を開設し、投資や副業、セミリタイアに関わることを発信している。サラリーマンとして働きながら活動していたが、2022年3月にFIRE達成。YouTubeチャンネルはこちら
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