2022年の相場に影響を与えた“主体”とは一体何か。
投資部門別に年初からの日本株の売買状況を検証する、三井住友DSアセットマネジメントによるマーケットレポートがこのほど、公開された。
なお本レポートは、同社チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として公開されたものだ。
投資部門別に年初からの日本株の売買状況を検証し、今年の相場に影響を与えた主体を探る
今回のレポートでは、主要投資部門別に年初からの日本株の売買状況を検証し、相場に影響を与えた主体を探る。具体的には、日本取引所グループが公表しているデータを用いて、「個人」、「海外投資家」、「投資信託」、「事業法人」、「信託銀行」、「自己(証券会社の自己勘定)」の6部門を対象とし、それぞれについて、現物および先物の売買代金(差額)を確認していく。
現物は、東京証券取引所が公表している投資部門別売買状況のうち、東京・名古屋2市場の売買代金の差額合計だ。先物は、大阪取引所が公表している投資部門別売買状況のうち、日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物の売買代金の差額合計だ。検証期間は、2022年1月第1週(1月4日~7日)から11月第5週(11月28日~12月2日)だ。
事業法人が年初から累計で4.7兆円買い越し、今年日本株を支えたのは自社株買いとみられる
まず、現物について、検証期間の累計で買い越しとなったのは、事業法人で約4兆6,800億円、個人で約7,400億円だった。一方、売り越しとなったのは、海外投資家で約2兆900億円、自己で約9,400億円、投資信託で約3,500億円、信託銀行で約900億円だった。事業法人の買い越しは、主に自社株買いと推測され、海外投資家の売りを吸収した格好となっている。
次に、先物について、検証期間の累計で買い越しとなったのは、自己で約1兆2,500億円、信託銀行で約9,800億円、個人で約500億円、事業法人で約200億円だった。一方、売り越しとなったのは、海外投資家で約1兆5,600億円、投資信託で約3,500億円だった。現物と先物を合わせても(図表1)、2022年の日本株を支えた投資主体は事業法人であり、とりわけ自社株買いによるところが大きいと考えられる。
海外勢の大きな売買差額は相場変動要因、ただ事業法人の安定した買いで株価は底堅く推移
なお、6部門について、各週における現物と先物を合わせた売買差額の絶対値をとり、平均値を比較すると、海外投資家が約5,800億円、自己が約4,000億円、個人が約3,200億円、信託銀行が約2,100億円、投資信託が約1,600億円、事業法人が約1,000億円となる。このように、海外投資家は週間の売買差額が大きいため、海外投資家の取引が、短期的な需給変動要因となり、日本株に影響を及ぼす傾向もみられる(図表2)。
これに対し、事業法人は、週間の売買差額は相対的に小さいものの、現物を中心に安定した買い手となっており、相場を一定程度、支える役割を担っていると思われる。
つまり、2022年の日本株は、海外投資家の売買で、一時的に値幅が拡大する場面もみられたが、事業法人による安定的な自社株買いが相場を支える一因となり、欧米に比べ、総じて底堅く推移したと推測される。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい
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