ウクライナの動物救援活動と、データベース作成に支援を
ウクライナではペットとして飼われていた数百万もの動物たちが置き去りにされて、町をさまよっている。家族同然に暮らしてきたはずのペットを、なぜ一緒に連れて逃げなかったのかと疑問に感じるだろうか。
周囲にミサイルが飛んでくる中で、バス停や駅に向かうところを想像して欲しい。飛行機は運航しておらず、道路や橋は破壊されている。そんな場所で優先されるのは人間である。荷物を持って行くことも許されない。ペットは言うまでもないだろう。
飼い主に残された選択肢はバス停や駅にペットを置いていくか、近くのシェルターを探すかだった。そのシェルターも大幅に定員をオーバーしており、人手も医療品も物資も不足している。
戦争による人的リスクを考慮して、地元や国際的な非営利団体が動物たちを置き去りにした例もあるという。
現在のウクライナの動物たちの状況
2月にロシアの侵攻を受けて以来、約1200万人がウクライナから逃れたとされている。そのうち少なくとも約30%の人が、ペットを置いて逃げる選択をせざるを得なかった。
10か月が過ぎた現在、ペットとして飼われていた数百万の動物たちが居場所も食べ物も持たず町をさまよい、爆弾やミサイル攻撃にさらされている。
ウクライナは北海道よりも北に位置する国だ。氷点下を下回るような寒い冬が訪れ、インフラが破壊されたウクライナの状況はさらに悪化することが容易に予想される。12月初旬ですでにマイナス4−6度、真冬には零下20度にまで達する。
UWARF(Ukrainian War Animals Relief Fund )は7月から動物の救援活動をスタートし、2700頭を超える動物たちに対する支援を行ってきた。
https://www.instagram.com/p/CmWeNkqKs4Q/?utm_source=ig_web_copy_link
具体的な支援の内容は食料や医療品、物資のシェルターへの配送のほか、移動式のクリニックで飼い主を失った動物たちに対する避妊手術と予防接種、マイクロチップの挿入を行う。
さらに、発見した場所の情報とともに顔写真のデータベースを公開し、元の飼い主のもとに返したり、新たな飼い主を見つけたりする手伝いをする。
動物たちの顔写真のデータベースはウクライナ最大の規模となる予定で、マイクロソフト社が技術提供している。
マイクロソフト社のバイスプレジデントJustin Spelhaugは、UWARFの活動について、「食料や医療、シェルターの提供を通して、真の意味での救援を行っている」と述べ、UWARFの技術的なパートナーであること、非営利団体の支援ができることを嬉しく思うとコメントしている。
ウクライナ政府はロシアの侵攻が始まったとき、動物たちへの避妊プログラムをストップしているという。
今後の予測
ウクライナに残されたペットたちに今後何が起きるか、具体的に考えてみよう。
例えば、1対の犬が6匹の子犬を生んだとしよう。6匹の子犬たちが成長し、それぞれ6匹の犬が生まれる。これが繰り返されると6年後には67000匹に膨れ上がっていく。
UWARFを立ち上げたDaniel Fineからは、こんな報告も届いている。
「都市部の町は占拠されていないことが多いことから、多くの支援団体が都市部に拠点を置いている。しかし、都市部から離れた郊外に位置するハリコフ(Kharkiv)の動物たちは予断を許さない状況にある。
都市部に比べて郊外の人口は少ないが、動物の数は多い。さらに飢えと恐怖から逃れ、静かな場所を求めて多くの人が動物を連れて移り住んでくるため、ハリコフの動物の数は増えるばかり」。
今後、必要とされる支援
UWARFでは動物たちを救うために今後、1700万ドルが必要であると見込んでいる。
地元の獣医を雇って犬や猫に避妊手術を受けさせ、狂犬病などの基本的な予防接種を打ち、マイクロチップを入れると、1匹あたりのコストは44ドル。40万匹の動物たちの繁殖をおさえ、狂犬病を予防するためには、1760万ドル(44ドルx40万匹)が必要であるという計算だ。
1700万ドルは莫大な金額である。しかしこれが、爆発的な動物の増加を抑える方法なのだ。
UWARFの今後の活動は、最近になって解放されたハリコフ内の2つの地域で予定されている。
UWARFのウェブサイトを見ると、ウクライナの動物たちはこんな目にあうべきではないとのメッセージが目に入る。この信念に従い活動している人たちを、遠い日本からもサポートする方法の1つが寄付である。
寄付はこちらから。興味のある方はチェックしてほしい。
参考:
Ukrainian Animals Don’t Deserve This|ARF
Ukrainian War Animals Relief Fund|gofundme
Concern Worldwide ramps up humanitarian aid response in Ukraine as winter approaches|CISION
文/森野みどり
@DIME公式通販人気ランキング