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アルコール依存から脱却するには?自分は大丈夫という人こそ減酒が必要な理由

2022.12.22

働き盛りの世代が知っておくべき健康寿命を延ばす術を紹介する「忍び寄る身近な病たち」シリーズ。今回は多くのビジネスパーソンが、内心恐怖を抱いているアルコール依存症、“アル中”の解説である。コロナ禍で飲み会は自粛されたとはいえ、酒好き人口が減ったという声は聞こえてこない。私も毎晩、晩酌を欠かせないのである。アルコール依存症は身につまされる病だ。

「ほぼ毎日お酒を飲む人は多かれ少なかれ、アルコールが癖になっていて、依存の回路が脳に出来ています」それは、60年ほど前からアルコール依存症の治療に取り組む、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター副院長、木村充先生の言葉である。

前編で先生に多量飲酒を指摘された私にとって、身につまされるレクチャーである。

前編はこちら

独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 副院長 木村 充さん

“耐性”は“意志”を凌駕する

「アルコール依存症で問題になるのは、アルコールをコントロールして飲む能力をなくしてしまった人たちです。アルコールが切れると、お酒が飲みたい強い欲求が起こり、自分で制御できない」

そう語る木村先生は、多量飲酒がやがて身体に表れる問題として、アルコール離脱時の手のふるえ、発汗、不眠、不安、焦燥感、吐き気等をあげる。多量飲酒で特にダメージを受けるのは肝臓だ。肝障害の終着駅と言われる肝硬変に陥ると、死に至ることもあると警鐘を鳴らす。

――しかし、身体に支障をきたせば酒をやめるでしょう。アルコール依存症の人は、酒を断てない意志薄弱な人ではないのですか。

「そういうものでもないのですよ。耐性といってだんだんお酒に強くなり、酔うのに必要なアルコールの量が増える。“日本酒4合は水みたいだ”とか言う人は、体内に耐性が出来ていると思っていい。耐性は依存症の大きな特徴です。依存が進むと身体は耐性に支配されるようになり、飲酒を止めたいと思っても止められない。酒量を減らそうと思っても減らせない。飲酒欲求が強くなりお酒を飲まないと、手がふるえたり離脱症状が出てくる。お酒を止めると身体の調子が悪くなると、思い込んでいる依存症の患者さんもいます」

「俺はいつでも酒を止められる!」

依存症の夫とは「あんたまたお酒飲んだの!」「うるせえ!」「仕事で必要なモノを買うというから渡したお金を飲み代に使ってウソつき!」「何に使おうと俺の勝手だ!」とか何とか、夫婦げんかが絶えない。職場ではいつも酒臭く、仕事にも支障をきたし、「とても働ける状態じゃない」と、上司に愛想を尽かされる。周囲に迷惑をかけまくった末に、家族や上司に連れられ、病院を訪れるというのが大方のパターンである。

「アルコール依存症がかなり進んだ人でも、依存症を認めないことが多いです。奥さんや会社の人がお酒での失敗を上げ連ねても、“それはたまたまで、酒を飲まなくても大丈夫”と言い張る。本人も内心、“酒でまずい問題を引き起こしている”と自覚しているんです。でも、飲酒を止められない。問題を認めないことで、お酒を飲み続ける自分を守ろうとしているんです」

重度のアルコール依存症の回復には、3カ月ほどの入院が必要となる。まず長年の多量飲酒で身体を悪くしているので、ひと通り検査を行う。食道がん、咽頭がん、脳の萎縮。アルコール依存症の患者は若い人でも認知症のリスクが高い。入院すれば手のふるえなどの禁断症状は薬を使い、1~2週間で抑えられる。傷んだ肝臓も1カ月もすれば改善する。

それと並行して、飲酒が起因する職場や家庭での問題を整理し、どうアルコールと付き合ってきたのか。患者が依存症と向き合うように話を進めていく。

「ワークブックをもとにドクターと5,6人の患者さんのグループで、ミーティングを行っていきます」

ミーティングではアルコールにどんな考え方を持っているか、話し合いが行われる。例えば「酒を飲むと相手との話が弾むし、ストレス解消になる」「では実際、飲んでいるときを振り返ると、どうだったのでしょうか」

患者にそう聞き返すと、飲み過ぎて酩酊して覚えていない。大酒を飲んで感情が高ぶり相手とケンカになったとか、酒が入ることででますます問題やストレスを抱え込んでいる現実が見えてくる。

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