欠食で短命に?
食事を抜くと寿命が短くなる可能性を示唆する研究結果が報告された。
米テネシー大学健康科学センターのYangbo Sun氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics」に2022年8月10日掲載された。
近年、朝食を食べない人や、健康目的で食事を摂取する時間帯を制限する断続的断食などを行なう人が増えている。
Sun氏らの行なった研究から、それらのいずれもが健康に良いとは言えないことが示された。
具体的には、朝食を食べない場合は心血管疾患による死亡、昼食や夕食を抜いた場合は全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが高くなる可能性のあることが明らかになった。
論文の筆頭著者である同氏は、「断続的断食が減量や糖代謝指標の改善、疾患予防につながるとして喧伝されているが、大半の人にとっては1日3食の食事が大切だ」と述べている。
Sun氏らの研究には、1999~2014年の米国国民健康栄養調査(NHANES)の参加者のうち、40歳以上の計2万4,011人のデータが用いられた。
NHANESでは、24時間思い出し法で食習慣が把握されている。それによると、1日の食事の回数は3回が最多で56.7%を占め、次いで2回が26.3%、4回以上が12.3%、1回が4.7%だった。
1日3食を食べていない群は、ほかの群より若年で教育歴が短く、収入が低い傾向にあった。また、喫煙者率が高く、アルコールや菓子の摂取頻度が高かった。
2015年末までの18万5,398人年の追跡で、878人の心血管死を含む4,175人の死亡が確認された。
死亡リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種/民族、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、摂取エネルギー量、菓子の摂取頻度、収入、教育歴、糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・心血管疾患・がんの既往など)を調整後に、1日3食の群を基準としてほかの群の死亡リスクを比較。
その結果、1日1食の群では全死亡リスクが3割高く〔ハザード比(HR)1.30(95%信頼区間1.03~1.64)〕、心血管死リスクは8割以上高かった〔HR1.83(同1.26~2.65)〕。
また、朝食を抜く人は食べる人より心血管死のリスクが40%高く〔HR1.40(1.09~1.78)〕、昼食を抜く人は食べる人より全死亡リスクが12%〔HR1.12(1.01~1.24)〕、夕食を抜く人は同16%〔HR1.16(1.02~1.32)〕、それぞれハイリスクだった。
一方、食事の間隔との関連を検討した結果、食事間隔が短い群で全死亡リスクの上昇が認められた。
具体的には1日3食を食べている人の中で食事の間隔が4.6~5.5時間の群(5,770人)を基準として、4.5時間未満の群(3,270人)の全死亡リスクは17%高かった〔HR1.17(1.04~1.32)〕。
論文の上席著者である米アイオワ大学のWei Bao氏は、「われわれの研究結果は公開されたデータを利用した観察研究に基づくものであり、因果関係について述べることはできない。しかし、そうであっても見いだされた結果は、食事による代謝への負荷の影響と考えられる」と述べている。
同氏によると、食事を抜くということは一般的に、一度の機会に多く食べることを意味しており、それによって血糖値の変化が大きくなって、健康上の問題につながる可能性があるという。
このような理解に立つことで、本研究で示された、食事間隔が短すぎる場合にも死亡リスクが高くなるという結果の説明も可能だと同氏は述べている。(HealthDay News 2022年11月28日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.jandonline.org/article/S2212-2672(22)00874-7/fulltext
Press Release
https://www.jandonline.org/pb/assets/raw/Health%20Advance/journals/jand/JAND_PR_Sun_Bao_FINAL-1669072727283.pdf
構成/DIME編集部