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広がる企業のメタバース活用、日産自動車の担当者に聞いたメリットとデメリット

2022.12.19

企業が開催する新製品発表会や事業説明会などの会場として、メタバースが活用される事例が増えている。デル・テクノロジーズはプレミアムノートPCの新製品発表会をメタバースで開催。NTTグループは決算説明会などのオンライン中継に、自社のXRプラットフォームである「DOOR」を用いている。日産自動車はメタバースに専用コースを構築し、軽EV『日産サクラ』のVR試乗会を実施。約3ヵ月間に1万5000人を超える人が訪れた。また最近ではアクセンチュアやモスバーガーもメタバースで記者発表会を開催し、話題を集めている。

IT企業がメタバースにいち早く取り組み、先進性をアピールするのはわかるが、非IT系の企業が今、メタバースを積極的に活用するのはなぜか。メタバースプラットフォームのひとつ、VRChatで様々な取り組みを行う、日産自動車 日本事業広報渉外部の鵜飼春菜さんに聞いた。

「NISSAN SAKURA Driving Island」でアバターの鵜飼を取材した。

伝えたいのはドライブの楽しさ。VR体験をきっかけに新車購入を決めたユーザーも

日産がVRChatに公開しているワールド「NISSAN SAKURA Driving Island」では、ユーザーが自身のアバターを通じて『日産サクラ』の運転席に座り、四季折々の風景が移り変わるコースを走行できる。コース途中にはカフェなどの休憩スポットが用意されているほか、充電スタンドでの充電体験も可能。実際の運転とは操作性が異なるため、本当の意味での試乗とはいえないが、仲間と同乗できるなど、ドライブの楽しさを体感できる工夫が随所に盛り込まれている。

このドライブ体験をきっかけに、実際に『日産サクラ』を購入したユーザーもいる。以前からVRChatを楽しんでいたというmaropiさんは、SNSで「NISSAN SAKURA Driving Island」の存在を知り、仲間4人で体験。みんなでワイワイ話しながら走行したり、助手席で写真を撮ったりしながら、「(VRChatの)フレンドと空間を共有して遊べたことが、いい思い出になった」という。自宅近くのショッピングモールに車体が展示されているのを目にしたとき、その楽しかった思い出が甦って「すごく素敵な車に見えた」とのこと。実際にハンドルを握って試乗をし、購入を決めたそうだ。

「直接購買につながるところまでは難しいと思っていたので、VRをきっかけに購入されたという話を聞いて、とてもうれしく思っています」と、日産自動車 日本事業広報渉外部の鵜飼春菜さん。「まずはクルマって、ドライブって楽しいということだけでも感じてもらえたら、そこに『日産サクラ』がいると気づいてもらえたら……。NISSAN SAKURA Driving Islandはそんな思いで制作しました」と話す。

日産自動車のメタバースへの取り組みは、「NISSAN SAKURA Driving Island」が初めてではない。2021年11月には東京・銀座に実際にあるショールーム「NISSAN CROSSING」をVRChat内のワールドとして公開。2022年1月には「日産アリアとめぐる環境ツアー」と題したツアー形式のイベントも開催するなど、VRChatを積極的に活用してきた。鵜飼さんによればきっかけは、2021年2月にVRChat上で開催された、バーチャル展示即売会「クロスマーケット2」に協賛したことだったという。

ショールーム「NISSAN CROSSING」を再現したワールド。

「あるインフルエンサーさんの紹介で、VR会場のエントランスに弊社のロボットカー『エポロ(EPORO)』を展示させてもらいました。これがとても好評だったのと、私自身もVRの360度の世界を体験して、その没入感にすごく可能性を感じました。そこから日産自動車としてVRで何かできないかということを考え始めて、取り組んだのが実際にあるショールームを作るというプロジェクトでした」。

予算を通すための社内会議で鵜飼さんが強調したのは、新しいことにいち早く取り組むメリット。「ショールームがあれば、メタバースの世界でイベントなども展開できます。新たなタッチポイントになるし、日産っておもしろいな、いいなって思ってくれる人が増えるという話をしました。もともと新しいことに積極的に取り組む、失敗を恐れずにやってみるという(会社の)文化もあって、進めることができました」。

「NISSAN CROSSING」の制作と並行して、企画されたのが「日産アリアとめぐる環境ツアー」。新しいタッチポイントをどう活用するか考えたときに、真っ先に浮かんだのが、「日産がなぜ電気自動車に取り組むのか、カーボンニュートラルについて幅広い層に知って欲しい」ということだった。「地球温暖化でどういうことが起きているのか、なぜカーボンニュートラルが重要なのか。VRで体験いただくことで、自分事として感じてもらえるのではないか」。そう考えて実施したVRツアーはSNSでも大きな話題を呼び、同時に多くのメディアにも取り上げられた。

VRのプラットフォームとしてVRChatを選んだのは、「すでにコミュニティが形成されていて、多くの人がそこに集っていること」と、VRヘッドセットを装着することで得られる「人との距離感のリアルさや、没入感の高さ」だと鵜飼さん。同社が公開しているワールドはいずれも、『Meta Quest 2』などスタンドアローン型のVRヘッドセットで利用できるよう、工夫されている。

『Meta Quest 2』は現在、世界で最も売れているVRヘッドセットだ。多くのユーザーに利用してもらいやすい一方で、高性能PCを接続するタイプのVRヘッドセットに比べると処理能力が劣るため、3Dの表現が制限されるというデメリットもある。日産の取り組みでは、そうした制限の中でもベストなものとなるように「多くのクリエイターさんにいろいろなご提案をいただいたり、ご協力をいただいた」という。

『Meta Quest 2』でも楽しめる「NISSAN SAKURA Driving Island」は、前述のように大きな反響を呼んだ。軽EVという革新的な自動車との相性の良さもあっただろうが、いち早くメタバースに取り組み、ノウハウを蓄積してきた成果とも言えるだろう。「VRを通して、多くのお客様に少しでも日産を好きになってもらえるような、そういう活動を今後も続けていきたい」という鵜飼さん。次はいったいどんなワールドが展開されるのか、引き続き注目したい。

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取材・文/太田百合子

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