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世界戦略モデルとして開発されたフォルクスワーゲン「ID.4」はBEV時代の「ゴルフ」になれるのか?

2022.12.17

コンパクトハッチバックの世界では揺るぎないベンチマークとして君臨するゴルフは、いまもってエンジン時代を象徴する1台である。だが時代は確実にBEV(バッテリーEV)時代へと進む。その移行をスムーズに実現するため誕生したフォルクスワーゲン(以下VW)のBEVといえば、ID.シリーズ。中でも最近人気のコンパクトSUVが、このID.4。あの1974年にゴルフが登場したときのような衝撃を与え、BEV時代のベンチマークとなり、私たちのライフスタイルの、ど真ん中に来ることができるのだろうか? 

いよいよ本格始動したBEVプランの尖兵

ドライブ中に聴く音楽に関してはとにかく雑食で、ジャンルに構わずお気に入りをどんどんUSBメディアに落とし込み、ランダム再生で楽しむ。そうなると、なかなか出合えない曲もあったりするのだが、それも一興とだと思う。

先日、小春日和の中を国産BEVでドライブしているときに流れてきたのが、90年代を代表するロックグループ、T-BOLANが1992年にリリースした『サヨナラから始めよう』だった。久し振りに聞くお気に入りのサウンドに思わず聞き入ってしまった。

♪サヨナラから始めよう
もう一度やり直すために
輝きが錆びつくような
恋なんか欲しくないから♪

やっぱりいいなぁ…。その詩をゆっくりと噛みしめながら、何度かリピートしてしまった。同時に最近の「クルマ界は100年に一度の変革期を迎えている」という、トレンドセンテンスが頭に浮かんできた。

少々、こじつけが過ぎ、笑われるかもしれないが、サヨナラから始めようの詞が、今の時代と強烈にリンクしてしまったのだ。

「ひょっとしたら内燃機関にサヨナラを告げるときに来たのかもしれない。もう一度、クルマとの生活をやり直すために……。あのキラキラとしたドライブの幸せが錆び付いて欲しくないから……」。

そろそろエンジンに別れを告げるときなのか、と考えつつ、実は最近、BEVの試乗会に行くのが少々億劫になっていた。それは書き手としての力量不足もあるのだが、クルマを評価するときに使うべき言葉がなかなか浮かんでこずに苦労するからだ。いつも「モーターは低速からトルクフルにして、まさに絹のようにシームレスな加速感を伴いながら一気に速度を上げ、低重心で安定したコーナリングを……」と、モーターのフィールを話すとき、おしなべて同じようなトーンになってしまう。そんな中で個性を見いだそうとすると、モーター出力の大きさや一充電あたりの走行距離といった話になってしまい、どうしても盛り上がりに欠ける。

一方、エンジンは加速感や減速時のフィールにバイブレーションやサウンドなどなど、とにかく雄弁に個性を語ってくれるだけに、楽しくもあり、色々といいたくもなる。こんな言い方をしていると、反BEV派などと評価されるかもしれないし、エンジンへのノスタルジーだけで語っているように捉えられるかもしれない。

だが断っておくが、近い将来にはモーターの時代になることに異は唱えていないし、そのつもりもない。唯一の懸念は、現在のBEVへの移行マインドが、少々性急すぎないか、ということだけ。まだ内燃機関には効率化の可能性も残っているし、PHEV(プラグインハイブリッド)といったリリーフに頼らなければならない現実だってある。さらに電動化には燃料電池もあり、BEV一択ではなく、マルチに選択枝を持つべきだと言いたいだけ。

そんなBEVに対する色々な思いが交錯しているときに乗ったのがID.4だった。最初に整理しておくと、VWのBEVシリーズとして新たに開発されたのがID.シリーズで、その第一弾としてハッチバックの「ID.3」を発表。その後にコンパクトSUVのID.4と、そのクーペモデルの「ID.5」、中国市場用としてID.6、さらに“新世代のワーゲンバス”ともいわれ注目度が急上昇しているミニバンの「ID.Buzz」といった具合に発表されている。最新の発表によれば、全世界でID.ファミリーは予定よりも1年早く販売目標50万台を達成したという。そしてSUVの支持が高い日本市場には、手始めとしてハッチバックのID.3同様、世界戦略モデルとして注目されるID.4が投入されたのである。

その出来映えはBEV時代のゴルフなのか?

スタイルはいかにもVWらしく、優等生的であり、嫌みなくスッキリとまとまっている。強烈な特別感はないというか「なるほどね」という感じで素直に受け入れられるデザインだが、ドアを開けるとハッとする。ダッシュボードに備え付けられたモニターは2個あるのだが、注目はドライバーの正面に設置されたメーターパネル画面の小ささ。とても新鮮な仕立てに新鮮さを感じた。さらにそのモニターの右横に申し訳なさそうに付いているシフトのセレクトダイヤルは、前方に回すとDあるいはBレンジ、後方に回すとRレンジをセレクトでき、その脇には押込式のPボタンがある。このダッシュボードのしつらえを見ただけでも十分な未来感を受け取ることができたのである。モニター画面は例え小さくとも必要な情報は瞬時に入手できるし、まったく不便はなかった。

走り出せば、そこは最新のBEVらしく、いつもの表現を与えることになる。低速から静かでスムーズに、そして力強く加速していく。正直に言えばやはりモーターのフィーリングに特別な感慨はないのである。その加速は2.1トンもある車重が少し影響しているのだろうか、0―100km/hが8.5秒。強烈に速いわけではないが、実用上、十分な加速力があり、いらだったり、使い勝手で困るようなことはない。サウンドや振動なども含め、モーターは外に発する要素が多くないために、個性を見極めたり、好き嫌いを判断することがなんとも難しいことにはやはり変わりなかった。面白みに欠けると言ったらそれまでだが、ひょっとしたらBEVの魅力探しの答えは、モーターにはないのかもしれないのである。

それでも後輪で駆動することによる上質な乗り心地と、モーターのスムーズさ、そして広々としたキャビンが合わさり、なんとも平和というか、少々言い過ぎかもしれないが、エレガンスさえ感じる走りであり「なかなかの仕上がり」と感心した。全体とすれば慣れ親しんだガソリン車のような感覚で、スムーズにしとやかに運転できるのである。また走行中や停止時、そして主電源のスイッチのオンオフなどで聞こえてくる電子音も、未来的な上に心地いい。トータルでの出来映えの良さから「ではコイツは、BEV時代のゴルフか?」と問われれば、出来はいいが「新世代のゴルフ誕生」と宣言できるほどの感激や驚きを感じなかったとだけ、答えておきたい。

さて気になる充電インフラでは、アウディとポルシェのチャージアライアンスにVWも加わり、90-150kW級出力という、日本のチャデモ以上の急速充電ネットワークが利用可能になり、充電時間が短縮できるのも歓迎すべきことだ。

こうして少しずつ整っていく日本のBEV市場だが、現実には「BEVはバッテリーを積んでいて重いから重量税を上げる」などといった政治家の発言が出たり、今もって2%程度の普及規模でしかなかったりと、日本では問題山積のようである。もはやそれはクルマの完成度や仕上がり以前の問題なのである。それでも欧州委員会がCO2削減のため、2035年には内燃機関車の販売を禁止することを可決した事実は厳然として生きているし、別に反対はしない。だが、BEV先進国と言われるEUでも、その目標の実現は、あまりに危うい社会情勢の上に掲げられている現実がある。だからこそ冷静なBEV移行の議論と施策を進めていかなければいけない。

我々がカーボンニュートラルへの道を確実に歩み、そしてクルマとの幸福な生活を享受するため、本当に「さよなら」をしなければいけないことはなんなのだろうか? その答えが見つからないことが、もどかしいばかりである。

ホイールベースは2,770mmと長く、広々としたキャビンと高速走行時の安定性を実現。

センターのインフォメーションモニターの方がメーターパネルより大きく、新鮮さを感じるインパネ。

シフトのセレクターは小さなメーターパネルの右側に装備。ダイヤル式で操作性は悪くない。

パワーシートも標準装備にしたプロ ローンチエディション。背もたれのホールド感はレベルが高く、ロングドライブでも快適。

たっぷりとしたサイズのリアシート。足元のスペースも十分に確保され、快適な居住性を実現している。

ラゲッジ容量は通常時で543L。分割式のリアシートの背もたれを倒す、最大で1575Lとなる。

ボンネットを開けると空調ユニットやコントロールユニットが収まっている。

ドアハンドルの内側に触れるとドアがスッとソフトに開く。

(価格)
6,365,000円~(プロ ローンチエディション/税込み)
(スペック)
全長×全幅×全高=4,585×1,850×1,640mm
最小回転半径:5.4m
最低地上高:未公表
車重:2,140kg
トランスミッション:1段固定式
駆動方式:RWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:150kW(204PS)/4,621-8,000rpm
最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,621rpm
一充電走行距離:561km(WLTCモード)
問い合わせ先:フォルクスワーゲン カスタマーセンター 0120-993-199

TEXT:佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。


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