科学技術が発展してもなかなか尽きないのが、人間関係の悩み。
もし崩壊寸前の夫婦関係を最先端スマートウォッチで改善することができれば、理想的なのだが……。
果たしてそんな日は訪れるのだろうか?
2022年12月7日よりNetflixで独占配信中の『マリッジ・アプリ: 点数稼いで関係修復!?』は、アルゼンチンで製作されたラブコメディ映画。
主演のルイサナ・ロピラトは同じくNetflix映画『回帰』(2022年7月より独占配信中)、フアン・ミヌヒンはNetflix映画『天の怒り』(2022年6月より独占配信中)にも出演している。
<あらすじ>
車同士の接触事故をきっかけに出会った、フェデリコ(フアン・ミヌヒン)とベレン(ルイサナ・ロピラト)の夫婦。
2人の子どもに恵まれ慌ただしくも平和な暮らしを送っているが、結婚して何年も経つと、お互いへの不満が絶え間なく湧いてくる。
ある日、フェデリコとベレンが友人夫婦とレストランで食事をした際に、夫婦円満の秘訣として“エキリブリアム”という怪しげな紹介制のサービスを勧められる。
以前はとても険悪だったのにまるで新婚時代に戻ったかのような友人夫婦の様子を見て、フェデリコとベレンは恐るおそる“エキリブリアム”に入会することに。
店舗で案内係から説明を受け、夫婦関係を改善するスマートウォッチを渡される。
案内係によると、夫婦関係改善のために最も大切なのは、“与えること”だという。
ウォッチには「相手に与えれば与えるほどマイルが貯まる」アプリがインストールされており、逆に夫婦関係にマイナスの行動を取るとマイルが減ってしまう。
貯まったマイルは様々なサービスの支払いに充てることができ、案内係は「愛情を長続きさせる感情の仮想通貨」であると豪語。
初めのうちはアプリのおかげで仲良くいられたフェデリコとベレンだったが、次第に目的が夫婦円満からマイル獲得に変わっていく。
<見どころ>
なぜか日本の最先端技術が使われているという、本作の“マリッジ・アプリ”。
“エキリブリアム”の店舗も、和風のインテリアに盆栽が飾られている。
奥深く神秘的な雰囲気を演出するためかもしれないが、日本人目線で鑑賞すると思わず笑ってしまう場面も。
他にも何かと日本関連のものが登場するので、少しこそばゆい気持ちになる。
スマートウォッチを装着した状態で「ありがとう」「愛してる」などの温かい言葉を相手に伝えるだけでマイルが貯まるという画期的なサービスは、もし実現すれば大人気となりそう。
しかし便利さや贅沢にはすぐに慣れてしまい、益々どん欲になっていくのが人間という生き物の性(さが)。
たとえば、妻と子どもたちを置いて男友達と海外旅行に行きたいフェデリコは、旅行に必要な1000マイルを貯めようと目論む。
目がお金マークになった下心満々の状態で連発する棒読みの愛の言葉や親切の押し売りなど、本当に意味があるのだろうか。
このように人間の利己的な面がテーマとなっている本作だが、あくまでも明るいコメディとして深刻ぶらずに描いているため、不快感は少ない。
ドラえもんの“ひみつ道具”のように、笑いながらも大切な教訓を得られる映画だ。
Netflix映画『マリッジ・アプリ: 点数稼いで関係修復!?』
独占配信中
文/吉野潤子