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記憶力のいい人が実践している「検索タグ」の活用法

2023.03.16PR

東大、フランス国立研究所、MENSA(全人口の上位2%の知能指数を持つ人が入会できる国際グループ)などで世界のさまざまな「頭のいい人」を見てきた脳科学者・中野信子氏。そんな中野氏が「物忘れを防ぐ『検索タグ記憶法』」「『誰かのために』が脳に快感と若さをもたらす」「挫折がなくなる『やらないことリスト』の作り方」など、仕事や勉強、人生がうまくいく脳を活用した31の習慣を解説した著書が世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみたです。

本稿ではこの本から一部を再編集、「世界で通用する、本当に賢い人たち」が実践している少し意識を変えるだけで、誰にでも今日からできるコツをお届けします。

中野信子著/アスコム
世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた

見たものを瞬間的に記憶する「写真的記憶」

「一度見たものはそのまま覚えていられて、いつでもその記憶を引き出せて、いつまでもその記憶を忘れない」なんていうことができたら、便利だなと思う人も多いことでしょう。最近は「記憶法」に関する本もたくさん出ていますし、メディアにも取り上げられることが多くなってきました。この本を手に取られるような方は、一度は、何かしら試したことがあるのではないかな?と思います。

でも、一見簡単なように見える記憶法でも、やってみるとうまくいかなかったり、訓練しようとしてもなかなか続かなかったりするものですよね。

妙な話に聞こえるかもしれませんが、私自身は、実はこの逆のことを真剣に考えたことがあります。「一度見たものを上手に忘れることができて、その記憶を適度に曖昧にぼかすことができ、自然な感じでその記憶を消してしまえる」なんていうことができたら、便利だなあと思っていました。

つまり私は、一度見てしまったものを、うまく忘れることができなかったのです。今は処理が上手になり、必要でない情報や覚えていると精神的に苦痛な情報などは、人並みにうまく忘れることができるようになりました。

いい思い出は残したいけれど、嫌な思い出は残したくないものですよね。このことで私は、しばらく悩んでいたことがありました。何でもかんでも記憶できるのが、決していいこととは限らないのです。

私のような記憶の仕方は、見たものをそのまま写真に撮って収めておくようなもので、「写真的記憶」とでも名づけることができるでしょう。一見するとこの写真的記憶は、生まれつきの素質が必要なものと思われるかもしれません。

東大の同窓生やMENSAの仲間には、私のようなタイプの記憶力を持った人が何人かいました。例えば、図鑑をぱらぱらめくったり、化学の周期律表を眺めたりするだけで、そのまま覚えられるというような特徴を持っていました。森瑤子さんも小説の中で、ご自身の経験をもとにしたと思われるこの独特の記憶の仕方を「マイクロフィルムに撮っておく」と表現していますが、まさにそのような感じです。

人間の記憶容量は140テラビット以上!?

ただ、こうしたマイクロフィルム的記憶を論理的にまとめるのが、私のようなタイプの人間はどうも苦手なようです。私は今でも、その練習をしている最中です。

この写真的記憶ですが、脳にハードディスクのような領域があって、見たものをそのまま画像として保存するという言い方もできるかもしれません。必要なときにはその画像を取り出して、それを参照しながら「アメリカ独立宣言は1776年、ナポレオンの皇帝即位は1804年」などと答えるのです。

人間の脳の容量については様々なことがいわれていますが、現在は、140テラビット以上はあるのではないかと考えられています。

私たちの脳の中では、神経細胞一つ一つが、コンピュータにおける「素子」のようなものとして働いています。コンピュータと人間にはいろいろな違いがありますが、この素子同士が、シナプスと呼ばれる神経細胞間の伝達部を介して結合することによって、演算が行われます。

ここでは、「シナプスの数=記憶容量」として、人間の脳の記憶容量を計算してみることにしましょう。

人間の大脳皮質には約1・4×1010(140億)個の神経細胞があるといわれています。また、神経細胞一つにつき、シナプスは平均で10の4乗(1万)個あるとされていますから、

1.4 ×1010×104 = 1.4 ×1014 = 140 テラビット

1バイトは8ビットなので

140 ÷8 = 17.5 テラバイト

となります。

ただ、人間の脳内で記憶が行われるのは大脳皮質だけではありません。なので脳全体の能力は、140テラビットよりもはるかに大きな容量になると考えたほうが良さそうです。

必要なときに必要なものを取り出せないと意味がない

こう考えると、写真のように見たものをそのまま記憶しておく際に、容量には特に問題がなさそうな感じがしてきませんか。実は、記憶力に自信がないという人でも、自分で意識できないだけで、見たものは実際には記憶の中に意外と入っているものなのです。

問題は、必要なときに、必要な「写真」を取り出せるかどうかです。

パソコンのデータベースの中にいくら膨大な情報が入っていたとしても、それをうまく利用することができなければ、貴重な情報であるはずのデータも、ただ容量を食うだけのゴミデータにしかすぎませんね。

では、どうすればうまく利用できるのかというと、情報に「検索タグ」をつけておくという工夫をすることが大事です。私や東大の同級生たちは、これをあまり意識せずにやることができていたのでしょう。

でも、生まれつきそんな能力を持っていなかったとしても、残念に思うことはありません。ちょっと気をつけていくだけで、自分に入力されていく情報に「検索タグ」をつけることは、さほど苦もなくできるようになります。

慣れないうちはちょっと違和感があるかもしれませんが、新しい靴でもいつも履いていれば徐々にこなれてくるのと似て、こうした習慣は案外すぐに、意識しないでもできるようになるものです。覚えるには、思い入れのある物や好きな花がある風景など、わかりやすいもののほうが「検索タグ」をつけやすいと思います。

検索タグを使いこなすのが思い出すのに有効となる

認知心理学では、無意味な単語を15秒ほど眺めて思い出すというテストを行うと、思い出せる文字(単語ではありません)が平均10文字程度であるという結果が出ています。無意味なものを短時間で覚えるというのは、なかなか難しいことなのです。

それを、うまく写真的イメージにして後から取り出せるようにしようというのが、この「検索タグ」の工夫です。例えば、覚えたいもの(外国語の単語、漢字、年表、難しい専門用語など)を書き出して、目で見て覚えやすいような配置にしておく。そして必ず目につく場所に貼り付ける。これだけで、思い出すときに「ああ、トイレに貼ったあの紙の、この位置にあった単語だ」などと、タグ付けすることができるでしょう。

また、別の種類のタグをつけるのも有効です。これまでに自分の覚えたもの(タグ)同士を結びつけるのです。

人の名前を覚えるときに、これを実践している人は多いのではないかと思います。その人の名前の特徴と、その人自身の見た目や性格の特徴を結びつけるという行為です。例えば「フォンテーヌさん」だったら(フォンテーヌは「泉」という意味)、その人が「いつもうるうるした瞳なので、泉という名前だ」という感じの覚え方です。

同じようなキーワードを持つものは同時に記憶しやすく、また思い出しやすいといわれています。このように、すでに記憶していてイメージしやすいものを使いながら、覚えにくいものを覚える方法は、「忘れにくい=すぐに思い出すことができる」という点でとても効果的です。

しかし、一つ弱点があります。イメージするものが広い範囲のものに適用できるようなもの(例えば、白い、甘い)であった場合、違うものを思い出してしまうことがあります。なので検索タグは、できるだけその特徴を適確に表現するものを使いたいところです。

☆ ☆ ☆

脳のパフォーマンスは使い方や習慣次第で大きく変わります。「世界で通用する、本当に賢い人たち」が実践している『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』を参考に脳の上手な使い方を学んでビジネスに活用してみてはいかがでしょうか。

中野信子(なかの・のぶこ)
1975 年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授。著書に『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『空気を読む脳』『ペルソナ脳に潜む闇』(講談社)、『キレる!』『「嫌いっ!」の運用』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

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