今治市の老舗タオルメーカーが動物愛護団体にリユースタオルを提供する理由

2022.12.11

事始め、煤払い、餅搗き……。12月（師走）の歳時記には新しい年を迎えるための行事が並ぶが、そうした伝統の影は薄くなりつつある昨今。とはいえ、来る年を心待ちにしながら、行く年に区切りをつけるために、身の回りのものを新調するという人は多い。そんな更新案件のひとつであるタオルの買い替えを応援して、優しさへと繋ぐキャンペーンを現在進行中なのが、今治市のタオルメーカー「丸栄タオル」。その取り組みとは……。

リユースを有効にするそのキャンペーンは動物好きの営業部長の発案から

「タオルを新調して清々しい気分で新しい年を迎えたい、と、暮れになると毎年のようにタオルを選びにいらっしゃるお客様がいます」。そう話してくれたのは、丸栄タオルの営業部長・藤原佳太さん。同社の直営店『今治浴巾』（いまばりよっきん）の年の瀬の様子だ。ただ、年越しとともに新品のタオルを下ろしたものの、これまで使っていたタオルをゴミにしてしまうのは忍びないと思っている人たちも、きっといるはず。その気持ちを受け止めて、『今治浴巾』では使い込まれたタオルを店頭にて回収。預かったそのタオルを動物愛護団体等に提供して有効にリユースする、というキャンペーンを12月1日から展開している。

「買い替えにあたって、古いタオルの処分の仕方は家庭によって様々だと思われますが、そのままゴミとして捨てられるものなら、SDGsの観点から、店舗で回収してリユースできないだろうかと考えました」と藤原さん。猫が大好きなこともあり、それまでも動物が保護されている施設を訪ねたりすることがあった。そこで目にした様子から、「保護されている犬や猫の世話に古いタオルを役立ててもられる」と思ったのが、この企画を実現させるきっかけだったという。

リユースとして受け取ることができるのは、動物の保護施設で使うという観点から、バスタオル、フェイスタオルのサイズに限定（製造メーカーは不問）。洗濯済みで、土、油、薬剤などの付着や臭いのないコットン100%のものという条件がある。店頭に持ち込まれた段階で、スタッフがリユース可能な状態かをチェックすることになっている。回収可能と判断された場合、持ち込み1度につき『今治浴巾』で使える買物券500円分をプレゼントして、買い替えの応援をする、というシステムだ。

丸栄タオルは1958年、愛媛県今治市で創業。製造販売を行うタオル一筋60余年のメーカーで、「今治タオルブランド認定」の証を付けたオリジナル・ブランドのタオル製品を数多く展開。近年は、オーガニックコットンなどナチュラルな素材を扱うなど、環境問題への取り組みも積極的に行ってきた。秀でた技術が生かされた特徴的なタオルを紹介しよう。