創業4年目のスタートアップMetCom社は、2022年11月9日、東京タワーで華やかなセレモニーを開催した。前月に提供開始した垂直測位サービス「Pinnacle」は、私たちの生活を変える可能性のある新技術を採用する。
GPSの弱点を克服する三次元測位システム「MBS」を構想
「色も形もない空気で、正確に高さが測定できるのか?」という疑問もあるが、気圧と高度の関係は信頼性が高く、これまでも活用が模索されてきた。例えば、ヘルスケアアプリで移動の高低差がわかるのは、スマホの気圧センサーによる。
ただし、上述のように、同じ場所でも気象条件によって気圧は変わるので、相対的に高度を特定できるインフラ(基準点の気圧計)を構築したのがビジネスのキモだ。
将来的に同社は、現在GPSに依存する平面の測位を含めた三次元測位システムを、自社で構築することを目指す。「GPSの弱点は、高さの測位、屋内/地下での利用、なりすまし/妨害だ」と同社の荒木勤氏。
衛星から届くGPSの電波は微弱なので屋内では、十分に利用できないことがある。解決するため、より近くて強力な地上波で街全体をカバーするのが同社の構想。電波を暗号化するので、セキュリティ面でのメリットも大きいという。
こうした三次元測位システムは、提携する米NextNav社の特許技術で、米国では一部で実装済みだ(MBS:Metropolitan Beacon System)。NextNav社とライセンス契約を結び、日米共同のMBS実装に取り組むのがMetCom社。まずは、地上波基地局の設置に必要な、国の免許の取得を目指す。
●MetComが垂直測位サービス「Pinnacle」の提供開始を記念し 11月9日(119番の日)に東京タワーで開業式を実施
取材・文/ソルバ!
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