広がりを見せる「プラントベースフード」の動向に注目
植物由来の原材料を使って作られたプラントベースフードが少しずつ広がっている。スーパーやコンビニなどで、プラントベース表記のついた食品を見かけることがあるのではないだろうか。
マーケットリサーチ会社Research and Marketsが、2029年までのプラントベースフードについて予測するレポート Plant-based Food Market by Type, Source, Distribution Channelを発表した。
レポートが予測するプラントベースフードの今後についてタイプ別、原料別、流通経路別、地域別に紹介しよう。
プラントベースフードの概要
世界的なプラントベースフードのシェアは、年平均で12.4%の伸びが予測されており、2029年までに955億2千万米ドル(約135億4千万円)に達する見込み。
プラントベースフード市場の拡大の原因には、動物性タンパク質に対するアレルギーを持つ人の増加やビーガン人口の拡大、プラントベースフードメーカーへの投資額の伸びなどがある。
さらに、プラントベースフードや代替肉などのメーカーによる新製品の発表、研究開発の増加、アジアパシフィックエリアやラテンアメリカ、中東、アフリカなどでもプラントベースフード業界への参入が進んでいることも、グローバルシェアが拡大する理由となっている。
ただし、代替肉の価格設定は相対的に高額であること、動物由来の食べものへの根強い志向、大豆製品やグルテンフリー食品の人気といったファクターが、プラントフードフードマーケットの成長を阻害する原因になるとも考えられている。
タイプ別
乳製品の代替品や代替肉、スイーツ、飲み物、代替シーフード、代替たまごといったタイプ別のプラントベースフードの傾向を見てみよう。
乳製品の代替品には牛乳をはじめチーズ、ヨーグルト、バター、アイスクリームなどがある。代替肉の種類としては、豆腐、TVPと呼ばれる人造肉、バーガーパテ、てんぺい、ホットドッグ用のソーセージ、グルテンミート、ミートボール、挽肉、ナゲットなど。
このほかパンや焼き菓子、お菓子、アルコール、代替たまご、代替シーフードなどが存在する。
タイプ別に見ると、乳製品の代替品が2022年のプラントベースフードのシェアの大きな割合を占める。ただし今後は代替シーフードの大幅な伸びが予測されている。理由は、ビーガンシーフード需要の上昇や代替シーフード市場における投資額の増加とイノベーション、新商品の登場などと考えられている。
原料別
次に大豆、アーモンド、小麦、豆、米といった原料別のプラントベースフードの動向について確認しよう。2022年現在、原料ベースでプラントベースフードのシェアで高い割合を占めるのは大豆である。
理由は大豆の入手の容易さと費用対効果の高さから、プラントベースフードの原料として採用されやすいからだ。また肉や乳製品、食品、飲料、パンや焼き菓子などを含む幅広い食品の代替品として用いられやすいこと、さらに、消費者にとってもより受け入れやすい素材であるといった事情もある。
ただし2029年までには大豆よりも豆の需要が、早いペースで伸びると予測されている。
流通経路別
流通経路別のプラントベースフードの成長予測についてはどうだろう。プラントベースフードの流通経路にはBtoBと言われる企業に対する販売ルートと、BtoCと言われるスーパーなどの食料品店やコンビニ、オンラインショップといった直接顧客に届ける販売ルートがある。
現在のところ、流通経路で高いシェアを占めるのは、顧客に対して直接販売するルートである。その理由は、老舗のスーパーマーケットやマーケットチェーンでの売り上げ増加、リアル店舗での買い物のしやすさ、ビーガンフードにかける予算の増加といったものであると考えられている。
対顧客市場は高い成長率が見込まれており、それは今後のオンラインショップでの売り上げアップが一因と見られている。
地域別
最後に、北米やヨーロッパ、アジアパシフィックエリア、ラテンアメリカ、中東、アフリカといった地域別に見るプラントベースフードの今後を確認しよう。
プラントベースフードの流通が最も進んでいるのは北米である。北米における高プロテイン食品の重要性に対する認識の高さや健康志向の高まり、老舗の食品メーカー、食品・飲料業界におけるプラントフードの採用率の高さ、プラントベースフードメーカーへの投資額の大きさなどが理由として挙げられる。
ただし今後は、アジアパシフィックエリアでの目覚ましいシェアの拡大が予測されている。
さらに詳しい予測はこちらから。
食糧危機や環境問題への意識など、理由はそれぞれであるものの、肉の代わりに大豆ミートや、大豆ミンチを、また牛乳の代わりにアーモンドミルクや豆乳を取り入れている人が増えている。今後も、プラントベースフードの動向に注目したい。
文/森野みどり
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