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AI、VR監視、最新技術を用いた防犯カメラでどこまで安全性は強化できるのか?

2022.12.02

2.「周囲警戒」「顔認識」「行為監視」等を備える防犯カメラシステム

中国のIoTソリューションなどを手がけるDahua Technology(ダーファ・テクノロジー)の日本法人であるDahua Technology Japanは、防犯カメラシステムなどのセキュリティソリューションなどを提供している。

中でも、AI技術を用いた防犯カメラが特徴だ。AIが事件か事故を予見し、即座に判断するなど、多数の技術を組み合わせて事件事故を抑制する。

その技術には、例えば、監視画面に仮想な境界線か領域を展開し、人・車両・動物に領域侵入された場合、警報を発する「周囲警戒」やAI検索、目標追跡、VIP管理、ブロックリストアラームなどを備える「顔認識機能」、転倒検知、などの可能な「行動分析」、人や車両などの標的を見失うことなく、追い続けられる「オートトラッキング(自動追跡)機能」などがある。

「顔認識」

「オートトラッキング」

防犯以外にも、店舗、施設など来客数を統計する「ピープルカウント」、人数と滞留時間を統計し、グラフィック化する「ヒートマップ」などの機能も備える。

同社の技術本部部長 徐方宸軻(ジョ・ホウシンカ)氏に話を聞いた。

●開発経緯

「セキュリティは365日、24時間絶えずに防犯監視し続けなければなりませんが、もれなく人間の目で見続けるのは限界があります。AIが人の代わりに見てくれて、即座アラーム通知もしてくれれば警備の負担がはるかに軽減します。またこうしたAI技術は、スマートシティの近未来を想定し、人々の生活を支える重要な役割を担うと考えられます」

●安全性はどう実現するか

「AIを搭載したカメラは、すでにただの『防犯』のためのものではありません。例えば『行動分析』の機能を利用すれば、老人ホーム等の施設ではすぐに転倒等の状況認識し、施設のものに知らせることができます。また『周囲警戒』の機能を搭載したカメラは、AIが人や車の侵入を検知し、カメラから音声または光でアラートを出し、あるいは携帯にプッシュ通知を送ったりすることが可能です。プライバシーを考慮し、AIで検知しながら自動的に映像の顔にモザイクをかける機能もございます。監視カメラはもうただ『見守る』ことのものではございません。

このように弊社製品にはAIが搭載されているネットワークカメラが多く、そのためインターネット上の安全性が重要視されます。Dahua Technologyは社内でサイバーセキュリティー研究所を持ち、ネットワークカメラやネットワークレコーダなどのIP製品に対して、常に強固な安全性をご提供できるように対応しております。また、弊社の一部製品はGDPR(EU一般データ保護規則)にも適応しており、日本現地の法律法規に応じた技適認定も積極的に対応しています」

●導入事例

「東京都内の大手立体駐車場で車番認証システムが導入された事例がございます。5階の駐車場の階ごとの空車スペースをLED看板で表示でき、一階の出入り口の渋滞状況も常に把握できます。渋滞発生時に車を上階の駐車スペースに誘導し、下の階の渋滞現象を減軽でき、安全性も上がります。

また、日本大手ショッピングモールに弊社のリテールソリューションを導入し、人数カウント、入退勤管理などを実現した事例もございます」

●今後の展望

「日本国内では少子高齢化が進む中、人手不足をはじめとした様々な社会問題が存在します。このような背景のもと、日本市場においては、まずスマート駐車場やスマートリテール、またスマートビルディングをはじめとするソリューションを広めていきたいと考えております。

日本市場のニーズに対応するため、弊社の提供できるソリューションをローカライズ、最適化、またカスタマイズしていきます。また、今後も製品外観やアフターサービス、宣伝広告などを含む継続的なローカライズをすることで、よりよい社会の構築に貢献してまいります」

3.360度のバーチャル遠隔監視「Panoplaza Camera」

仮想現実を表すVR(バーチャルリアリティ)などの技術を研究開発しているカディンチェ株式会社は、監視カメラの分野でもそのVR技術を活用している。

その一つに「Panoplaza Camera(パノプラザカメラ)」がある。

「Panoplaza Camera」イメージ

従来の現場巡回は、当然、毎回現場に足を運ぶ必要があったが、同システムは、インターネット経由で遠隔監視ができる仕組みで、VR視点で実際に現場にいるのと遜色ない「バーチャル現場巡回」を可能にする。遠隔PCから見られるサイト内の専用ビューワーでは、フロアマップとリンクした閲覧ができ、ストリートビューのように操作できる。

活用が想定されるシーンとして、工事・建設現場のほかにも工場、飲食店、大型量販店、医療・介護施設などが挙げられる。

例えば大型量販店は防犯カメラの設置を工夫しても死角はなくならないため、隙を突いた盗難被害などが課題だが、同システムを導入することで、死角のない360度カメラにより犯罪をとらえることが可能になる。

同社の担当、稲田明徳氏は次のように回答する。

●開発経緯

「弊社では360度カメラを活用したシステムをいくつか手掛けており、360度静止画を利用したバーチャルツアーや、360度動画配信、360度ライブ配信(主にライブなどのエンタメ向け)などを手掛けてきました。

その中で、大手ゼネコン様との共同開発として、建築現場のIoT化のプロジェクトを行い、そのうち、カメラ部分の機能に特化したシステムとして、Panoplaza Cameraを自社商品として展開しています。建築現場の現場状況を遠隔でチェックしたいという要望から開発したものですが、リモートで現場の確認ができることから、用途の一つとして、監視カメラとしての利用も想定して開発したものになります」

●安全性はどう実現するか

「一般的な監視カメラの場合、カメラの画角の制限があることから撮影エリアが限定されてしまうのですが、360度カメラを利用することで、監視カメラの死角を無くすことが可能です。そのため、死角を減らすという意味で効果的だと考えています。

ただ、リアルタイムですべてのカメラ映像の監視を行うことは現状は難しいため、何か問題が生じた際に事後確認の用途としての利用を想定しています」

●導入事例

「まだ実運用されている現場が少ないことから、従来と比べて安全性が向上したと言い切れる事例はございませんが、カメラからの死角がないという点については評価いただいています」

●今後の展望

「360度カメラを活用することで、現場の確認ができることから、警備のような監視だけでなく、工場見学や物件確認など、監視以外の用途も考えています。

また監視用途での展望として、AI処理等による画像処理を組み合わせることで、カメラの死角を減らした上で、さらにリアルタイムで様々な情報の処理ができるようになると考えています」

防犯カメラにつながるシステムは、AIやVRなどの先端技術によって進化しており、防犯・安全面が向上することに期待がかかる。また人手不足を対策する役目もあるため、より良い形で浸透していくと考えられる。さらなる実装と進化に期待したい。

取材・文/石原亜香利

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